高原で一箱古本市

6時半起き。田端駅から山手線。新宿駅南口の構内の立ち食いそば屋で、冷やしたぬき食べる。バスタ新宿から小諸行きのバスへ。ほぼ満席。関越自動車道が渋滞し、1時間遅れる。車中、なぜか坂本龍一の『音楽図鑑』が聴きたくなり、YouTubeで聴くうちに、坂本の他のソロ作へと続く。1980年代前半までに聴いた音楽は、その後に聴いたのと違い、身体の中にフレーズが埋め込まれている感じだ。

小諸駅に〈茶房読書の森〉の依田雄さんが迎えに来てくれた。そこから車で20分ぐらい、山を登ったところが、今日のイベント「メェェメェェ丘マルシェ×一箱古本市×森の音楽祭」の会場なのだった。マルシェの飲食や手づくり品の出店のあいだに、一箱古本市の箱が並ぶ。一箱の出店は15箱ぐらいか。3月の神楽坂一箱古本市でハマってしまった「かめこばこ」さん夫妻も出ている。読書の森のチラシを描いたこともある木版イラストレーターの宇田川新聞さん夫妻も来ていた。

中央ステージではイノトモさん、湯川トーベンさんのライブが進行中。どこにいてもよく聴こえる。ベジタブルカレーを食べたり、リンゴジュースを飲んだりしてのんびり過ごす。なぜかビール売っているところがないのが唯一惜しい。まあ、本はあまり売れないけど。

16時から私のトーク。ライブ終わったら人がいなくなると思ったら、30人近く残ってくれた。聞き手は杣Booksの細井岳さん。彼は本を入れた笈を担いで山に登り、そこで本を並べて売る活動をしている。事前に告知しても、登ってみると誰もいないことがあるそうだ。当り前のような気もするけど。たまたま登ってきたチェコ人の団体が本を買ってくれたという話が面白い。

終わって、読書の森の母屋で打ち上げ。ミュージシャン、スタッフ、客が入り乱れて、食べたり飲んだり、歌ったり。サラダうどんやエスニック豚汁(絶品!)を出していた〈長男堂〉の女性と話す。吉祥寺で持ち帰りの総菜屋さんを営んでいるが、以前は食堂だったという。理由を聞いてみたら、拙著『谷根千ちいさなお店散歩』の取材のときに感じたことと同じだった。つまり、店に入ってきて我が物顔に振る舞う客が多いということだ。とくに写真を撮ることに何の躊躇もなさすぎる。先日、レコード屋に何も云わずに入ってきて、店主を無視して写真だけ取って帰る若者が増加したことがネットニュースになっていた。その店主の空間を訪ねるのだという感覚がなければ、客と店主とのいい関係は生まれないのに。

宴はまだまだ続いているが、疲れたので先に失礼する。さっきのイベントの舞台となった高原に、モンゴルのパオ(テント式の小屋)が移築されていて、そこに泊まるのだ。私ひとりで使うのは贅沢すぎる広さ。中もきれいで、電源が使えるのもありがたい。朝からの流れで、YouTubeで1980年代音楽をうろうろ。そこから派生してロシア(?)のよく判らないバンドの曲も聴く。結局寝たのは1時すぎだった。