出版者ワークショップ主催シンポ、無事終了しました

2月22日に、シアター・イワトで、出版者ワークショップ主催 公開シンポジウムVol.1「『紙vs電子』から遠く離れて
――出版者が生きる道を考える」があった。前半にこのワークショップのメンバーが「どういう条件がクリアされれば電子書籍がつくりたいか」という発表をし、それを受ける形で、ボイジャーの萩野正昭さん、デザイナーの松本弦人さん、星海社太田克史さん、凸版印刷の紺野慎一さんにパネルディスカッションをしていただいた。


イワトの平野公子さんから、本についてのトークイベントを3つやりたいから、そのひとつを出版者ワークショップでやりなさい、テーマは電子書籍でとリクエストされたとき、正直大丈夫かなと危ぶんだ。ワークショップを始めてから半年経つが、自分たちでイベントをやる力があるかは未知数だったし、電子書籍への興味自体があるかも判らなかった。しかし、なにか実践することでひとつ前に進むのではという期待があったので、やってみることにした。


12月ごろから、どういうシンポジウムにしたいか、誰にパネラーに頼むか、構成をどうするかということをメンバーで話し合った。ぼくは最終的な判断はするけど、なるべく議論には口を挟まないようにした。パネラーへの依頼とか会場の準備とかについても、なるべく彼らにやってもらった。本当を云えば、ぼく自身が動く方がすんなり決まることも多く、なかなか進まない状況をハラハラしながら見守っていた。しかし、彼らは未経験ながら頑張ってじりじりと準備を進めていった。ぼくが決めてメンバーにやってもらうというやり方をとらなかったから、自分たちでやらねばという気持ちが強くなったのだろう。パネラーの人選ひとつとっても、ぼくの頭の中からは出てこなかった人たちで、新鮮だった。


いろいろなコトが決まって、やっと告知できたのが2月に入ってから。これで人が集まるのかと思ったが、順調に予約が入り、130人に達した。一方で、シンポの構成もなんとかできた。メンバーのうち3人が代表して発表することも決まった。だけど、メンバーによる前半とパネラーによる後半がうまくつながってくれるのか、という不安はまだ残っていた。


当日は開場の2時間前に集まり、イワトのスタッフに指示してもらいながら、設営を行なった。時間の余裕があるように思えたが、パネラーのパソコンをセッティングしたりしてるともう開場時間だった。どんどんお客さんが入ってくる。受け付けや誘導も、もちろんメンバーが行なう。


そして開演。入場者は110人。完全に満員だ。まず、ぼくがこのワークショップとシンポジウムの趣旨を述べ、丹治さんにマイクを渡す。丹治さんの適切な紹介に続き、小林さん、加藤さん、永岡くんが発表を行う。聴衆の反応が不安だったが、うなずいたりメモを取っている人がいてホッとする。そのあと、萩野さんにマイクを渡して、パネルディスカッションの司会をお願いする。パネラーの皆さんには、発表の部分には触れられるようならお願いしますと伝えてあったが、各自の企画や「出版者」というキーワードを使いつつ、見事につなげてくださったと思う。前半の自己紹介とデモを終え、休憩15分。その後45分で終了の予定だったが、ディスカッションが白熱し、30分オーバーの22時に終了した。立場も考えも違うように見えたパネラーが、お互いの仕事に敬意を払っていることがよく判った。


終わってからパネラーの皆さんとメンバーで、向いの焼肉屋で打ち上げ。無事終わったことも嬉しかったが、ワークショップのメンバーが、自分の頭と手を使ってここまで大きなイベントを実現させたことが嬉しかった。


今後の出版者ワークショップは、このシンポジウムで学んだことを生かして、各自のつくりたい本の実現に向けて動いていくつもりだ。ゲストも、出版業界にこだわらずお呼びする予定。直近では3月26日(土)の「あいおい古本まつり」の企画として、画家の牧野伊三夫さんのお話を聴くことになっている(予約受付中。
http://aioibooklabo.blog.shinobi.jp/Entry/9/)。


今回のシンポジウムで参加された方、あるいは興味をお持ちの方の、出版者ワークショップへの参加を歓迎します。月2回で、一年ぐらい参加できる人がベストですが、仕事の都合などで休む回があってもフォローできるようになっています。参加費は1回3500円。まず見学したいという方も歓迎します。このブログの上部にあるメールアドレスからご連絡ください。お待ちしています。