フリーランスと出版社

なんだかちゃんと眠れず、朝方に起きてしまった。メールの返事を書いたりして、10時ごろまで眠る。そのあとは洗濯したり、読みかけの本を読んだりする。

赤道古本市で買った、佐倉色『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』(飛鳥新社)を読む。書店で見かけて気になっていた。KADOKAWAの雑誌でデビューした漫画家が、担当編集者の理不尽な要求に追い込まれていく実話。「ボーノ」という編集者の実名こそ出していないが、出版社名も雑誌名も出している。そうしないと説得力がないということもあるだろうが、私が知らないだけで、すでにネット上で話題になっていたので隠しても仕方がないということなのだろう。

フリーランスで仕事をしていると、出版社の編集者から理不尽な対応をされた経験は誰にでもあるだろう。私にもある。もちろん、この作者が受けたほどのひどいものではないので、なんとか続けていられるわけだが。ここに描かれている編集者の質が悪いところは、謝ったり誠意を見せているときには本人も心底反省しているように見えるところだ。でも、一枚薄皮をはがしてみれば、仕事相手を根本的になめていたり、会社が守ってくれると安心しているわけだ。

この本の後半で作者は、「というかここまで やられているのに ボーノ氏からの悪意や 敵意や目的が 全然見えてこない事が 不気味で怖い… 人が相手じゃないみたい」と感じているが、たしかにこれは怖い。漫画家が編集者との関係を描いたドキュメント的漫画として、西島大介の『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』(太田出版)を思い出した。

この本を読んだ人は、出版業界で仕事をしているフリーランスの立場から書かれたこの書評(https://shimirubon.jp/reviews/1682954)も読むと、いろいろ考えるきっかけになるかもしれない。かなり長いですが。

6時に千駄木の〈おでん高橋〉。奥の座敷で、〈古書ほうろう〉の健太郎さんと一緒に、Nさんと会う。「不忍ブックストリートMAP」を参考にしたいということで、一通りお話しする。夏だけど、おでんがうまい。10時に解散して帰る。

8月28日(月)19時30分より〈古書ほうろう〉で南陀楼綾繁 × 吉上恭太 × 山川直人トークイベント「東京で語ること、歌うこと、描くこと」開催。予約受付中です。当日来場された方にはこの日のためにつくったフリーペーパーを配布します。
http://horo.bz/event/ayashige_kyota_naoto20170828/