怒涛の広島3連戦・二日目

朝8時15分起き。《ウェルかめ》を観てから、2階で朝食。サービスのものだからショボイだろうと思っていたら、けっこうしっかりとした和食だった。ホテルを出て、平和大通りをぶらぶら。喫茶店を探すが、チェーン店しか見つからず。本通にある〈うつわ〉というカフェで、30分ほど本を読む。


10時に袋町の市民交流プラザへ。一箱古本市出店者が集合。送っておいた荷物を受け取り、台車で会場へ。袋町の裏通り、通称「裏袋」のお店の前が今回の舞台。初日の今日は30箱ほどが参加。ぼくは、岡崎さん、蟲文庫さん、ドンベーブックスさん、モンガ堂さんとガレージの中で出店。今日は天気が良くて、汗ばむほどなので、日差しが避けられるのはありがたい。ぼくの隣の男性は、前に書店でバイトして、今はネットショップをやっているという人だった。モンガ堂さんは朝イチの新幹線に乗ってくるので、広島在住の元部下の男性に朝の開店準備を頼んでいた。重役出勤だ。


11時にスタートすると、つぎつぎに人がやってくる。やっぱり蟲文庫さんの箱を覗きこむ女子が多い。このあたりはブティックや雑貨店が多いし、土曜日のせいか、気合いを入れてオシャレしてきました、という風情の女子が多い。広島の女の子は可愛いな〜。


トークの準備があるので、11時40分に岡崎さんと路面電車に乗り、〈カフェパコ〉へ。二人のトークだが、お客さんは15人ほど。蟲さんの半分以下で、松浦弥太郎氏の4分の1だ。この差が読者層の差なんだよなあ、と岡崎さんと嘆きあう。お客さんが集まりだした頃、「こども新聞の取材です」と小学2年と3年の女の子が3人やってくる。「こどもの頃、どんな本が好きでしたか」「何になろうと思っていましたか」など。一生懸命手元のメモに書いているが、ぐちゃぐちゃであとで読めるのだろうかと心配になる。「どうやって本をつくるのですか」という質問では、ぼくが書いた文章をパソコンでプリントしたものを本屋に並べていると思っているらしいので、印刷と製本のことを説明するのに汗をかく。「会社(出版社)にメールで原稿を送って……」「それをプリントして本にするんですか?」「いや、違って……。印刷所で機械で何千枚も印刷してそれを綴じて」などと話すが、たぶん通じてない。どんな記事になるのか、不安で楽しみ。


12時半にトーク開始。1時間なので、いろいろ詰め込む。岡崎さんがいいトスをあげてくださるので、こちらはそれを打ち返すだけでとても話しやすかった。新書のいい前宣伝にさせてもらった。


岩国に向かうという岡崎さんと別れ、歩いてもとの方向へ。〈陽気〉というラーメン屋が目に入る。なんだか記憶に残っていたが、前にこの店のラーメンがお土産として買って食べたことがある。広島ラーメンの定番だというしょうゆトンコツのスープに、チャーシューが何枚も乗っている。ヘンな主張のない、ごくフツーのラーメンでうまい。


一箱古本市の会場に戻り、ほかの箱を見て回る。名古屋から参加の〈五っ葉文庫〉がまた妙な本ばかり並べている。古泉智浩『青春☆金属バット』(秋田書店)と、鼻の高さと形で好色度が判るという円形のカード(裏は「ガールハント手引集」)を買う。買ったからといって、どう使えばイイかわからんのだが……。古沢さんは、今回の痕跡本ツアーへの参加者が二人(うち一人は知り合い)という事実にもまったくめげることなく、相変わらず喋りまくっていた。


それと、ガレージの前に出ていた箱を覗いて驚愕。マンガ同人誌『跋折羅(バサラ)』のバックナンバーが何冊も並んでいる! なぜ広島に? と思ったら、箱の主の栗栖直哉さんはこの雑誌の同人で、評論も書いているのだ。また、勝川克志さんの『のんき新聞』でタイガー立石のことを書いておられる。ぼくが『季刊・本とコンピュータ』に書いた『跋折羅』のルポも読んでくださっており、「自分が出てこないことを除けば、内容的にはほぼ正確」とお墨付きをいただいた。栗栖さんは、ぼくもときどき見ていた「栗カメの散歩漫歩」(http://d.hatena.ne.jp/kurisu2/)というブログの主でもあったのだった。広島ですごい出会いがあったものだ。跋折羅社が出した勝川克志作品集『にこにこ影法師』を買わせていただく。


持ち場に戻り、4時まで。人が多く来てくれるので、飽きない。しかし、やはり他人に販売を変わってもらった分、売り上げは悪く、1万以内にとどまった。蟲文庫さんとドンベーさんは1万5千円ぐらい売れていた。荷物を預かってもらい、田中さん、ドンベーさん、モンガさんと、またパルコ前の古本市へ。今日も人が多い。追加の本もあって、何冊か買う。夏野清三郎『フリーライターになって稼ぐ本!!』(東邦出版)300円、は西原理恵子のイラストオビが半分以上を占めている典型的な有名人あやかり本。


広島バスセンターの7階にある、田中さんお気に入りの居酒屋〈源蔵〉へ。前にぼくが来たときは、改装中で見つけられなかった(その代りに、広島駅近くの本店に行った)。このフロアは半分が装飾品で、半分が食堂。オープンカフェなどしゃれた店が並ぶ奥に、治外法権のごとく、大衆居酒屋が。入った瞬間、ココは落ち着く店だなと判る。奥の座敷に座って、ビールを飲む。つまみはどれも量があってウマい。田中さんは荻原魚雷さんと同じく声が小さいから居酒屋では要注意と思っていたら、案の定、周りの客の声が天井に反響して、3分の1ぐらいは聞き取れない。しかし、ココでもコケのハナシになると、はっきり聞き取れるのが不思議。田中さんはとても楽しそうで、トーク一箱古本市に引っ張りだしてしまったぼくとしては、嬉しかった。二人で源蔵という日本酒をくいくい飲んでしまった。


そのあと、本通の〈圓屋〉の打ち上げに移動。店構えが判りにくいので迷うが、今朝コーヒーを飲んだ〈うつわ〉の隣だった。今日トークをした北尾トロさん、作家の湊かなえさん、岡崎さんらが先に飲んでいた。北尾さんから〈高遠長藤文庫〉が閉店するという、衝撃のニュースを聴く。えーっ、新書に店のことを書いたんだけど……。あとでブログ(http://blog.livedoor.jp/kaguradon/)を見たら、11月23日(祝)に閉店とあった。まあ、いろいろ事情はあったのだろう。とりあえず、お疲れさまでした。


田中さんは倉敷に帰り、6人ほどでカラオケへ。岡崎さんと中国新聞の守田さんは吉田拓郎しばりで歌っていた。久しぶりのカラオケだったが、なんだか年々歌が下手になっていく気がする。周りがウマいので、よけい下手がひきたつ。疲れてきたので、先に失礼して、タクシーでホテルへ。今日も午前様だ。すぐに眠る。