日曜日の作業と『昭和の翻訳出版事件簿』

今朝も7時ごろに目が覚めてしまった。朝は釜玉うどん。仕事やらイベントやら不忍ブックストリートやら「ヒトハコ」やらで、連絡メールを書いたり、書類をまとめなければならないことが溜まっているので、昨日買ったCDを聴きながらパソコンの前で過ごす。坂本龍一『音楽図鑑』のディスク2と詳細なライナーノーツに感涙。しばらく何度も聴くことになりそう。

昼過ぎに霜降銀座へ。夏のさなかとあって、さすがの〈スターフルーツ〉も野菜の種類が少ない。パクチーはもう一月ほど見てないなあ。〈伏見家食堂〉でビール大瓶とマカロニサラダ、ハンバーグ乗せたビーフカレー。これで1450円なのだから、毎週来たくなる。帰宅して、ちょっと昼寝したり、また作業したり。

宮田昇『昭和の翻訳出版事件簿』(創元社)を読む。90歳近くながらますますお元気で、精力的に執筆されている。本書は書名通り、戦後の翻訳出版のトピックスを語るものだが、現場にいた人ならではの証言が貴重だ。冒頭の「無断翻訳伝説」からして面白い。戦前の出版社の仕事への軽視(どうせ海外版元への許可とか取ってないんでしょ的な)が、戦後に翻訳出版のトラブルを招いたのだという。その後も、途中でやめられず読了。「事件」をめぐる翻訳出版史なので、ひとつひとつの例が興味深い。戦前に著作権徴収活動をしたプラーゲが大正期に旧制松江高校の教師だったこと。カミュ『ペスト』の翻訳権を創元社にいた隆慶一郎が取得したこと。早川書房はドライサー『アメリカの悲劇』(映画『陽のあたる場所』)を10万部刷り、トーハン独占流通で田舎の雑貨屋にまで配本したが、返本の山となり「早川書房の悲劇」と云われたこと。ロバート・ネイサンジェニーの肖像』の山室静訳が鎌倉書房から出ていたこと。ミルン『くまのプーさん』に石井桃子以外の訳があったこと。などなど挙げていけばキリがないほど、驚くことばかり。著者の指摘は経験と資料に基づき説得力がある。しかも文章が読みやすい。出版関係者必読です。人名索引、事項索引があるのもありがたい。

晩飯は豚コマとモヤシ炒め、味噌汁。そのあとも、作業の続き。とにかく手が付けられるところからやっていかないと、収拾がつかない。それにしても、今月はいろいろあった。昨日、大船駅のホームで「そういえば、大船〈ヒグラシ文庫〉でトークしたなあ」と昔のことのように思い出したが、たった20日前のことだった。8月もちょっと忙しくなるかも。今年前半、無為に過ごした時間が貯金できて、こういうときに使えたらと思う。