届いたもの、いろいろ

しばらく前だが、竜超さんから著書『消える「新宿二丁目」 異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』(彩流社)を送っていただき、少しずつ読んでいる。タイトルにあるようにゲイタウンとしての「新宿二丁目」が存亡の危機にさらされていることを伝えるのが目的のようだが、その前に、ゲイタウン成立の前史といったものが述べられていて興味深い。竜超さんは以前、影坂狩人を名乗っているときに取材でお会いしたが、『薔薇族』復刊の中心人物であり、誌面で過去のバックナンバーからの再録などを推進していた。まだ途中だが、この本にはこのヒトの調べ好きなところ、理屈っぽいところがうまく反映されており、初めての著作(ミニコミとしての出版物はある)としてはベストな方向だという気がする。あとがきを覗くと、担当は以前、十番勝負を聞きにきてくれたKさんで、この版元を紹介したのも知り合いだった。

消える「新宿二丁目」―異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?

消える「新宿二丁目」―異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?


オヨヨ書林〉から目録5号が到着。特集「地下の文学史」。181ページの『つるはし』という雑誌が気になる。注記に「山谷、釜ヶ崎ほか」とあるが、このつるはしは、土木工事のツルハシと地名の鶴橋のどちらなのか(あるいはダブルミーイング?)。よく探せば、『消える「新宿二丁目」』で紹介されている資料も出ていそうだ。


塩山さんからは『ゲロダク』創刊号が送られてくる。「文芸文化総合〈搦め手〉雑誌」というキャッチフレーズ。B5判・88ページ。「社会派騒動映画監督・渡邊文樹」「C級殺人グルメ」「飲み屋さんで聞いたわが町・寿」など。『ため息ミサイル』の飯田華子さんが、「東京ハッテン場報告」を寄稿。若い人がやっているが、挑発的なところも含め、すごーく懐かしい、むかし慣れ親しんだ感じのミニコミだ。『HB』(最新号出たみたいだね)とは真反対の存在と云える。次号で塩山さんのインタビューが載るのかな?


あと、入谷コピー文庫の最新刊、大川渉・平岡海人宮前栄『続・呑んべえ巡礼日記 大阪・鳥取・長崎編』が届く。発行者の堀内恭さんは、実家の事情でこのところ東京と郷里を行ったり来たりしていて、コピー文庫も刊行ペースが落ちている。そのため、「書評のメルマガ」で書いてもらっている「『入谷コピー文庫』しみじみ通信」は、今月出る号で最終回とし、今後は動きがあるときに寄稿してもらうことになった。


京都新聞2月25日に、見開き・カラーで「ご当地ミニコミ誌持って、春の街歩きを楽しもう」という記事が。『てくり』『ふきながし』『クラッシュ・ジャパン』『乙女 湯のたしなみ』『東京トーフ屋散歩手帳』など、地域発信のミニコミ・フリーペーパーが写真入で紹介され、ぼくのコメントも載っている。記者の行司さんは、自分でかなり多くのミニコミを集め、〈ガケ書房〉の山下さんや〈calo〉のフリーペーパー展などを取材して、多面的な記事をつくっている。最近受けた取材の中では、もっとも丁寧で時間をかけた記事になっています。また、今日の中日新聞朝刊では、BOOKMARK NAGOYAの一箱古本市の記事が載った。こちらにもコメントを寄せました。


今日は午後、有楽町でお金がまったく絡まない話し合いがあり、そのあと〈教文館〉を覗く。昨夜、『おやじがき』の打ち上げがあり、そこで寄藤文平さんの妹さんが、この書店の良さをしきりに話されていたので、寄りたくなった。たしかに、落ち着いて本が選べる店だ。出るのを楽しみにしていた、柳下毅一郎江戸木純WITHクマちゃん『バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争 邦画バブル死闘編 2007-2008年版』(洋泉社)を見つける。町山智浩さんが云うように、長ったらしいタイトルだなあ。ほかに、アイランズ編著『地図から消えた東京物語』(東京地図出版)、東直己『眩暈』(角川春樹事務所)、サエキけんぞうスパムメール大賞』(文春文庫)、『わが美的洗脳 大岡昇平芸術エッセイ集』(講談社文芸文庫)などを買う。

バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!<邦画バブル死闘編>2007-2008年版 (映画秘宝COLLECTION 38)

バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!<邦画バブル死闘編>2007-2008年版 (映画秘宝COLLECTION 38)


ちなみに、教文館の4階・エインカレムでは、3月5日(木)〜22日(日)まで、「菊地信義講談社文芸文庫装幀展」を開催。3月15日(日)には、菊地氏と古井由吉氏のトークショー講談社文芸文庫を語る」が行なわれる。


レジで前にいたおじいさんが、「終戦直後にこの通りにあった書店で、『日米會話手帳』を買ったんだが、もっと向こうにあったような……」などと店員に話しかけて、二人いた店員も「うちは昭和4年(?)からこの場所にあるんですけどねえ」などと返事している。こののんびりした感じは、いまの書店にあってとても貴重だ。


明日は『進学レーダー』の図書館取材で、広島へ。新幹線を調べていて、朝5時すぎに出なきゃならないので驚く。いや、考えてみればそれぐらいかかって当然だが、最近、のぞみ号のスピードが速くなったような気がしていたので……。


書肆紅屋さんのブログで、『諸君』休刊のニュースを知る。たいがいの雑誌の休刊には驚かなくなっていたが、これにはちょっとビックリ。