本が飛び出す機械がほしい

昨夜、泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』(創元推理文庫)を読了。大学生のときに読んでから、何度目だろう。ココでこう来る、と判っているのに、楽しめてしまう。再読で気づいたこと。「掘出された童話」の週刊誌の編集部が出てくる場面で、編集長が机の上にあるボタンを押すと、「黄色いランプが付き、しばらくすると機械から『週刊人間』の一六五号がぴょんと飛び出した」とある。さらに、ある人間の個人情報もプリントアウトして機械から出てくる。おお、こりゃ、インターネットだ(初出は1977年)。まあ、デジタルではなく紙ベースのところがご愛嬌。でも、ぼくはパソコンよりもこっちの機械のほうがほしいなあ。


創元推理文庫版には、権田萬治「泡坂妻夫と雑誌『幻影城』」という解説が収録されている。1975年から79年まで出された推理小説雑誌『幻影城』の編集長である島崎博が、台湾に生まれた中国人であることは知っていたが、以下のコトは知らなかった。

島崎博というペンネームの由来は、傅金泉という本名だと、日本の人は、どこまでが姓なのかわからないのと「傅」という字がなく、「傳」とよく間違えられるので、大学四年の時に結婚した夫人の島崎という姓に、傅の代わりにわかりやすい博を名前にしたペンネームを使うことにしたのだそうである。


「傅」と「傳」といえば、台湾の知人・傅月庵(フ・ユエアン)さんの表記が、後者ではなく前者だと、先日、岡島昭浩さんから教えていただいたのだった(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20050831)。漢字表記の難しさが、島崎博ペンネームをつくったというのはオモシロイ。なお、権田氏によれば、島崎氏は『幻影城』がつぶれたあと台湾に戻り消息を絶った。その後、1987年に連絡が取れたが、再び音信不通になってしまったのだという。しかし、昨年になって、推理マニアの力でもう一度島崎氏の消息がわかり、再度権田氏と電話で話したという。この件については、「探偵小説専門誌『幻影城』と日本の探偵作家たち」というサイトで報告されている(http://members.at.infoseek.co.jp/tanteisakka/sima.html)。


さて、今日のこと。8時半に起きて、出勤。進行中の企画2本について、書類を書いたり、メールを打ったりで時間が過ぎていく。昼飯は錦町の餃子屋。〈書肆アクセス〉に寄った後、〈三省堂書店〉で、『争議あり 脚本家荒井晴彦全映画論集』(青土社)646ページ、3800円!、『comic新現実』第6号(あすなひろし特集)、『ミーツ・リージョナル』11月号(本と書店特集)を買う。また、仕事場に戻って、7時過ぎまで仕事。ウチに帰り、サバを焼いたので晩飯。9時から、ダウンタウンの罰ゲーム特番を観る。ダウンタウンの番組はこの数年まったく見ていないが、コレだけは見てしまう。酔っ払った山田花子が最高でした。


10月に入ったので、手元にあるチラシなどの情報を元に、今月行っておきたいライブ、映画、イベントをメモしておく。どうせ、このうち幾つも行けないと思うのだが、備忘録(このコトバ、子どものときに「ボウビロク」と間違えて覚えてしまったので、いまでもそう打ち間違えてしまう)代わりに書いておこう。

開催中〜10月23日(日)
谷岡ヤスジ展 ニッポンの〈アサー!〉と丸い地平線」
三鷹市美術ギャラリー
http://www.mitaka.jpn.org/gallery/


開催中〜10月17日(月)
日月堂プレゼンツ「印刷解体」
ロゴスギャラリー
http://www2.odn.ne.jp/nichigetu-do/


10月6日(木)
D坂シネマ 産業と谷根千を探る
千駄木・D坂シネマ館(谷根千工房内の臨時映画室)
http://www.yanesen.net/


10月8日(土)〜30日(日)
ちょうちょぼっこ出張古本市+沼田元氣放出 駄本+がらくたバザール」
タコシェ
http://www.tacoche.com/


10月8日(土)〜
エイリアンVSヴァネッサ・パラディ
→タイトルのインパクトだけはすごい。たぶん観ないだろう…。
池袋・シネマサンシャインほか


10月9日(日)〜11月5日(土)
「日々是好日・監督春原(すのはら)政久」
→《大当たり百発百中》ほか小沢昭一主演作品が数本。河村黎吉主演《三等重役》も。
ラピュタ阿佐ヶ谷
http://www.laputa-jp.com/


10月14日(金)
浪曲玉川福太郎浪曲英雄列伝第四回」
木馬亭
http://www.geocities.jp/tamamiho55/
↑「ほとばしる浪花節 玉川美穂子のページ」


10月15日(土)
東京国際ファンタスティック映画祭映画秘宝10周年記念企画「追悼!石井輝
男」オールナイト
→《直撃地獄拳 大逆転》《やさぐれ姐御伝 総括リンチ》など4本。体力持つかしら。
http://tokyofanta.com/2005/


10月21日(金)
渋谷毅コンサート「旧奏楽堂に来ませんか」 ゲスト:坂田明
上野・奏楽堂
http://blog.carco.jp/


10月23日(日)〜12月17日(土)
芦川いづみスペシャル(モーニングショー)
→《硝子のジョニー 野獣のように見えて》(11月27日〜12月3日)は絶対観たい!
ラピュタ阿佐ヶ谷
http://www.laputa-jp.com/


10月22日(土)〜11月3日(木・祝)
江利チエミ主演《サザエさん》シリーズ上映
川崎市民ミュージアム
http://home.catv.ne.jp/hh/kcm/


10月23日(日)
渋谷毅ライブ(ソロ)
なってるハウス
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/


10月24日(月)
渡辺勝ライブ(ソロ)
なってるハウス
http://members.jcom.home.ne.jp/knuttelhouse/


10月25日(火)
高橋悠治渋谷毅北園克衛エリック・サティ
新宿ピットイン
http://guis.exblog.jp/


10月27日(木)〜29日(土)
「ROOTS&NEXT 1945-2005 マガジンハウス懐かしの雑誌即売会」
マガジンハウス本社 ワールドマガジンギャラリー
http://www.flying-books.com/magazinehouse.htm


10月29日(土)、30日(日)
イベント「テクストの祝祭日」
29日16:00〜18:00 トーク「戦後文学と編集者 松本昌次さん(影書房)に聞く」
30日16:00〜18:00 堀切直人×鈴木地蔵トークセッション「私たちの神保町」
東京古書会館2階情報スペース
問い合わせ:未來社編集部内 小柳暁子
koyanagi@miraisha.co.jp


10月29日(土)
渋谷毅・エッセンシャルエリントン
産業商工会館ホール(阿佐ヶ谷ジャズストリート)
http://www.asagayajazzst.com/


10月29日(土)〜11月11日(金)
「追悼・石井輝男特集」
→新東宝時代の作品をまとめて観たい
新文芸座
http://www.shin-bungeiza.com/


10月30日(日)
紀田順一郎講演会「幻想書林に分け入って」
徳島県北島町創世ホール
http://www.town.kitajima.lg.jp/hole/index.html
↑ぜひとも徳島まで飛んでいきたかったのだが、諸般の事情で行けそうにない。
小西さん、すいません……。


……書き写してたら、気持ち悪くなってきた。こんなにたくさん、ゼッタイ行けるワケない。三分の一以下だな、きっと。このほか、私立高校の文化祭(もちろん古本市目当て)、フィルムセンターの成瀬巳喜男特集、古書展などもあり、家庭の事情もあり、もちろん編集の仕事も原稿の締め切りもある。ぶじに乗り切れるかしら、今月。