《散歩する霊柩車》はスゴイ!

朝8時半起き。今日もうだうだしてるウチに国会図書館には行けず、家で仕事する。『彷書月刊』の原稿、その他。出かけようかと思ったトコロに、『ぐるり』の五十嵐さんからメールが。「これからニッポン放送でオヨヨが出るらしいですよ!」と。そりゃタイヘンと、ラジオをつける。たしかに秋のカルチャー特集ということで、読書に関する話題をやっている。いつ出るかとじっと待つが、なかなか出てこない。「本のソムリエ」というのが出るので、コレかと思ったら、新刊書店のヒトだった。天気予報と道路状況を何度も聞かされた末、けっきょく、オヨヨは登場せず。どーなってんだ?【あとで聞いたら、3時10分頃から出演していたとのこと。メールを見る直前だったようだ。五十嵐さんによれば「最初、ものすごく硬かったです。秋の一箱の宣伝もしてました」とのこと。聴きたかったぜ、オヨちゃん。】


5時半に出て、神保町へ。〈書肆アクセス〉で『アメリカン・ブックジャム』第11号を買う。前号が出てから二年ぶり。特集は「On The Road Again:作家が歩いた街の変遷」で、「ジャック・ケルアックのサンフランシスコ」という長い文章が載っている。最近、はじめて『路上』を読んだところなので、これは興味深い。青木さんから、「こういうのが出たみたいです」と小冊子を見せられる。『新菜箸本撰』の第1号と2号。大阪の橋爪節也さんたちが出している大阪趣味のミニコミのようだ。アクセスで取り扱ってほしいと見本を送ってきたという。1号300円だしゼッタイ売れますよ、と太鼓判を押す。林哲夫さんの日記(http://sumus.exblog.jp/)に目次が紹介されている。誌名は「しんさいばしほんゑらみ」と読むらしい。〈ぶらじる〉で右文書院の青柳さんと打ち合わせ。索引の直しを受け取る。また項目数が増えてしまった。


半蔵門線で渋谷へ。マークシティ裏の〈萊萊羊肉館〉で、ビールと餃子、モツ炒めにライスを食べる。〈ブックファースト〉で、嵐山光三郎昭和出版残侠伝』(筑摩書房)を買う。レジのところで、集英社がつくった田中啓文の『笑酔亭梅寿謎解噺』シリーズ解説書という、簡易印刷のパンフレットをもらう。作家・書店員の推薦文や2冊目の抜粋など。けっこう力が入っている。『ビジネスジャンプ』で「わらばな」というタイトルで漫画化もされているようだ。


そのあと、今日も〈シネマヴェーラ渋谷〉で特集「妄執、異形の人々 Mondo Cinemaverique」。一本目の《丹波哲郎大霊界2 死んだらおどろいた》(1990)は見られなかった(まあ、べつに惜しくはない)。お目当ては、佐藤肇監督《散歩する霊柩車》(1964)。いやァー、すごい、怖い、おもしろい! 女房の死体を積んだ霊柩車で、関係のあったオトコの元を回るという出だしからして秀逸。頬のこけた西村晃のダンナと、無表情な渥美清の霊柩車の運転手が並んで座席に座っているだけで、おかしい。妻の春川ますみはちょっと大根だが、愛人の金子信雄曾我廼家明蝶、病院の守衛の小沢昭一ら、いずれもクセのある演技だ(もう一人の守衛の加藤嘉の出番が少なすぎてちょっと不満)。最後までホラーに持っていかず、サスペンスだけで引っ張っていったのもイイ。ラストの墓地はひょっとして谷中墓地? わざわざ観にきた甲斐があったと、たいへん満足。佐藤肇の作品ははじめて観たが、「日本映画データベース」によれば、松方弘樹主演《十七才の逆襲 俺は昨日の俺じゃない》(1960)が監督デビュー作。ほかに、《怪談せむし男》(1965、これも西村晃主演だ!)、タイトルだけは知っている《吸血鬼ゴケミドロ》(1968)などステキなタイトルの映画を撮っている。後者は今回の特集でかかるのだが、行けないかもしれない。またの機会には。