一箱古本市・一日目
昨日の雨がからりと上がり、今朝はとてもいい天気です。
一箱古本市の第一日目を開催します!!
今回は10回目という節目です。
本日は千駄木から根津、上野桜木方面にかけての9スポットで50箱が出店します。
詳しくは公式サイト(http://sbs.yanesen.org/)をご参照ください。
また、モデルコースはこちら(http://d.hatena.ne.jp/shinobazukun/20100428)です。
たくさんの方々のおいでをお待ちしています。
ぼくは今日は最初は市田邸、それから自転車部隊として、一回りしています。見かけたら声をかけてください。
では、会場でお会いしましょう!
朝8時前に起きる。窓からの日差しが強いぐらい。文句なしの一箱古本日日和だ。開会宣言をアップする。自転車で出かける。根津駅前の〈吉野家〉で朝定食。9時に市田邸へ。たいとう歴史都市研究会(http://www.taireki.com/ichidatei/)のTさんが門を開けてくれる。地面はまだ多少濡れているけど、箱を置けないほどではない。Tさんと相談して、中庭も使わせていただくことにする。10時前になると、スタッフや店主さん、アノニマ・スタジオ、ジャングルブックスなどの人びとがやってきて対応に追われる。
ジャングルさんは奥の蔵で占いをやるのだが、そのポスターがおどろおどろしくて笑う。昭和の場末のストリップ小屋のポスターみたい。文字の間違いを上から紙はって修正している辺りも、場末っぽい。アノニマの気取りのない自然な感じのポスターといっしょに貼ると、すごいミスマッチ(笑)。でも、この両方を飲み込むのが一箱古本市というイベントなのである。
11時に販売スタート。ココには5箱が出店(1箱キャンセル)。「おやじランナーの連帯」「あいうの本棚」などのベテランや、「芸工展実行委員会」(トンブリンさん試作の一箱専用の箱を使用していた)、「めがね書房」などが出店。「くちぶえブックセンター」には内田善美や陸奥A子などの少女漫画が並んでいる。最初のうちは人がぽつりぽつり。ココからスタートする人は意外に少ないか。でも、普段は公開していない市田邸を見たいという人が立ち寄ったりして、次第に人が増えてくる。問題なさそうなので、11時半ごろに出かける。
「ミスター一箱古本市」というタスキを着用せよ、というお達しが、ほうろうのミカコさんから出ていたので、かけてみるが、恥しいったらない。まだ大家さんでは知り合いばかりだからいいけど、普通に道を走っていると奇異の眼が方々から突き刺さってくる。立ちどまって外し、次のスポットに近づいたら着けるという、姑息な手段を最初は取っていたが、その着脱の瞬間を見られるのはもっと恥ずかしいので、途中から開き直って着けっぱなしにする。
〈COUZT CAFE 藍い月〉へ。ここは4箱。昔からの家が多いというので、事前にあいさつ回りに行ったりしたが、トラブルもなくホッとする。この店のオーナー・楠さんが店主の「nobnob books」は、デザインやイラストが素晴らしい洋書が多い。「とみきち屋」さんからいつもの出品リストをもらう。
次に〈根津教会〉。ここは6箱(1箱キャンセル)。二重三重の人だかりで驚く。恒例の根津教会のバザーにもイイ本が出ていた。花やこんにゃくを売る子どもたちもいて、にぎやか。「市川糂汰堂」の江戸東京本はいつも渋い品ぞろえ。加太こうじ『東京の原像』(講談社現代新書)を買う。「嘘と珈琲と文庫」にはビジュアルな本が多く、ソノシートがついているというのに惹かれて、『LET’S FIND OUT WHAT’S BIF AND WHAT’S SMALL』という絵本を買ってしまう。ナンの音が入っているんだろう? 「Roofs雑貨商」では、店主の一人が前から取材している高知の「沢田マンション」についてのミニコミを150円で買う。プリントを綴じた簡素なものだが面白そう。買うとその場で題名を書きこんでくれる。
次に〈クラフト芳房〉へ。ココは2箱と少ないが、根岸で古本販売もやっている「bangobooks」と、一箱・みちくさ常連の「古本 寝床や」という強力タッグを配置。次に〈往来堂〉に向かおうとしたら、武藤良子から電話。あとで会うことにする。往来堂は4箱。「Azteca Books」がドドーンと洋書を積み上げたタワーをつくっている。「もす文庫」は福島に転勤になったということで、新幹線での参加。福島のお菓子をもらう。新作缶バッジを買い損ねた。ココは人が多すぎて、ほとんど本が見られなかった。『一箱古本市の歩きかた』を販売しているので、サインを求められた。
ムトーから催促が入り、急いで団子坂を上る。羽鳥書店の前に、わめぞの連中(武藤、向井、瀬戸、王子、HB橋本)と浅生ハルミンさんがいる。事務所内で山口晃の原画を展示している。ちょうど昼時なので、近くのそば屋へ。暑いのでビール飲んでしまう。〈あめ細工 吉原〉を覗くが、工房の前は見学者でいっぱい。わめぞ連と別れて、〈千駄木の郷〉へ。ココは9箱。「古書北方人」で風間完『日曜画家の鉛筆画入門』買う。「谷中姉妹舎」は前回買ったトートバッグの新作が。欲しかったけどやめておく。
〈旧安田邸〉〉へ。今回は前庭を全面に使わせてもらったので、にぎやか。見学の人も多い。「マステルとマルガリータ」は、一箱専用の箱を使って、楽しくディスプレイしている。本やカードのセンスも面白い。「本と本の雑貨 BOOKLOVE」は、8ヶ月の男の子を連れての参戦。昨年の春はお腹にいたのだという。可愛かった。ご夫妻が回ってきた世界の古本屋や図書館のポストカードが展示されている。写真もデザインセンスも抜群。二種類のセットを買う。「古書パタリロ」はわめぞの低所得&無所得の「野合」コンビ。軽蔑のまなざしで箱を見るが、けっこうイイじゃないか。u-senに勧められた木村新『根岸人 六』という小冊子には柴田宵曲や森銑三が出てくるので即購入。ついでに「すなっく生意気」のマグネットも(ナニに使うんだ…)。
〈古書ほうろう〉は8箱。札幌の古本バー「アダノンキ」さんに挨拶。いちど行ってみたい店。河出新書写真篇がまとめてあり、『東京の大学 早稲田慶應』を選ぶ。それと札幌の書肆吉成が出している縦長の雑誌『アフンルパル通信』も。なんと題字は吉増剛造。札幌でもぜひ一箱をと焚き付けておく。「せんさ」は箱の前に薄っぺらいミニコミを何種か立てかけており、なんかありそうだという匂いがする。フリーペーパー『花形文化通信』『ペッペーショップ』やアテネ・フランセ文化センターのパンフレットが、何号か袋詰めになったモノを買う。当時入手したものを整理して出したのだという。素晴らしい。「おと・せとら」はほうろうでフェア開催中のアルテスパブリッシングの鈴木さんが店主。共通の知り合いも多そうだ。「yom yom古書部」のゲスト店長は大森望さん。「なんか張り切って300冊ぐらいタクシーで持ってきちゃったんだよ」と編集のKさんが困っていたが、値段が安いので飛ぶように売れていた。
〈不思議〉の下では「谷根千おしょくじ」を開催中。ぼくも引いてみたら、〈イアナック〉のくじだった。毎週通ってるんですが。でも、よくできた遊びだよな。最後のスポットである〈ギャラリーKINGYO〉へ。ココは5箱。「ウオノメ書房」は古本を買うと占ってくれるというサービス。だいぶ見たそうだ。市田邸の占いもすぐに予約で埋まったようだし、これからは一箱のサイドビジネスとして占いを企画しようかな。「古本T」は芸能と遍歴がテーマ。水族館劇場の公演を記念してということだそうだ。「ドンベーブックス」は、さすがに各地の一箱をめぐり歩いただけに、貫禄の売れ行きだった。
用事でもう一度往来堂に帰ると、2日に取材を受ける人が下見に来ていた。その人を案内して、市田邸に戻る。アノニマ企画のよみきかせの2回目が開催中。アノニマさんの新刊・古本とも好調の売れ行きだと。「古本屋ツアー・イン・ジャパン」さんが来たので、〈谷中ボッサ〉へ。白石ちえこ写真展の初日で込んでいるが、白石さんの席に入りこんで、賞を渡す箱を決めてもらう。本人は顔出ししないので、ぼくが代わりに手渡すことに。その最中に何人かから電話がかかってきて、「いま、大森さんがラジオに出ているので、ほうろうに早く来て」と云われるが、いちばん遠いところにいるので無理。大竹まことと話せるチャンスだったのだが。
市田邸に戻ると、終了間際なのにどんどん人がやってくる。まだ売れそうな気配だったが、ルール通り4時に終了を宣言。拍手で終わる。ココは外と中の同時撤収なので大変だが、芸工展の皆さんが手伝ってくれたので、30分ほどで片付く。一足先に出る。言問通りを下っているときに〈やぶさいそうすけ〉が目に入り、牧野伊佐夫さんに挨拶。「谷中たんこ部」展を駆け足で見る。牧野さんが描いたカップが欲しい。
ふれあい館へ。会議室で集計作業開始。こちらは地下ホールに行って、打ち上げイベントの準備。しばらくして大荷物を持ったオヨちゃんがやってくる。金沢から今朝早く出てきたのだとか。プレゼンターも次々入ってくるので、打ち合わせなどで忙しい。
7時10分、打ち上げイベントスタート。いつもの「古本ジェットストリーム」コンビで司会。高田純次を上回るオヨちゃんの適当っぷりが、相手には最適。個人賞の発表では、選ばれた店主さんがきちんと話してくれたので、盛り上がる。各賞の第一候補が全員出席していたのは初めてかも。各賞及び全体の集計は以下の通り。
◎谷根千工房賞 出島グラナードス(千駄木の郷前)
◎藍と絹のギャラリー賞 古本T(ギャラリーKINGYO前)
◎古本屋ツアー・イン・ジャパン賞 古書北方人(千駄木の郷前)
◎わめぞ賞 マステルとマルガリータ(旧安田楠雄邸前)
◎浅生ハルミン賞 アダノンキ(古書ほうろう前)
◎大森望賞 くちぶえブックセンター(市田邸前)
◎古書ほうろう賞 小籠包文庫(ギャラリーKINGYO前)
◎オヨヨ書林賞 林檎文庫(千駄木の郷前)
《売上冊数ベスト3》
1位 とみきち屋(藍い月前) 141点
2位 yom yom古書部 大森望店長(古書ほうろう前) 100点
3位 おやじランナーの連帯(市田邸前) 91点
《売上金額ベスト3》
1位 AZTECA BOOKS(往来堂書店前)
2位 とみきち屋(藍い月前)
3位 ドンベーブックス(ギャラリーKINGYO前)《合計点数》 2,107点 一箱平均 43.8点
《売上合計金額》 863,850円 一箱平均 17,996円
いつもよりちょっと長めに7時半終了。終わるとどっと疲れが出る。片付けて、根津の〈養老の滝〉へ。40人近く集まって、身動きとれない。助っ人のツカダさんの持論「ライターと編集者は両立しない」をアルテス鈴木さんたちと論じたり、ジャングルさんに占ってもらったり、オヨちゃんに代わる2日の打ち上げイベントの新司会を選出したり(当日まで内緒)と盛り上がった。終わってまだ名残惜しい感じだったが、数人が残って、〈桃と蓮〉へ。フォーで締めて、12時過ぎに帰ってくる。
ご存知モンガ堂さんが、今年も一箱古本市リンクをつくって下さいました。感謝。既にたくさんの記事がリンクされています。
http://d.hatena.ne.jp/mongabook/20100430