浦和ウロウロ

本日発売、『文藝春秋』7月号で「『70点で人間失格太宰治検定」というのを書きました。8ページで50問。初級から上級まで、かなり差のある問題になっているので、ぜひチャレンジしてください。この歴史ある雑誌へのデビューが検定モノとは、まあ、ぼくらしいというか。編集部のMさんから依頼の電話があったのが、広島の一箱古本市に出ている日で、翌日打ち合わせ、それから一週間で資料を集めて読み、原稿を書くという、太宰漬けの日々でした。この機会に未読の作品をたくさん読むことができて勉強になったのですが、せめてあと1週間早く依頼してほしかったよ。


先月から今月にかけて、『彷書月刊』の「古本検定」、この「太宰検定」、そして『yom yom』の「小説検定」と、検定仕事の日々。しかも、ほかにも検定がらみの仕事が入っているという……。セドローくんに「検定王って名乗ればいいじゃないですか!」と云われたが、その王、偉いのか?


朝8時起き。《つばさ》を観てから、仕事場へ。コンビニで宅急便を出してから、京浜東北線で浦和へ。エルマガジン社のムックで、一日中、浦和の取材。浦和図書館の書庫を見せてもらったり、昼飯に入った〈ギンネコ〉というそば屋(戦前には洋食屋だったという)が美味しかったりと、いろいろ面白かった。〈須原屋〉では、小谷野敦『美人好きは罪悪か?』(ちくま新書)、岩本ナオ町でうわさの天狗の子』第4巻(小学館)を買う。シライ&シライシのコンビは優秀で、一緒に仕事しやすい。しかし、ずっと歩き回ったので疲れた。最後にパルコの中にできたユナイテッドシネマ付設のブックカフェ〈Slouc Cafe〉で、取材終了。また京浜東北線で帰ってくる。


右文書院から美濃瓢吾『逐電日記』が届く。招き猫を描く画家にして、『浅草木馬館日記』の著者の、13年ぶりの2冊目だ。青柳さんから「美濃さんの本をつくってます」と聞かされたのが、2年以上前だったとおもうのだが、ようやく出たのだ。絵画、浅草、泡沫人間、箱根、種村季弘、青梅などと、目次から単語を抜き書きするだけで嬉しくなってくる。装丁は意外にもハードカバー。林哲夫さんのデザインも、いつもとは、どこか違っている。浅草的にキッチュというか。


夕方以降、旬公からなんども電話がかかってくるが、タイミングが悪くて出られず、かけなおすと今度は向こうが出ない。11時ごろにようやく話すが、「ブタがいるのでさびしくない」と断言され、ややしょんぼり。やっぱり、ブタと置き換え可能だったんだ……。明日から《つばさ》の、奥さんに気にかけてもらえない親父さんに感情移入してしまいそうだ。