本日発売です

新刊『一箱古本市の歩きかた』は、都内では昨日から並んでいるようですが、今日にはほかの地域でも並ぶのではないでしょうか。いち早く読んでくれた関係者から感想をいただいていますが、直接イベントに関わってない読者がどんな感想を抱くかを知りたいと思います。


一箱古本市の歩きかた (光文社新書)

一箱古本市の歩きかた (光文社新書)


続いて告知です。年内のトークは、これで全部のはずです。


JUNKU トークセッション
2009年12月23日(水・祝)
光文社新書一箱古本市の歩きかた』刊行記念
「読書からはじまること」


南陀楼綾繁(ライター、編集者)
内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)
橋本倫史(『HB』編集発行人)


不忍ブックストリート、わめぞ、ブックオカ、BOOKMARK NAGOYA、お好み本ひろしま、Book! Book! Sendai、高遠ブックフェスティバル……。いま、全国各地でブックイベントの動きが盛んになっています。その現状をレポートした『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)の刊行を記念して、著者で一箱古本市の仕掛け人でもある南陀楼綾繁さんが、本や雑誌についての新しい試みをしている20代のお二人と、読書の可能性と未来を語り合います。


□日時…12月23日(水・祝) 18:30 open/19:00 start
■会場…ジュンク堂書店新宿店 8階喫茶
□料金…¥1000(1ドリンク付)
■定員…40名
□受付…7Fカウンターor電話予約


ジュンク堂書店新宿店
TEL.03-5363-1300


刊行記念イベント、時系列に整理してもう一度お伝えします。そうしないと、自分でもよく判らなくなってくるので。とりあえず第1弾は22日(日)コクテイルでの「古本ジェットストリーム」です。オヨちゃんのほか、ゲストにリブロ精鋭軍団を迎えます。なるべくご予約いただけますと助かります。そのあと、24日(火)には青山ブックセンター本店で津野海太郎さんとのトークです。こちらは「予約の仕方が面倒くさい」と聞きました。当日いきなりでも入れると思うので、来てください。なにしろ会場が広いらしいので……。


朝8時起き。雨の音でユウウツになる。《ウェルかめ》を観てから、千駄木の〈サンマルクカフェ〉へ。肩に袋をかけたまま、トレイを席に運ぼうとしたら、袋が滑り落ちて、その表紙にトレイの中でコーヒーがひっくり返る。店のお姉さんに布巾を頼んだら、拭いてから、コーヒーのお代わりを持ってきてくれて恐縮。1時間ほど資料本を読み、仕事場へ。


11時半ごろ、思いついてネットでチケットを購入したうえで、有楽町へ。マリオン上の〈日劇〉で、犬童一心監督《ゼロの焦点》(2009)を観る。大劇場で、公開から5日目なのにガラガラ。100人も入っていただろうか。あんまりイイ前評判が聞けなかったので、期待せずに観たが、清張映画(とくに松竹系)の定番である、風景と音楽(上野耕路の堂々たるオーケストレーション)で押しまくる演出が踏襲されていて面白かった。清張の原作はミステリーと云っても、論理よりも情緒に重きを置かれたものが多いので、映画化するときにはこういうやり方がベストだろう。広末涼子も抑えた演技でいいし、木村多江も影のある女をうまく演じていた。これだけだったら、いいスタッフ・キャストと製作費をかなり掛けた、よく出来た映画で終わっていたかもしれないが、ココにとんでもない異物が投入されていた。社長夫人役の中谷美紀の怪演ぶりがスゴイのだ。日常の風景の中におかれたフリークスというか……。ところどころで見せる白塗りの顔が、ジャミラか妖怪人間ベラのようで怖すぎる。これは後世に残るカルト作品になるかもしれない。


終わって、丸の内まで歩く。再開発が決まった東京中央郵便局は、前の外観だけ残して、後ろがごっそり削り取られている。〈丸善〉丸の内店へ。本の本コーナーで、『一箱古本市の歩きかた』が面出しされていた。先日から話題になっている「松丸本舗」を覗く。ひとつひとつのテーマごとの本の揃え方はなかなかのもので、いまやっている仕事の本がごっそり見つかったのはありがたい。だけど、どことなく押しつけがましい感じもあるな。ぶらぶら回ってみたが、「こんな本あったのか!」という喜びとともに買いたい本は、今日のところはなかった。


西日暮里に帰り、資料本読みの続き。9時にウチに帰り、DVDで野村芳太郎監督《ゼロの焦点》(1961)を観る。いちど観ているけど、加藤嘉が出ていること以外にほとんど印象の残らない映画だった。新作と比べながら再見すると、旧作の構成のヘタさや説明不足がよく判った。新作はたぶん原作にもない要素を付け加えながら、登場人物ひとりひとりの行動に動機づけをしている。その点では、シナリオ・演出とも、新作がぜんぜん上だ。ただ、中谷美紀の存在がその調和をぶっ壊しているけど……。


旧版を観て思ったのだが、新版の広末涼子の肌の露出は、旧版の久我美子とほとんど変わらないレベル。両作のあいだには48年も経っているのに。べつにヒロスエの濡れ場が見たいワケではないが、見合いで結婚して一週間後に失踪した夫を金沢まで捜しに行く理由として、その数日間の濃密な描写がなくては説得力が薄いのでは。