「賞獲ったって仕事なんか増えませんよ」by栗原裕一郎

朝8時起き。《つばさ》を観てから、仕事場へ。今日の授業のレジメや週末の大阪行きの資料をプリントする。書かねばならない原稿には取り掛かれず。12時に出て、下北沢へ。H社のHさんと会い、〈kate coffee〉へ。Hさんは最近カフェを研究してるとかで、「ここはワンプレートじゃないから、カフェじゃないですよね!?」などと答えに困ることをおっしゃる。


Hさんと別れて、隣の〈ほん吉〉へ。外の棚で、『真鍋博展』の図録を見つける。水ヌレだが、300円は激安。中に入ると、しばらく来ないうちにずいぶんイイ本屋になっている。各ジャンルの本の層が分厚くなっていて、棚の下のほうにもイイ本が埋まっている。できた当時は、理想は高いが現実がまだ追いついていない感じだったけど、いまは、とても充実している。古本屋(だけに限らず店というのは)って、進化(変化)するものだなあと、改めて思う。三枝佐枝子『女性編集者』(筑摩書房)500円、田川律『日本のフォーク&ロック史』(音楽之友社)500円、小林信彦紳士同盟ふたたび』(扶桑社文庫)370円、を買う。


小田急線で鶴川へ。駅で栗原裕一郎さんと待ち合わせ、大学へ。控え室にいたら、栗原さんに声をかける人がいて、それが編集者の木村重樹さんだった。この大学で雑誌についての講義を持っているのだが、お目にかかるのは初めて。『別冊宝島Real』の大月隆寛監修の文学モノは、栗原さんが企画、木村さんが編集だったと初めて知る。時間となり、教室に行くと、小説家の福永信さんが聴きにいらしていた。


今日の授業は「雑誌ライターという仕事」をテーマに、栗原さんの経験を話していただく。まず、栗原さんの声が後ろに聞こえないので焦る。マイク使うほど広い教室じゃないんだが……。なんとかマイクを出してきてもらい、それで話をする。『別冊宝島』から『大航海』まで、いろんな雑誌で仕事をしてきた栗原さんだが、掛けた時間と生産性がまったく引き合わないことを強調していた。面白いのだが、あまりに夢がないので、結論めいたエピソードを引き出そうとしたが、栗原さんが予定調和に強固に抗ってそのまま時間切れ。まあ、こういう人じゃないないと十何年もライターとしてやっていけない、というコトは学生に伝わったような気も。来週は仙台に行くため休講。その翌週にいよいよ課題を提出させるので、終わってからもその質問を受けたりして時間を食う。


先に8階に上がっていた栗原さん、福永さん、和光の三上さん、松枝さんと発泡酒を飲みながら8時ごろまで話す。そのあと駅まで歩いて、小田急線で途中まで一緒に帰る。福永さんの新刊(デビュー作のリニューアル版)に合わせて、栗原さんらとトークをやるそうです。この日、西荻ブックマークなのでぼくは行けませんが、興味のある方はどうぞ。


『アクロバット前夜90°』刊行記念トークイベント

臍で茶のみ話


【出演】福永信栗原裕一郎円城塔
【日時】2009.6.28(日) 16:00〜(開場15:30)
【入場料】500円(オマケ付、当日会場にて清算
【会場】オリオン書房 ノルテ店 ラウンジ
立川市曙町2-42-1 パークアベニュー3F
※ご参加希望のお客さまは、店頭・電話・メールにて席のご予約をお願い申し上げます。


詳しくはサイトを
http://www.orionshobo.com/topix/story.php?page=3&id=497


サイトの告知で、3人のプロフィールを福永さんが書いているのだが、それが妙に長くて笑えます。


西日暮里に着いたのは10時。本の雑誌社から、大竹聡『今夜もイエーイ』(1600円)を送っていただく。『雲のうえ』に載った文章(「角打ち」めぐり)も入っている。それと、千駄木在住のデザイナー・遠藤勁さんから『私の帝都物語』が届く。いまや、「私家冊子作家」と化した遠藤さんの東京回顧。本郷の森川町についての文章がイイ。


ウチに帰り、焼きそばをつくって食べる。DVDでトニー・ギルロイ監督《フィクサー》(2007・米)を観る。ジョージ・クルーニー主演の内部告発モノだが、最後までどの辺に話のポイントがあるのかよく判らず。そのあと、東村アキコママはテンパリスト』第2巻(集英社)を読んで、眠る。


仙台では明日から「わめぞ」の古本市が始まる。今日あたりから多くのメンバーが準備に仙台入りしており、明日にはさらに多くの人たちがイベントを見にかけつけるようだ。おかげで、一週間後に東京から仙台に行く連中はひねくれ者ばかりというコトに。塩山さんとぼくの人望のなさがモロに結果に現われたなあ。でも、そのまま一週間仙台に滞在するのも、いちど帰ってからまた仙台に来るのも自由ですからね。みなさん。