川崎彰彦さんのこと

数日前に小沢信男さんから、4日に川崎彰彦さんが亡くなったとメールで教えてもらった。あわてて、川崎さん主宰の同人誌『黄色い潜水艦』のメンバーである〈ならまち文庫〉の宇多滋樹さんに電話したら、10日間の入院の末、脳出血のためにお亡くなりになったそうだ。76歳。通夜や葬儀は身内で済ませ、発表はその後になるということだった。それもあって、ココには書かずにいたが、昨日の共同通信で報道されたようだ(http://www.47news.jp/CN/201002/CN2010020801000513.html)。川崎さんと親交が深く、ぼくに川崎さんを紹介してくれた漫画家のうらたじゅんさんも、ブログで亡くなったことを書かれている(http://junmilky.exblog.jp/)。


川崎さんの本は何冊か読んでいたが、奈良のオンライン古書店〈高畑文庫〉さんが住んでいる洋館に泊めていただいたとき、「この建物の別の部屋に川崎さんが住んでいたことがある」と教えてもらった(たしか、最初に倒れたのもここだったと聴いたような気がする)。その晩、たまたまそこにあった川崎さんの『まるい世界』(構造社、1970)を拾い読みして、改めていい文章を書く人だなあと思った。


その前後、同人誌『海浪』に連載されていた小説『ぼくの早稲田時代』を単行本にまとめたいという話が、うらたさん経由でぼくに持ち込まれ、右文書院での刊行が決まった。ゲラを頂きに右文書院の青柳さんと一緒に、大和郡山の川崎さんのお宅に伺ったのは2005年11月。本が出ることがとても嬉しそうで、いきなり酒になった。川崎さんのパートナー・当銘さんの料理が美味しかった。林哲夫さんに装丁をお願いし、古い早稲田の写真を早稲田大学に借りに行った。大学の同級生だった五木寛之さんに帯文を依頼したら、ふたつ返事で引き受けていただいた。そうして12月に出来上がった『ぼくの早稲田時代』を祝う会が、2006年1月に奈良で開かれ、みんなで楽しくいいお酒を飲んだ(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20060109)。


この本、川崎さんの最後の著書になった。もう少し時間をかけて、直していただきたい部分もあったのだが、不自由なお身体でのゲラ校正を見ていたので、あまり要求はできなかった。結果としては、あのカタチで出せてよかったと思っている。本が出たあとも、ときどき送られてくる通信で、まだまだ書きたいものがたくさんある気持ちが伝わっていた。わずか数年間のお付き合いだったけど、一緒に本をつくることができて本当に良かったと思う。やすらかにお眠りください。


なお、『ぼくの早稲田時代』ができるまでの経緯を、編集工房ノアの『海鳴り』第18号(2006年7月)に「『川崎彰彦という磁場』に引き寄せられて」として書いています。


JPIC読書アドバイザークラブ主催の本のイベントで、アドバイザーが店主になっての一箱古本市が行われるそうです。場所は千代田図書館の入っているビルのエントランスで、20箱程度だそうです。岡崎さんの神保町ツアーもあるので、覗いてみてください。

JPIC読書アドバイザーによる、神保町での「本を楽しむ」イベント
『JRAC本まつりinじんぼう』のご案内


国民読書年の2010年、私どもJPIC読書アドバイザークラブでは、「本を楽しむ」をキーワードに、千代田区の4つの地点を結ぶイベントを、2月27日、28日の両日に開催します。JPIC読書アドバイザークラブは、(財)出版文化産業振興財団(通称JPIC)が主催しております「JPIC読書アドバイザー養成講座」の修了生有志による自主運営組織です。全国約500名の会員から成ります。会員は、通常は各地で個々に活動をしており、クラブ一丸となってのイベントは、今回が初めてです。


『JRAC本まつりinじんぼう』は、たくさんの大人や子どもたちと、本の楽しさをわかちあいたいという願いから企画されました。
読書アドバイザーによる紙しばいや読み聞かせ、全国のミニコミ誌や点字図書の展示、絵本作家の山口マオさんやもとしたいづみさん、ブックディレクターの幅允孝さん、フリーライター永江朗さんを迎えてのトークイベント、神保町古書店街ツアー、図書館員による図書館ツアー、一箱古本市など、大人も子どもも楽しめる内容です。


■日にち 2010年2月27日(土)、28日(日)
■時 間 11時〜16時 *開催場所により異なります
■場 所 神保町〜飯田橋界隈
■名 義 主催:JPIC読書アドバイザークラブ
共催:千代田区千代田区千代田図書館
後援:(財)出版文化産業振興財団、ブックハウス神保町、飯田橋ラムラ商店街、
本の街・神保町を元気にする会(申請中)、神田すずらん通り商店街(申請中)
http://www.jpic.or.jp/


第1会場 千代田区千代田図書館
2月27日(土)11時〜16時
○絵本作家 山口マオさん トークショー&ワークショップ (1階ロビー)
岡崎武志の出張古本道場&神保町古書店街ツアー
図書館コンシェルジュによる千代田図書館ツアー
○よりみち広場(1階ロビー) 一箱古本市 紙しばい 読み聞かせ パフォーマンス
○全国ミニコミ誌の展示(9階展示スペース)


第2会場 ブックハウス神保町
2月28日(日)11時〜16時
○おはなし会
時間内、常時おはなし会開催、読み手はJPIC読書アドバイザー


第3会場 区境ホール(飯田橋セントラルプラザラムラ1階にある、千代田区・新宿区にまたがるホール)
2月28日(日)13時〜15時
○おはなし会
ゲストコーナー(13時15分〜45分の予定)
ゲスト 絵本作家 もとしたいづみさん
絵本・紙芝居の読み手は、JPIC読書アドバイザー10名程度


第4会場 岩波セミナールーム
2月28日(日)13時半〜15時
トークセッション『本をめぐる冒険 本の楽しさ、面白さ(仮)』(90分)
ゲスト ブックディレクター 幅允孝さん
聞き手:フリーライター 永江朗さん