海文堂でトークします

今日も告知です。

光文社新書一箱古本市の歩きかた』刊行記念
「ブックイベントのたのしみ」


出演
南陀楼綾繁(ライター・編集者)
石川あき子(Calo Bookshop & Cafe)
郷田貴子・真治彩・次田史季(貸本喫茶ちょうちょぼっこ


誰でも一日だけの「本屋さん」になることができる一箱古本市や、日本各地のブックイベントの現状をレポートした『一箱古本市の歩きかた』が光文社新書から11月17日に刊行されます。それを記念して、著者で一箱古本市の仕掛け人でもある南陀楼綾繁さんが、ブックカフェをベースにさまざまなイベントを行なってきた、大阪の「カロ」と「ちょうちょぼっこ」の皆さんとともに、ブックイベントの進めかたや面白さについて具体的にお話しします。「本のイベントやお店をはじめたい」というヒトは必見かも!?
なお今回のトークショーは、開催中の「第6回 海文堂の古本市」(12月23日〜1月11日。1月1日・2日を除く)会場でおこないます。古本好きにはたまらない、大量の古本に囲まれてのイベントになります。


南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ)
1967年島根県出雲市生まれ。ライター、編集者。古本、新刊、図書館、ミニコミ
など、本に関することならなんでも追いかける。「不忍ブックストリートの一箱
古本市」発起人。著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『路上
派遊書日記』(右文書院)、『老舗の流儀』(幻冬舎メディアコンサルティン
グ)、共著に『ミニコミ魂』(晶文社)などがある。
http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/


Calo Bookshop & Cafe
大阪・肥後橋で2004年4月にオープンした、コンテンポラリーアート・写真・デ
ザインを中心としたビジュアル書の専門店。カフェとギャラリーを併設。
http://www.calobookshop.com/


貸本喫茶ちょうちょぼっこ
2001年春、本好きな4人が自分たちの本を持ち寄って開設した、小さな私設図書
室、貸本喫茶。
http://www.geocities.co.jp/chochobocko/


日時 2009年12月27日(日)
開場14:30/開演15:00
参加費 500円
ご予約方法  電話、FAX、メールで海文堂書店までお願いいたします。
50名を超えた場合、立ち見になる可能性があります。あらかじめご了承ください。


海文堂書店
〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通3丁目5番10号
電話:078-331-6501
FAX:078-331-1664
http://www.kaibundo.co.jp/
books@kaibundo.co.jp


一箱古本市の歩きかた』でも取材させて頂いた、関西ブックカフェ界の論客、石川あき子さんと、ちょうちょぼっこの3人(東京在住の福島さん以外)という、にぎやかなゲストです。ちょうちょの真治さんからは、「ごうださんとつぎたさんを、なんだろうさんがどう扱うか、個人的にはそこが楽しみでなりません!」とのお言葉をいただいています。せいぜい頑張ります。関西では、この日だけのイベントになるかもしれないので、たくさんの方にいらしていただきたいと思います。


朝8時起き。雨が降っていて、出かけるのがめんどくさい。《ウェルかめ》を観てから、浅草行きのバスに乗る。台東区中央図書館に着いたのは、9時15分。すでに、リサイクルフェアがはじまっていた。今回は、ほかに回るから10冊以内と決めて、人込みへ。実際、今回はいつもより本が少なめ(とくに文庫が少ない)で、一回りしても8冊しか拾えなかった。小林信彦対談集『映画につれてって』(キネマ旬報社)、鈴木晰也『ラッパと呼ばれた男 映画プロデューサー永田雅一』(キネマ旬報社)あたりが収穫か。


当然のごとくご精勤の右文書院・青柳さんと〈合羽橋珈琲店〉でモーニング。雑談しばし、また会場に戻る青柳さんと別れて、入谷から日比谷線で上野。山手線で池袋へ。〈ビックカメラ〉で、名刺用の紙を買い、〈新文芸坐〉へ。中村錦之助特集。まだ早いのでロビーでボーッと立っていると、亜紀書房の編集長に声をかけられる、今回の特集にはよく来てるそうだ。列に並んで映画のハナシをしていたら、前に並んでいたおばさんがいきなり「洋画は好きですか?」と訊いてくる。「はあ」と答えると、「『グラン・トリノ』よかったわねえ〜。歳とってからのイーストウッドが好きになっちゃって」と話す。よっぽど、誰かに話したかったんだろう。


入場すると、60代以上がいっぱい。今日は沢島忠監督の2本立てだ。まず、《森の石松鬼より恐い》(1960)。マキノ正博の《続清水港》のリメイクで、現代で次郎長の芝居の演出をしていた主人公が、気がつくと江戸時代にいて石松になっている。その状況を飲み込むまでのとんちんかんなやりとりが、マキノ版よりしつこく、盛り上がる。しかし、いざ旅に出てからは、あんまり変わったところはなく、20分ほど眠ってしまう。


それが終わると、沢島監督のトーク。誰かが聴き手になってのものではなく、原稿を用意して、1時間ぐらい一人で話す講演だった。「さっきの石松、旅に出てからが面白くなかったでしょう? オーソドックスにやれと、会社に命令されたんです」と、今日の二作品のエピソードからはじまり、中村錦之助との出会い、その人情の厚さや勉強家ぶり、そして亡くなったときのことと話が進む。沢島監督の語りは、ときに見えを切り、ときに脱線して笑わせる、まさに沢島作品の感じそのままで、いささか感激。


そして2本目は、《一心太助 男の中の男一匹》(1959)。錦之助自身が「自分らしさが最もよく出たシリーズ」と云ったというだけに、威勢のいい太助とノーブルな将軍の二役がどちらもウマい。大久保彦左衛門役の月形龍之介、新妻役の中原ひとみもいい。沢島の演出は、カットから次のカットへの転換が、それ以前の時代劇よりも急激で、ジャンプしていような躍動感がある。20代の頃、このヒトの時代劇ミュージカルにハマり、ビデオを探したりしたが、改めて主な作品を観てみたくなった。満ち足りた気持ちで、館を出る。


リニューアルなった〈リブロ〉をぐるっと一回り。客は多いが、まだ店として固まってない感じ。奥の1階が人文書フロアになり、エスカレーターを上がって外に出る手前が、メディア関連の棚になったのは、ぼくとしては便利。『一箱古本市の歩きかた』はココにも並べてほしいなあ。バスに乗り、白山で降りる。〈南天堂書店〉で、今田洋三『江戸の本屋さん 近代文化史の側面』(平凡社ライブラリー)を買う。NHKブックス版は長く品切れのはず。著者が1998年に亡くなっていたコトをはじめて知った。


ウチに帰り、黒藪哲哉『「押し紙」という新聞のタブー』(宝島社新書)を最後まで。この本を読みだすと止まらなくて、読みかけのジェフリー・ディーヴァーの新作をストップしてしまったほど。「押し紙」のことを知ったのは、今年の『週刊新潮』で著者が書いた記事だった。著者は「はじめに」で、新聞ジャーナリズムがプロパガンダの道具にされてしまうことについて、記者のジャーナリストとしての自覚のなさが指摘されるが、それは違うと云う。そして、「日本の新聞社のビジネスモデルの中に、公権力の介入を許してしまう重大な欠点があるから、政治利用されるのではないか」と述べる。精神論ではなく、ビジネスモデルとしての根本的な欠陥をえぐっている本書は、だから、たとえば烏賀陽弘道『「朝日」ともあろうものが。』(河出文庫)よりも刺激的だった。「インテリがつくってヤクザが売る」と云われるが、その「ヤクザ」が比喩ではなかったことなど、衝撃的なエピソード多し。そして、新聞の問題が、出版界にとって決して対岸の火事ではないコトは、最終章まで読むと判る。ただ、後半、新聞業界と政治家との癒着について書いた部分は、ちょっと話が大きくなりすぎるような気がした。前半が実証的だった分、後半ももう少し丁寧に論じてほしかった。


一箱古本市の歩きかた』について、岡崎武志さんと林哲夫さんのブログで、過分な評価をいただきました。コメント欄でやりとりしていると、塩山さんが「仲間ぼめもいい加減にしろ」などとウルサイでしょうから、ここでお礼を。ありがとうございます。岡崎さんは本書でぼくに次いで名前が出てくる(つまり、各地のブックイベントに参加されている)人ですし、林さんは産経新聞の大阪版でいちはやく一箱古本市について書いてくださいました。『sumus』の人たちには、いつも後ろから支えてもらっているという気がします。そういえば、明日はその『sumus』にぼくを誘ってくれたひとでもある扉野良人さんと、平出隆さんのトークが、「西荻ブックマーク」であります。満員御礼だとか。ぼくも聴きに行きます。