ラジオのち置賜のち香港

8時半起き。残りの白身フライとごはん、味噌汁。あれこれやってるうちに出かける時間に。今日も暑い。浜松町の文化放送。「くにまるジャパン」の「本屋さんへ行こう」出演。今年2回目。新刊と展覧会、みせばんのこと。後半で本を紹介するのが今回なかったので、その分落ち着いて話せたかな。

秋葉原経由で築地へ。〈ふげん社〉近くのラーメン屋で昼飯。女性客が「ここは土日はやってるの?」と訊くと、外国人らしい店員が「土曜は9時から3時までです」と答える。築地だから早い時間からやってるのかなと思っていたら、しばらく経って「11時からでした」と訂正する。自分の出勤時間と勘違いしてたらしい。隣に店長か先輩と別の店員がいたのだが、2人とも何も云わない。どうでもいいのか。

本日休業の〈ふげん社〉へ。明日4日から〈ふげん社〉ではじまる「地域からの風 置賜篇」の設営に立ち会う。といっても、すでに関根母娘がほとんどの設営を終えていた。mizutamaさんのお絵かきコースターは310枚もぶら下がっていて、なかなか壮観。そのほか、遅筆堂文庫やBook! Book! Okitamaの紹介パネル、置賜に関する本やグッズの販売、地元フリーペーパーの配布など、見ごたえある展示になったのではないか。置賜を知らない人も知っている人も、ぜひ足を運んでほしい。

夕方までかかると思っていたら、2時過ぎには終わってしまった。近くの〈京橋図書館〉で調べものをして2時間ほどつぶす。地下の郷土資料室は相変わらず充実している。それでもまだ時間があるので、日比谷に出て日比谷シャンテの〈八重洲ブックセンター〉を覗く。外に出た途端、ムッと暑く、〈ドトール〉に避難して本を読む。

霞が関駅で降りて、プレスセンターの日本記者クラブへ。何回で降りればいいか判らなくて、迷う。受付で誘ってくれた野村麻里さんと待ち合わせ。香港映画『十年』の試写を観る。製作された2015年時点の香港の政治・社会・文化事情をふまえ、10年未来の2025年を舞台とする5つの短篇のオムニバス映画。低予算と思えない映像のクオリティ、監督ごとの語り口が面白い。私的によかったのは順に、3話「方言」、4話「焼身自殺者」、5話「地元産の卵」だった。2話「冬のセミ」は訳わからず途中で眠ってしまうが、あとで「みんなそう云うんです」と云われた。

野村さんが「オーウェルの『1984』みたいですよね」と云うように、香港のドメスティックな文化が中国という国家体制によって圧殺される恐怖を描いている。とくに「焼身自殺者」には、いまの香港人のリアルな感情が反映されているのだろう。「地元産の卵」の少年団はナチスドイツや文化革命を彷彿させる。

ただ、香港の事情を知らない人には、前提なしに観ると理解できないところがけっこうあると思う。私は野村さんの『香港風味』(平凡社)を読んでいたので、ある程度理解できたけど、それでも「方言」に出てくる広東語と普通語(北京語)の関係などは、最初判りにくかった(この話だけは、字幕で二つの言葉を区別してほしかった)。なので、映画鑑賞としては邪道だが、プレスリリースを読んでおいてよかった。同じ内容がウェブサイト(http://www.tenyears-movie.com/)に掲載されているので、イントロダクション、ストーリー、レビュー(野村さん執筆)だけでも目を通しておくといいです。

この映画は、香港に興味がある人だけが観るのはもったいない。ある文化がある国家の力で変えられてしまう悲劇(喜劇)を描いたものなので、自分に引きつけて観るほうが得ることが多いと思う。7月22日〜 新宿〈K's cinema〉で公開。
http://www.ks-cinema.com/movie/tenyears/

終わって、プレスセンターの〈ジュンク堂書店〉で、R.D.ウィングフィールド『フロスト始末』上・下(創元推理文庫)買う。上下で900ページ超。読むのが楽しみだけど、他の本が読めなくなるなあ。野村さん、香港好きで映画会社のSさんと地下鉄のうどん屋へ。豚のつけうどんが結構うまかった。千代田線で西日暮里駅から帰る。