朝イチで文化祭にご精勤

朝8時半起き。いつもは起きてしばらくボーっとしているのだが、今日はテキパキと布団を片付ける。旬公をせきたてて、外に出る。今日、明日は隣の開成学園の文化祭なのだ。学校の塀のあたりまでヒトが並んでいる。9時にファンファーレが鳴って開場。いろんなイベントをやるようだが、一切無視して、勝手知ったる二階の渡り廊下へ。ココで古本市が行なわれているのだ。今年で30回目とのこと。単行本80円、新書50円、雑誌20円、文庫50円。昨年は文庫30円だったので、ちょっと値上げしたが、その代わり、大幅に本が入れ替わっている。一回りして、以下を買う。


【文庫】楳図かずお『恐怖への招待』(河出文庫)、角田喜久雄『神変白雲城』(中公文庫)、グレアム・グリーン『事件の核心』(新潮文庫)、日下圭介『悪夢は三度見る』(講談社文庫)、恩田陸黒と茶の幻想』上・下(講談社文庫)など9冊。
【新書】日垣隆『情報の「目利き」になる!』(ちくま新書)、仁木悦子『日の翳る街』(講談社ノベルス
【単行本】鹿島茂『文学は別解で行こう』(白水社)、末井昭『174,140円の教訓 平成元年パチンコ77日間デスマッチ』(太田出版)、本岡類『水辺の通り魔』(角川書店)、日本放送協会編『光を掲げた人々 第四巻欧州編1』(光の友社)
【雑誌】『現代詩手帖』2003年4月号(特集「友部正人の世界」)
【DVD】《コーザ・ノストラ》、《リオ・ブラボー


『光を掲げた人々』は子ども向けの偉人伝もの。装幀は初山滋で、発行者が岡本経一となっている。青蛙房の社主が光の友社も経営していたのか? CD・DVDは1枚80円なので、つい買ってしまった。旬公も数冊買っていた。荷物を抱えて、開始30分にして学校の外へ。


パンクした自転車をよみせ通り自転車屋まで引っ張っていき、修理の間に、ある喫茶店に入る。朝飯代わりにミックスサンドを頼むが、出来たのを見て愕然。ハムサンドと野菜サンドがいくつかずつ並んでいるのがミックスサンドだと思っていたが、ココのは厚切りのトースト(サンドイッチのパンではなく)にハムと野菜がミックスされて挟んである。しかも皿の縁が割り箸が二つあって、コレは何に使うのかと思ったら、挟んだ具がこぼれたら(やたらデカイから当然そうなる)箸でつまんで食え、という思し召しなのであった。たいがいの喫茶店の食い物は大丈夫なほうだが、コレはちょっと……。もっとも、イカモノ食いの今柊ニさんは喜ぶかもしれぬ。


ブックオフ〉を覗いてから、自転車を受け取り、〈往来堂〉と〈オヨヨ書林〉に「古本ジェットストリーム」のチラシを渡しに行く。不忍通りにやたらとヒトがいると思ったら、今日はお彼岸なのだった。そのあと旬公と田端まで歩くが、入るつもりだったレストランは予約で満席。お墓参りのあとに寄るらしい。ココも満員の〈長寿庵〉(だったかな)に入り、鳥なんばんそばを食べる。


高円寺へ。今日は「中央展」。飯島正『映画 テレビ 文学』(清和書院)500円、川崎長太郎『忍び草』(中央公論社)400円。後者はダブリだった。目録注文の本は外れた。〈古本酒場コクテイル〉の入り口にチラシを置く。次に三鷹へ。〈上々堂〉で「古書モクロー」の売り上げを受け取る。今回はあまり売れてないなあ。


西荻窪で降り、久しぶりに〈花鳥風月〉を覗く。びっくりするぐらい客がたくさん入っている。帳場にやってきた男が、「映画の製作会社なのですが、撮影でお店を貸してもらえませんか」と頼んでいる。古本屋を舞台にした青春コメディなのだとか(主演の予定なども云っていた)。喫茶店〈物豆奇〉でアイスミルクティーを飲みながら、永井健児『活動屋児井英生』(フィルムアート社)を読了。先に読んだ児井の自伝『伝・日本映画の黄金時代』(文藝春秋)よりも、こっちの方が格段にオモシロイ。最近は映画プロデューサーに関する本に興味を持ちはじめている。


音羽館〉に行き、広瀬さんにチラシを渡す。メールで問い合わせて取り置いてもらっていた、沼辺信一編著『12インチのギャラリー』(美術出版社)を受け取る。オマケして2500円にしてくれた。ほかに、安藤貞之『デザイナーの世界 その虚像と実像』(ダイヤモンド社)、竹村民郎『大正文化』(講談社現代新書)400円、『わんだ〜らんど通信』第6号(ひさうちみちお特集)300円を買う。先日、沼辺さんもおっしゃっていたが、音羽館はいつ来てもなんらかの引っ掛かりがある、本当に懐の広い店である。まだちょっと時間があるので、南側に出て〈戎〉に入る。いくつか支店があるうち、いちばん小さな店に入ったら、客が少なくて落ち着けた。焼酎を何杯か飲む。


総武線秋葉原へ。昭和通りの裏にある〈グッドマン〉というライブハウスに、ちょっと迷って到着。『ぐるり』の五十嵐さんと入り口で落ち合う。地下にある店で広い。椅子は壁際のベンチだけだが、早めに来たので座れた。マーガレットズロース主宰の「藪こぎ」というイベント。オープニングアクト(ギターの弾き語り)のあと、マーガレットの三人が登場。ウクレレカホーン、ベースの「ウクレレズロース」として数曲やる。そのあと、元「たま」石川浩司が登場。シュールというか演劇的なステージを。このヒトの笑顔には、ナニか見てはいけないような怖さがあるな。そして、最後にマーガレットズロース。五十嵐さんから新作の[DODODO]を借りて聴いていて、とても気に入るとともに何曲かにモロに見られる「フィッシュマンズっぽさ」が引っかかっていた。しかし今日のライブは、新作発表以降にできた曲が中心で、どれもストレートにかっこよかった。盛り上がったとところで終わりとなったのが惜しい。次はワンマンライブを見たいもの。


ウチに帰ると、未來社から向井透史『早稲田古本屋街』が届いていた。多田進の装幀で、多田順の人物版画(本を担いだセドローくんも登場)が上部にあしらわれている。戦前から戦後への早稲田古本屋街の歴史、店主への「開店まで」の聞き書き、早稲田の古本市(青空やBIG BOX)の変遷などで構成。年表やイラスト地図(浅生ハルミン)、店舗一覧も入っており、とても資料性が高い本になった。しかも、どうせ文章がウマイに決まっているんだから、ヤになっちゃう。ぼくの『路上派遊書日記』も来週見本ができるので、書店に並ぶのはほぼ同時だ。『路上派〜』には向井くんも多く登場する(索引を見よ)し早稲田ネタも多いので、『早稲田古本屋街』の読者にも損はさせません。ぜひ一緒に買ってくださいませ。