久しぶりに固有名詞だらけ

3月16日。大川渉さんと『雲遊天下』の五十嵐さんと飲む。場所は三ノ輪の〈中ざと〉(〈中里〉とも書く)。1年半前に閉店することを聞いて別れを惜しんだ(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20080812)のであるが、その後、半年して再開していたらしい。大川さんから「やってるらしいよ」と聞いて半信半疑だった。行ってみたら、以前の店主とおばさんでメニューも同じ。嬉しい。そのあと三河島の裏通りにある、前から気になっていた〈越後〉(だったかな)という居酒屋へ。小上がりが普通の家の座敷みたいで楽しい。最後に駅前の深夜までやってるそば屋で、そばを食べて解散。大川さんと飲むと、どうも腹いっぱいになっちゃうなあ。


3月18日。朝から懸案の原稿にかかり、昼すぎに完成。この数日、関係資料をずっと読んでいた。ホッとしたところに、白石ちえこさんから電話で、今日展覧会の下見に来るという。〈深セン(土+川)〉でランチ(エビかけごはん。パクチーが利いている)のあと、〈谷中ボッサ〉へ。白石さん、アコーディオン奏者の熊坂るつこさんと会う。4月29日(木・祝)〜5月3日(月・祝)にこの店で白石ちえこ写真展「ねこと海」を開催するが、そのスペシャルイベントとして、白石さんがファンであるcatsup(るつこさんとお兄さんのコントラバス奏者・熊坂義人のユニット)のライブを4月30日(金)に行なうことになったのだ。るつこさんの演奏は、加藤千晶さんのライブで何度か拝見している。打ち合わせのあと、浦和にお住まいだということでその話で盛り上がる。谷中墓地を案内したあと、もう少し散歩するというるつこさんと別れて、仕事場へ。


7時前に高田馬場へ。〈芳林堂書店〉で、『小説トリッパー』を立ち読み。永江朗さんが「永江堂書店〈雑誌の黄昏〉について考える10冊」で『老舗の流儀』を取り上げてくださった。雑誌の広告の話。ちょっと時間があるので、ゆっくり棚を見たら、たちまちほしい本が何冊も見つかる。笠原五夫『東京銭湯三国志』(文芸社)、ラリー遠田『この芸人を見よ!』(サイゾー)、日下三蔵編『日本SF全集』第2巻(出版芸術社)、本間健彦高田渡と父・豊の「生活の柄」』(社会評論社)、鏡明『二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』(本の雑誌社)、荒俣宏『アラマタ美術誌』(新書館)、川向正人『小布施まちづくりの奇跡』(新潮新書)、その他「小説検定」の資料2冊。カードで本を買うのは最近やめていたが、つい使ってしまった。まずい。


駅から3、4分の〈熊ぼっこ〉で武藤良子と待ち合わせ。『HB』でこの店のことを書くというので、二度目の取材に付き合う。学生のときに1、2度来たきりだなあ。10時過ぎに登場した70代の店主と武藤とのかみ合わないインタビューが面白かった。


今日。10時半に西日暮里駅のカフェで生命保険の人と会い、契約の更新。そのあと神保町へ。〈東京堂〉で、『出版ニュース』3月上旬号を見つける。神保町のオタさんに記事が載っていると教えてもらったが、近くの図書館になかった。長岡義幸さんのコラム「ブック・ストリート 流通」で、「『一箱古本市』の一端に触れて」という一文を書いてくれた。先日の高円寺純情出版界での話が主だが、「羽鳥書店まつり」にも来てくれたようだ。それと、飯沢耕太郎『「女の子写真」の時代』(NTT出版)を買う。


三省堂書店〉へ。4階の出版関係コーナーで、一箱や外市のお客さんであるSさんにバッタリ。写真集コーナーで、藤森照信・初田亨・藤岡洋保編著『写真集 幻景の東京 大正・昭和の街と住い』(柏書房)が平積みになっていた。本体5800円という定価にうなるが、映画館・カフェー・百貨店・書店など商売別に分類された写真を見てしまうと買わずにはおれない(外観だけでなく店内の写真もあるのだ)。カード買いのついでに(?)、吉川登編『近代大阪の出版』(創元社)も一緒に。いつ読めるんだろう? 2階で、石黒正数『響子と父さん』(徳間書店)、東村アキコママはテンパリスト』第3巻(集英社)を。


12時に〈神保町シアター〉。一か月近く空いてしまった。すでに特集は「春よ!乙女よ!映画よ!」に変っている。ロビーには「神保町乙女歩きマップ」なるイラストマップが掲示されていたが、それを眺めているのがオジサンばかりという悲劇。今日観たのは三隅研次監督《処女が見た》(1966)。同じ若尾文子主演の増村保造監督《女の小箱より 夫が見た》は観ているが、こちらは初めて。図らずも官能におぼれていく若尾と、少女らしい潔癖さを持つ安田道代との対比が見事。城健三朗(若山富三郎)がいかにも精力的な男を演じている。三隅の演出は増村とはまた違うねちっこさがある。


終わって、小川町の〈ボンディ〉へ。ココのカレーを食べるのは数年ぶり。チキンカレーのチキン、こんなに大きかったっけ(その分、ルーがすごく少ない)。小川町駅近くの事務用品屋で名刺入れを買って、仕事場に戻る。『フリースタイル』第11号到着。それと、『ぱんとたまねぎ』の林舞さんから、新しい号(小倉特集)と小冊子『京都左京区パン屋と本屋』をいただく。文章もデザインもどんどんうまくなっていくなあ。


明日からいよいよブックマークナゴヤ2010が始まります。4月18日まで、さまざまなイベントが繰り広げられます。一箱古本市は明日20日に、前回と同じく円頓寺商店街で、4月3日に覚王山商店街日泰寺参道で行なわれます。ぼくは明日の一箱を見るとともに、21日(日)に、祖父江慎さん、飯沢耕太郎さんと三人で「めくるめく本の世界」というトークを行ないます。場所は栄ガスビル5階会議室。13:30開場です。予約で埋まりつつありますが、当日でも若干入れそうだという話です。ブックマークのサイトを覗いてみてください。
http://www.bookmark-ngy.com/