大阪は暑かった



朝8時起き。外は大雨。荷物を持って千駄木から千代田線。JRへの乗り換え口で、上原隆さんに声をかけられる。これから図書館に行くところだと。『文藝春秋』次号でルポを書かれるそうだ。東京駅へ。9時10分ののぞみ号で出発。チキン弁当を食べ、京都までぐっすり眠る。新大阪には11時半着。ホームに降り立つと、ムワッとした熱気が押し寄せる。これはキビシそうだ。



御堂筋線で中津へ。阪急の中津駅方向に行きたいのだが、どこにもその表示がない。さすがは大阪。相変わらずストレンジャーに優しくない街だよ。案の定、違う方向から出てしまったらしく、完全に反対に歩いたり紆余曲折して阪急中津にたどり着く。何度か来た〈古本喫茶 伽羅〉を覗く。カウンターに座っている男性が、知っているヒトと違うなあと思いつつ店内を見て、半村良『おんな舞台』(文春文庫)100円、北野誠竹内義和『大濃告 明快サイキック読本』(青心社)350円、を買う。会計の時に〈古本喫茶 ぷれこぐ堂〉というチラシがあったので、「ココは近いですか?」と訊くと、この店のことだった。前の店から居抜きで引き継いだらしい。中がそっくりなので、気づかなかった。


そこから西へ歩き、中津商店街という、かなり寂れた通りから入ったところ、古い長屋が並ぶ辺りに〈PANTALOON〉があった。白で統一されたギャラリーなのだが、この建物も長屋を改造したものだという。オーナーの椎屋さんに挨拶し、中を案内していただく。そこから中崎町に向かって歩く。暑くてハンカチがたちまちびしょぬれに。〈iTohen〉を覗き、そのまま南に下ると〈レトロ印刷JAM〉の新店舗があった。向かいの北京料理屋に入り、あまりに暑いのでビールと、水餃子、チャーハン。素朴な味でウマかった。


JAMに入ると、イベントの設営中。手前が展示スペースで、奥が工場だが、今日は工場部分でフリーペーパーの展示やライブを行っている。フリペ、展示したのは70誌だが、配布しているフリペにはそれ以外のタイトルも。奥の壁には、JAMが手がけたフライヤーが100種類ぐらい、ベタベタと貼ってあった。


荷物をおいて南へ。3分ほど歩くと中崎町の雑貨屋やカフェが並ぶ辺りに出る。〈2匹のゾウ〉という雑貨店の中に、BOOK ONNの中嶋さんたちが共同で「三人の本棚」というコーナーを持っている。思ったより本の量が多い。イイ本があったが、一冊だけ、アリソン・アドバーガム『ドキュメント リバティー百貨店』(パルコ)1500円、を買う。ロンドンの老舗百貨店の歴史で、図版が多い。〈書肆アラビク〉でアイスコーヒーとケーキ。店主の森内さんがこの近辺で本のイベントをやりたいと云うので、焚きつける。


JAMに戻ると、ライブが始まるところ。はせがわかおりの歌を聴いたあと、トークの打ち合わせ。4時半からトーク開始。立ち見も含めて40人ほどか。パンタロンの椎屋さん、JAMの橋本さんと三人で、フリーペーパー、フライヤーなど、「紙モノ」のいまとこれからについて話す。「レトロ印刷」とは何か、どんな使い方があるかが具体的に聞けてオモシロかった。例によって、フリーペーパー発行者のプレゼンをやり、6時に終了。〈calo〉の石川さんや、池内美絵さんら、知り合いも多く来てくれた。


フリペ発行者の立石さん、大嶋さん、〈リブロ〉江坂店の三浦さん、貴島公さん、石井章さんと、しばらく歩いたところにある韓国料理屋〈釜山屋〉で打ち上げ。店主が親切で、サンギョプサルを裏返すタイミングまで指導してくれる。鍋奉行ならぬ鉄板奉行だった。石井さんとは数年ぶりに会う。9時にお開きになるが、ぼくの勝手で天神橋筋の商店街までつれていってもらう。しかし、開いている古本屋はなく、そこで解散。タクシーで中津のホテルに帰る。


フロに入り、讀賣テレビの芸人番組をみていたら、ほんこん中崎町をルポするというコーナーをやっていた。昼間通ってきた辺りだが、ココでの中崎町は泥臭く、ぜんぜん印象が違う。南ジョージという喫茶店のマスターが「ごめんね中崎町」という歌をうたうシーンがあるが、このポスターも昼間見た。それにしても、関西でテレビを見るたびに、ただの通行人と芸人のやりとりがオモシロイことに感心する。ポメラで日記を書き、12時に眠る。