国書刊行会は武闘派

kawasusu2006-08-21

昨夜遅かったので、10時ごろまで寝てしまった。急いでパソコンに向かい、仕事開始。1時ぐらいまで集中してやり、自転車で外に出る。〈往来堂書店〉で、水木しげる『ニッポン幸福哀歌(エレジー)』(角川文庫)、大島一洋『芸術とスキャンダルの間』講談社現代新書)、芦辺拓『千一夜の館の殺人』(カッパノベルス)、安西水丸『大衆食堂へ行こう』(朝日文庫)、山本マサユキガタピシ車でいこう!! 』暴走編2・夏の巻(講談社)を買う。


〈古書ほうろう〉で、『思想の科学』の創刊50周年記念号にして最終号(1996年5月)を買う。800円。26歳の荻原魚雷さんが「引越し貧乏」というエッセイを書いているが、この時期からスデにいい文章を書いている。新聞社のバイトを紹介してくれた「アヤシイ民俗学者」って、誰のこと?(もしかして大月隆寛とか……)。パラパラと読んでみて、同時期にもうちょっとちゃんとこの雑誌を読むべきだったなあと思う。ほうろうでは、9月10日(日)18時から、「近藤ヒロミ カリンバとムビラの演奏」があるそうだ。


ウチに帰り、5時ごろまでまた仕事。そのあと、旬公に付き合って、西日暮里近辺のアパートを2件、見学。どちらもイマイチ。自転車で三ノ輪へ。ふだん通らない道(東日暮里5丁目)を走っていると、目の前にボロボロのコンクリート造りのアパートが。どこかで見たコトがあると思ったら、同潤会の三ノ輪アパートだった。1928年建築だから、約80年前の建造物だ。もっとも、周囲には建設会社の布が貼られており、解体寸前の模様。しかし、窓には洗濯物が干してあり、居住者もいるようだ。また見に来よう。


南千住に着くと、待ち合わせまでちょっと時間があり、駅向こうの再開発地域に行ってみる。この一帯を「リバーハープスクエア」と呼んでいるらしい。暗い道を抜けるなり、いきなり明るいショッピングモールが現れる。そこに入っているのは、モスバーガーダイソーユザワヤ、TSUTAYA、くまざわ書店、スポーツセンターといった、いかにもベタなチェーン店ばかり。客は隣に聳え立つ高層ビルの住人ばかりだ。ひたすら明るく、ここだけですべてが完結できるようになっているが、ぼくはこの辺りにはゼッタイに住めないなぁ。同じ南千住駅なのに、反対側の出口のコツ通り商店街や飲み屋の存在を目に入らなくてもすむようになっているし。なんだか、ココに住むヒトたちが「籠の鳥」扱いされているような気がした。


明るい一帯からうらぶれエリアに戻り、改札口で国書刊行会樽本周馬さんと待ち合わせ。あとから、同社編集部の工藤さんと営業部の岸本さんも登場。工藤さんは橋爪節也『モダン心斎橋コレクション』を編集したヒトだ。四人で泪橋の方へ。〈大島書店〉に寄り、外の100円均一台で、高田宏編『「あまカラ」抄』全三巻(富山房百科文庫)を買う。〈大林〉に行くと、今日は数組の客がいた。ビールにチューハイ、つまみもたくさん頼む。本のハナシになると止まらない人たちなので、やたらと盛り上がり、気がついたら我々だけになっていた。岸本さんから「30年かけてコレをやりなさい」と云われた企画があり、自分でもおぼろげに「そんなのができたらイイなあ」と思っていたコトと合致するので嬉しかった。岸本さんから、11月刊行予定の、山田俊幸永山多貴子編『小林かいちの世界』(予価2940円)のチラシをもらう。大正から昭和にかけて活躍した謎の画家・小林かいちの絵葉書、絵封筒など300点を収録するものだ。コレは楽しみ。


10時に閉店となり、もう少し行きましょうと、バー〈Tepui〉へ。ココでも楽しく飲んでいたのだが、あとから外国人+日本人の20人ぐらいの団体がドヤドヤとやってくる。やたらとうるさく、われわれの席の後ろで大騒ぎしながらダーツをしはじめたので、岸本さんが文句を云う。すると、外人と一緒にいるせいか妙につっぱらかったアンちゃんが「楽しむのは勝手でしょう」などと返し、岸本さんとにらみ合う。いったん静まったが、そいつが奥のほうからヤユするようなコトを云うと、こんどは工藤さんが立ち上がる。樽本くんの目も据わっている。その直前に、「国書刊行会には武闘派がいましてねえー。Sというヤツは飲み屋でアバレて、ブタ箱に入ったんです」というハナシを聞いてたのだが、なんだ、武闘派じゃん! 事なかれ主義のぼくは、「もう出ましょう」と外に出る。いちおう、収まってみんな外に出てくるが、顔つきが変わっていた。スゲエ会社だ、国書刊行会


タクシーに乗る三人と、三ノ輪の交差点で別れて帰る。ウチに着くと12時半。けっこう飲んだので、すぐ眠った。