広島で中学生に戻る

2時頃に目が覚めてしまい、半分まで読んでいた『日本映画最終戦争』を最後まで読んでしまう。連載では小さな字を苦労して読んでいるので、まとめて読めて嬉しい。5時に起き出して、出かける準備。旬公が帰ってきたときに「雪が降っている」と云ったので、新幹線に影響はないかと心配したが、幸い積もっていない。千駄木から西日暮里で乗り換えて、東京駅へ。チキン弁当への執着が消えたので、今朝は鳥めしにする。6時20分発ののぞみで広島へ向かう。


車内で藤原伊織『てのひらの闇』(文春文庫)読了。10時すぎに広島駅到着。けっこう寒い。路面電車の発着所でKさんと待ち合わせ、目の前の電車に乗る。広島に来たのは15年ぶりぐらいだが、以前は車での移動が多く、路面電車に乗るのはほとんど初めて。市内の主要エリアを網羅しており、市内は150円均一。停留所も多く、気軽に乗り降りできる。30分ほど乗ったところにあるS校の図書館を取材。


路面電車で中心部に戻り、本町あたりの居酒屋のランチを食べる。あなご丼、まあまあ。2軒ある〈アカデミイ書店〉を覗く。どちらも100円均一が充実していた。パルコに近い方の店で、フィリップ・K・ディックの文庫が何冊も均一に出ており、4冊買う。もう一軒べつの古本屋もあったが、閉まっていた。歩いてH校へ。取材が終わったのは5時前。


ちょっと時間が余ったので、先にホテルへ向かう。路面電車で天満町に行き、少し歩いたところのホテル。あとで聞いたら、元かんぽの宿だったという。値段のワリに部屋が広く、フロントも親切だった。ちょっとだけベッドで寝ころび、6時前に出かける。目の前のバス停でバスに乗り、終点の広島バスセンターまで。〈蟲文庫〉田中さんの友達からの情報では、この中に「昼から飲める居酒屋がある」とのこと。ちょっと探してみたが、見あたらなかった。同じ建物にあるそごうのグルメコーナーが全面改築で休んでいたが、そこに入っていたのか?


そごう前で待っていると、財津将斗さんとTさんという女性がやってくる。財津さんは広島で「ブッククロッシング」(http://www.bookcrossing.jp/)の活動をやっている。しばらく前に、広島で本イベントをやりたいと岡崎武志さん経由で連絡を取ってきて、東京でお会いしている。その後、財津さんは有志を募って、「お好み本隊」という活動を発足した。ぼくが取材で広島に行くことを伝えたら、偶然にも今夜、彼らの会議があるというので参加することになったのだ。


アストラムラインという新交通に乗り、城北で降りる。メンバーのKさん夫妻の会社の部屋が会場で、次々にヒトが集まってくる。さっき寄った〈アカデミイ書店〉のHさん、オンライン書店〈古書あやかしや〉(http://homepage1.nifty.com/maiden/)のHさん、米子で取材してもらった中国新聞のMさんなど、14人ほど。一箱古本市を開催することは決定ということなので、不忍やほかの土地の例を20分ほど話す。取材などでなんども話しているので、いんちきコンサルタントのごとく流暢に喋った。具体的な質問もあり、場所をどこにするかという案も出る。せっかく広島でやるんだから、路面電車を使うのはどうでしょうと焚きつけておく。参加者の多くは、以前広島での岡崎さんのトークに参加しているので、話が通じやすい。先輩に地ならししてもらったトコロに乗り込むのは申し訳ないが、ありがたい。


1時間ほどで終わり、タクシーで横川に移動。イタリアンレストランで食事。ハートランド(瓶)があるのが嬉しい。アルミホイルで包み焼きされたハンバーグを食べる。その後、蟲文庫さんに教えてもらった〈ヲルガン座〉(http://www.organ-za.com/)に行こうとしたら、みんな一緒に来てくれる。本川町の大通り沿いにあり、古いビルの2階に入っている。店内は意外に広く、ロフト(というか、芝居小屋の桟敷みたいな)にコタツ席があったり、ライブをするステージにはマネキンが立っていたりと、ユニーク。アングラとレトロがいい感じで混ざっている。一緒に来たFさんはフリーの司会者で、ここのライブの司会もしたという。さらに、この店で谷中在住のはとちゃん(http://hatogoya.cocolog-nifty.com/blog/)が個展をしており、店主のゴトウイズミさん(アコーディオン奏者・歌手)のCDのイラストを描いていることも知り、びっくり。いろんなコトがつながるもんだなあ。ゴトウさんがツアー中でお会いできなかったのは残念だった。[ヲルガン座にて]というCDを買う。なーんと、元ロレッタセコハンの2人がサポートしていた。


広島には市中の川で自由に乗り降りできる「ガンギ(雁木)タクシー」があるとか(あとで調べたらホントにあった http://c2s.etowns.net/gangigumi/)、みんなの仕事のことを聞いたりしていると、前に座っているKさんとKさん(どっちも女性)が小学校から吹奏楽をやっていたというハナシになる。そこでぼくが「中高で4回、普門館に出たんだけど……」と云うと、二人からだけ熱い反応がある。普門館吹奏楽の全国大会が行われる、いわばブラス版の甲子園なのだが、このハナシは関係ないヒトからはいつもまったく反応がない。つい調子に乗り、『バンドジャーナル』という雑誌とか、練習のこととか、楽器セクションごとの苦労とか、語り合う。ほかのヒトたちにはメーワクだったかも。でも、中学生に戻ったみたいで、懐かしかった。


「お好み本隊」の今後の活動を報告してもらうことにして、1時にお開きに。帰り際に「宇宙人です」という男性に話しかけられたのだが、ナンだったんだろう? タクシーでホテルまで送ってもらう。ちょっと歩いてみたら、この時間にお好み焼き屋が開いている。ひとつの店内に、お好み焼き、鉄板などのコーナーが分かれている妙な店。よく喋るおじさんにお好み焼きをつくってもらい、食べる。なんということもないのだが、ウマイ。700円と安い。ホテルに帰り、風呂に入って2時すぎに眠る。