鎌倉でぐったり、新宿で大雨

朝7時起き。最近、朝が早い、溜まっていたゴミと缶・ビンを出す。朝はネギトロ丼。原稿を書きはじめ、10時前には完成。11時半に出て、田端から京浜東北線。座れたので、乗り換えるのがめんどくさくなりそのまま乗るが、やはり時間がかかる。車中読書は向田邦子『眠る盃』(講談社文庫)。短いエッセイを集めたものだが、その並べ方にセンスがある。当然、発表媒体はバラバラ。こういうエッセイ集、昔はいろんな著者が出していた。いまこの種の本を出すと「バラエティブック」という云い方をされることが多いが、そんな特別なものじゃなくて、「雑文集」という云い方のほうがぴったりくる。自分は雑文集が好きなんだと、最近再認している。

大船で乗り換え、鎌倉に着く。ホームを降りた瞬間、熱気がすごい。御成通りを抜けて、途中の細い道を進むと、二階建ての民家にたどり着く。〈多様性ゲストハウス 彩鎌倉〉というところで、雨の実さんが企画した一箱古本市が開催されているのだ。当初の予定だと、今日すでにオープンしているはずが、まだ改装が続いていてエアコンも半分しか使えない状況だとか。道理で中も暑い。一階と二階に15箱ほど出ているが、店主さんもタイヘンそうだ。新聞記者だという〈人生堂〉で小田豊二『聞き書き 横浜物語』(ホーム社)を買う。横浜育ちの松葉好市氏の聞き書きで、横浜の街の様子が判る本のようだ。『はま太郎』連載の資料になりそう。〈ママ猫の古本や〉では戸矢理衣奈『銀座と資生堂』(新潮選書)を。浴衣姿の雨の実さんと娘さんたちや、戦装束のゲストハウスの主らと話し、外に出る。

公文堂書店〉を覗く。いつもいい本あるなあ。そこから駅向こうに抜けて、ちょっと迷って〈books moblo〉にたどり着くが、仕入れとかで無情の休業。脱力し、あまりの暑さにフラフラしてきた。観光客向けではなさそうな店を探し、農協の隣にある〈大新〉へ。ずっと前にいちど入ったかな。ビールとメンマ、それから大新ラーメンというひき肉とザーサイの炒めたものにアンをかけたラーメンを食べる。腹にしみいるうまさだった。

駅に戻り、横須賀線に乗る。品川で山手線に乗り換えて、新宿。どこを歩いても人が多くて疲れる。〈ディスクユニオン〉の地下で、中古の坂本龍一『音楽図鑑 2015 Edition』(アウトテイク集のディスク2付き)、ムーンライダーズ『Tokyo7』、二階堂和美『GOTTA-NI』を買う。一時期停滞していた音楽への興味がまた復活しつつあるが、この店のように狭くて見にくい棚をじっくりブラウズしていく気力はもはやない。CDに関しては、探しているものがあればAmazonでも買うようになっている。

隣の〈らんぶる〉へ。地下が昔の純喫茶的で席が多いので、たまに打ち合わせに使うのだが、今日降りていったら、階段に人が並んでいてぎょっとする。それをすり抜けて、中に入ると、野村さんが先に席に座っていた。店内は満席で、一人で来ている客は皆無。ほとんどが若い人だ。なんだか信じられない光景。最近、神保町の〈さぼうる〉も店の前に客が並んでいるが、私が知らないだけで、なにかこういうムーブメントを引き起こしたきっかけがあるのだろうか。あとから来た大西さんもびっくりしている。落ち着かないなか、打ち合わせというか、こういう企画できたらいいねというアイデア出し。

階段を上がって外に出ると、けっこう強い雨が降っている。出がけに折り畳み傘を入れておいてよかった。山手線で駒込から帰る。スーパーで買い物して、家にたどり着くまでに、雨は降るしムシムシして汗はかくしで不快感マックス。すぐシャワーを浴びる。晩飯は豚小間とトマトソースのパスタ。今日も早めに眠くなって寝るが、1時すぎに目が覚めてそれからちょっとYouTube見たりするので、安眠とは云いがたい。

8月28日(月)、〈古書ほうろう〉で吉上恭太さん、山川直人さんと「東京で語ること、歌うこと、描くこと」と題してトークをします。私の新刊のカバーと、吉上さんの新アルバム『ある日の続き』のジャケットを描いてくれた縁で山川さんにも出ていただくことになった。ほうろうでのトークは2年前の春に、放浪書房のとみーさんとやって以来か。今回はタイトルも当日の司会も、吉上さんにお任せしている。さて、どんな話が出るだろうか。たくさんのお越しをお待ちしています。
http://horo.bz/event/ayashige_kyota_naoto20170828/