男なら『アダルトビデオ革命史』を読め!

昨夜は資料本を読む合間に、藤木TDC『アダルトビデオ革命史』(幻冬舎新書)を読了。「外市」で塩山さんと話したが、これは労作だ。ちょっと変わったテーマを浅くさらったものや、著者のキャラクター(知名度)に頼ったものが多い最近の新書においては珍しく、本来なら分厚い本が書けるだけの知見を、エッセンスとして新書のボリュームに収めている。元手がかかった仕事なのだ。新書って、本来そういうものだったはずなのだが。藤木さんは、思い込みや誇張の多い当事者の証言に頼らずに、アダルトビデオの現物や当時の撮影現場の取材記事、あるいは自身で見聞きした事実をもとに、アダルトビデオの伸長が、ビデオ機器をはじめとする撮影技術の発達による面が大きいことを検証。また、アダルトビデオ製作者が「アングラポルノのスタイルと自主映画の方法論」から、女優との距離感の近いドキュメンタリー・スタイルを実現させたことを明らかにする。本書で、初めて知った事実も多い(「ハメ撮り」の命名者が、あの本の著者だったなんて……!)。


本書は決してハデな本ではないが、その記述は無味乾燥なものではまったくないし、社会学の研究者がときどき出す性愛研究本のように理論に調査を当てはめていくような強引さもない。頭と下半身を同時に刺激してくれる本なのだ。ぼくだけでなく、現在30〜40代の男性なら、どこかで必ず自分の見聞と関わってくるはずだ。今年のベスト10には必ず入る一冊。この本は積極的に書評を書きたいので、載せてくれる雑誌があればご連絡ください。ミニコミでも可。ついでに云えば、本書の背後にある膨大なエロメディアの事件を取り上げている『アダルトメディア・ランダムノート』(ミリオン出版)は必読。いまこそ、ちくま文庫あたりが文庫化すべきでしょう。


8時起き。《つばさ》を観て、9時すぎに出かける。JRお茶の水駅聖橋口前の立ち食いそば屋でコロッケそば。だしが凄くからいんだね、ココは。飯田橋駅北口の肉そばにしとけばヨカッタか。飯田橋にちょっと早く着いたので、〈ドトール〉でコーヒー。『彷書月刊』の皆川さんと落ち合い、ある図書館の取材。こんなトコロにこんな素晴らしい図書館があったとは! 次から次へと見せられる資料に、二人してワクワク。たちまち2時間が過ぎる。こんな取材は楽しい。次号で書きます。〈ブックオフ〉隣の中華料理屋で昼飯。編集長の田村治芳さんの様子を聞く。最近は安定しているようで、まずは良かった。あとは「古本検定」の裏話など。


皆川さんと別れて、ブックオフをちょっと覗き、南北線で四谷へ。そこから歩いて、新宿区歴史博物館へ。常設展示を駆け足で覗く。田辺茂一関連の展示があったが、ちょっと少なすぎ。もっとイロイロあるはずでしょう。2階の閲覧室に入り、某誌で書くことになっているテーマの資料調査。2時間、社史や区史の類を見て、アウトラインは大体つかめたが、そのものズバリの資料は見つからず。逆に云えば、コレから面白くなるテーマなのかも。たった一人で閲覧室で本を積み上げていると、まだまだいろんな本を閲覧したくなる。資料調査はホントに楽しい。コレで原稿を書く必要さえなければもっと……。帰りに受付で図録を2冊買う。うち1冊は最近展示のあった『新宿風景 明治・大正・昭和の記憶』。各期間に所蔵されている新宿に関する写真を年代・テーマ別に集成したもので、初めて見る風景がたくさんある。編集もいいが、235点入って1000円は激安。そのうち売り切れるから、いまのうちに買っておくほうがイイ。


曙橋から都営新宿線に乗り、小川町経由で西日暮里へ。アマゾンのマーケットプレイスで買った『いがらしみきお自選集』全5巻(竹書房)がバラバラに届く。同じ店で2点注文して向こうが一括して送ってきているのに、送料は別々に取られるのが納得いかない。「小説検定」の資料読みをしていると、一冊足りない本に気づき、谷中コミュニティーセンターの図書室で借りる。ここは小さいが、1980年代のエンターテインメントの文庫が意外に充実しているのだ。〈Ryu〉で和風ハンバーグ膳を食べて、ウチに帰り、あとはひたすら資料読み。