油断ならない中央線

今週金曜日の和光大学「雑誌研究」は、ニュー評論家(の看板は下ろしたんだっけ?)にして『〈盗作〉の文学史』(新曜社)の著者・栗原裕一郎さんをゲストにお招きして「雑誌ライターという仕事」についてお話いただきます。ちょうど『大航海』(新書館)の休刊が決まったそうで、その辺の話なんかも。相変わらず、ニセ学生歓迎です。16:20〜17:50、A棟3階のメディア室5(N307)へどうぞ。


朝8時起き。《つばさ》を観てから、仕事場へ。午前中は『進学レーダー』の書評を書く。戸川安宣さんのブログ(http://blog.livedoor.jp/jigokuan/)で、ミステリ作家の中町信氏が亡くなったコトを知る。74歳。数年前、まさに戸川さんが担当して創元推理文庫から出た一連の長篇(旧作の全面改稿)を読んではじめてこの作家を知り、古本屋でノベルスや文庫をほとんど全部集めて読んだ。倒叙というスタイルへの執着と、ある意味投げやりとも云えるようなルーティーンな物語展開で、気持ちよく読めた(が、すぐに忘れてしまった)。


12時半に出て、銀行で金を下ろし、郵便局で日本育英会に返済する奨学金16万8000円を振り込む。これで学部、大学院ともに返済が終わった。合計で300万以上を毎年6月と12月に返済して16年目にして完済(無利子)。これが借りられなかったら、ぼくの学生生活は成り立たなかった。アルバイトをあまりせずに、ひたすら本を読めたのもこの奨学金のおかげだ。日本育英会日本学生支援機構と名前が変わり、奨学金制度の存続も論議されているようだが、ぜひ続けてほしいものだ。あとで、母親に電話して完済したコトを報告。ついでに、旬公が千葉でブタを飼っていることを今ごろ知らせたが、「また変わったことをやってるねえ〜」という感想だった。ウチの場合、嫁と姑の立ち位置が違いすぎて、いつもこんな感じである。


往来堂書店〉で、永井龍男『わが切抜帖より・昔の東京』(講談社文芸文庫)を買う(新刊と思ったら復刊だった)。あと、清野とおる東京都北区赤羽』第1巻(Bbmfマガジン)は、旬公大プッシュの漫画家のケータイ漫画の単行本化。ひつじ書房松本功さんと待ち合わせ、近くの〈プルミエ〉でハンバーグステーキ。お会いするのは何年ぶりだろう? 相変わらず精力的な感じだった。目録『未発』の最新号をいただく。来年創立20周年とのこと。


仕事場に戻り、ソファで本を読んでいるうちに眠ってしまう。4時前に目覚め、ダッシュで出かける。〈神保町シアター〉で、特集「観光バスの行かない町」。川本三郎さんがローカル色豊かな映画を選んでいる。今日は杉江敏男監督《黒い画集 ある遭難》(1961)。再見だが、眠らずに最後まで観た。前半は地味な役者ばかり(死ぬ男が児玉清だと最後まで気づかず)だが、石井輝男の脚本は、山の風景とカットバックを緻密に構成しているので飽きない。ラストが拍子抜けするのだが。


終わって、〈東京堂書店〉で『大航海』終刊号を買い、久しぶりに〈キッチン南海〉で、盛り合わせ定食。〈高岡書店〉で早売りの『週刊文春』と、いがらしみきお『きょうのおことば』第1巻(Bbmfマガジン)を買う。後者は清野とおると同じ版元で、初耳だが、携帯漫画サイトの運営会社なのか? ちなみに、いがらしさんは6月28日(日)に池袋〈リブロ〉でサイン会を開催とのこと(http://natalie.mu/comic/news/show/id/17699)。仙台のトークショーの2日後じゃないか。


半蔵門線で九段下乗換えで、東西線。高円寺で降りる。駅前の古本屋を覗くも、〈都丸書房〉が休みで時間が余る。〈Sunrain Records〉で見汐麻衣(埋火)のソロCD-R[ひきがたり]を買う。7時半に〈円盤〉に着くと、すでに並んでいる。ぼくは椅子席に座れたが、『ぐるり』の五十嵐さんは立ち見。どちらにしても狭くて身動きとれず、しかも冷房がまったく効かずに暑い。そんな中での松倉如子さんのセカンドアルバム[パンパラハラッパ]発売記念ライブ。前半は渡辺勝さんと、後半は渋谷毅さんと、そして三人で。渡辺、渋谷のソロも聴ける。松倉さんのボーカルが前よりさらに自在になっているのに驚く。『ぐるり』次号で松倉さんと渡辺さんのインタビューを担当するのだが、ハナシが聞けるのが楽しみだ。


あまりに暑かったのでビールでもと、じつに久しぶりに〈コクテイル〉へ。客は少なく、テーブルに落ち着く。ビールと日本酒を飲んで話すうち、いい心持ちに。中央線で飲むときには終電が早いので注意しているが、気づくと12時。駅に着いたら、12時25分の終電しかなく、西日暮里まで行きつけないことが決定。しかたなく、最終でお茶の水まで行き、そこからタクシーで千駄木に帰る。これだから中央線は油断できない。2時ごろに眠る。