展覧会と新刊

お知らせが遅くなりましたが、市川で中里和人さんの展覧会が開催中です。

中里和人展 風景ノ境界 1983-2010


会期  2010年8月28日(土)〜2010年10月11日(月)
    月曜日休館(祝日の場合はその翌日休館)
時間  9:30〜16:30(入館は16:00まで)
会場  芳澤ガーデンギャラリー 
    千葉県市川市真間5-1-18
    TEL 047-374-7687
入場料 一般200円
アクセス http://www.tekona.net/yoshizawa/access.html

 
 なにげない風景の隙間に輝く不思議な魅力をとらえた、そんな独特の風景の写真で知られる市川市在住の写真家・中里和人(なかざと かつひと)。
 1980年代、急速な開発により、新興都市へと変化を遂げようとする東京湾岸の様子を記録したデビュー作『湾岸原野』(1991年)。ありあわせの廃材で作られ、道端に静かにたたずむ、日本各地の小屋の姿を追った『小屋の肖像』(2000年)。身近な光景が白日夢のような世界に変化する不思議な瞬間をとらえた『キリコの街』(2002年)。漆黒の闇の中、初めてその姿を現す、深い夜の景色を写した『ULTRA』(2008年)。作品の対象の多くは、既に在りながらも目にはつかない、日常に埋もれた日本の景色の数々です。中里は、自分の足下に広がる身近な光景を視つめながら、その中に新たなイメージを発見し、景色が持つ多様な豊かさを見る者に提示します。
 本展では、デビュー作から近年まで発表された写真作品約100点と最新の映像作品などを展示し、中里が追い求める写真世界に迫ります。移りゆくものの境界で、町や土地がふとのぞかせる、危うくも美しい横顔。デビュー以来変わらない視線で、日本の中にもう一つの異世界を探し求める「風景ノ境界」をどうぞご覧ください。 
 また、展覧会に先駆け、中里を講師として迎え開催した写真ワークショップ「〈絵ハガキの町〉市川 創出計画」で制作された、新しい市川絵ハガキセットの数々も展示いたします。子どもから大人まで、幅広い年齢層の参加者が、それぞれの視点で写し取った町の魅力。そんな魅力が沢山詰まった写真が絵ハガキに生まれ変わり、芳澤ガーデンギャラリーに新しい「〈絵ハガキの町〉市川」が誕生します。
同時開催:「〈絵ハガキの町〉市川 創出計画展」


[関連イベント] 無料(入館料のみ必要)
■ ギャラリートーク&スライドショー「闇を見る、闇を歩く」
日時:2010年9月18日(土) 14:00〜16:00
出演:中里和人 ゲスト:中野純(体験作家・闇歩きガイド)
闇歩きの達人として活躍する作家の中野純さんをゲストに迎え、今回の展示作品、特に近年取り組んでいる夜や闇を写した作品や、新作の映像作品について、スライドショーを交えてお話しします。
※先着20名(当日9:30から整理券を配布)


これまでの中里さんの仕事の集大成的な展示なので、見るのが楽しみ。こんな展示をやることを知らずに、『雲遊天下』で中里さんにインタビューを申し込んだのですが、いいタイミングでした。このインタビュー掲載号も会場で販売されています。


もうひとつ、展覧会。

飯沢耕太郎監修「寫眞に歸れ」


この度、ギャラリーニエプス、ZEN FOTO GALLERY、森岡書店の3ギャラリー共同企画展として写真評論家飯沢耕太郎氏監修で「寫眞に歸れ」と題した中山岩太やハナヤ勘兵衛などの戦前の前衛写真、「光画」を中心とした希少な雑誌、花電車の絵はがきなどの1930年代の知らざれる日本の写真文化に関する展示を行います。 是非3ギャラリー併せてお立ち寄り下さい。


「寫眞に歸れ」展 ZEN FOTO GALLERY 2010年9月3日(金)〜19日(日)
http://www.zen-foto.jp/index.html
「光画」展 森岡書店  2010年9月8日(水)〜18日(土)(日曜日休み)  
http://www.moriokashoten.com/
「花電車」展 ギャラリーニエプス  2010年9月7日(火)〜19日(日)
http://niepce-tokyo.com/


3月に飯沢さんと名古屋でトークをしたのがきっかけで、飯沢さんと写真家の中藤毅彦さんが蒐集してきた花電車の絵葉書を中心にした本を実現したいと動いているのだが、そのコレクションが中藤さんが運営する〈ギャラリーニエプス〉で展示される。コレは迫力ですよ〜。ほかの2会場の企画も面白そう。〈森岡書店〉では9月17日(金)に飯沢さんのギャラリートークも開催されるそうです。


もうひとつ。ピンク&ゲイ映画監督の山崎邦紀さんの新作撮影でエキストラを募集しています。場所はしばらく前に新館に移った、〈上野オークラ劇場〉の旧館で、近いうちに取り壊しが決まっているそうです。撮影は9月13日(月)13:00〜 で、客席に座ってもらうのだそうです。詳しくはオークラのブログ(http://uenookura.blog108.fc2.com/)にて。


届いた本では、まず山本善行『古本のことしか頭になかった』(『Sanpo magazine』別冊1)。エルマガジンに連載されたコラムをまとめたもので、2005〜2008年の古本界のクロニクルみたいな本になっています。これと、『書肆紅屋の本 2007年8月〜2009年12月』(論創社)をつなげて読んでみると、この5年間の状況がよく判ります。ついでに、2005年を書いたぼくの『路上派遊書日記』もヨコに置いてもらえるとうれしい。『古本のことしか〜』は新書サイズなのがイイです。出版レーベルとしての新書はデザインフォーマットが固定されてますが、こういうイレギュラーな新書判は一冊一冊が個性的で楽しいです。


もう一冊は、礫川全次『サンカと説教強盗 闇と漂泊の民俗史』(河出文庫)。礫川さんはサンカをはじめ、これまでの民俗学が取り上げてこなかったテーマを書いてきた方ですが、本書の単行本(1992年)がデビュー作だそうです。刊行時にかなりコーフンして読んだ記憶があります。


金沢に出かける前にかなり資料を大量に使う仕事を終えたと思ったら、こんどは「小説検定」もあり、7月からいったい何冊読んでるだろうという状態。それでも間に合わず、土日もひたすら読む。「外市」にゲストで来た〈五っ葉文庫〉くんと〈徒然舎〉さんが、〈信天翁〉に来るというので、ちょっと会いに行く。〈信天翁〉も一月ぶりだが、新しい棚が入ったり、新入荷コーナーができたりと進化中。諏訪優芥川龍之介の俳句を歩く』(踏青社)を見つける。こんな本があったとは知らなかった。