「ぼくの書サイ徘徊録」の版元求む

彷書月刊』連載の「ぼくの書サイ徘徊録」は、今年の12月号で連載100回を迎えます。前身の連載「ぼくのオンライン古書店採点表」(2000年7月号〜2001年6月号)から通算すると、112回に達します。これまで取り上げる題材に注文つけることなく、自由に書かせてくれた(放置してくれた)編集部に感謝します。


この連載は、商業誌でのものとしては『レモンクラブ』(のち『COMIC Mate』)の「活字本でも読んでみっか?」に続くもので、両方ともいまでも続いているコトもあり、たいへん愛着があります。100回は単行本化のひとつの節目だと思います。しかし、残念ながら、彷徨舎ではしばらく単行本を出す余裕がないようです。そこで、彷徨舎公認の上で、この連載を単行本として出版してくれる版元、あるいは手がけてみたいという編集者を求めたいと思います。全部で600枚ぐらいあるのですが、すべてを入れることにはこだわりません。また、書き下ろしなどの追加も考えています。


以前、何人かの編集者にこの連載の話をしたところ、「ネット物はすぐ古くなるから」という理由で(コピーを見ることもなく)却下されました。その反応に、ぼくは「そうかなあ」と心の中で反論していました。たしかに、いくつかのサイトは閉鎖されていますが、ほとんどは継続していますし、そういうサイトがあったということも時代の記録にはなると思います。オンライン古書店を中心に、図書館、出版社、オンライン書店、オークション、検索エンジンなど、大きなメディアから個人のメディアまでを幅広く取り上げてきたつもりではあります。なによりも、いまでは普通になっているさまざまなコトが、登場したときには新鮮だった、という事実を、同時代の記録として残しておきたいという気持ちがあります。それに、この連載ではサイトの内容(それは見れば判るので)よりも、どんなヒトがそれをつくったのかに重点を置いています。また、いまは存在しないサイトの運営者が、いまでは新しい動きをしているケースもあります(たとえば、元〈書肆月影〉、現〈長藤文庫〉の大塚さん)。そういう点は追記します。


もし、興味を持ってくださる方(フリーの編集者でもかまいません)がいらしたら、kawasusu@nifty.com までご連絡ください。これまで、私の本を読んでくださった方や、トークを聴きに来てくださった方でもいいですし、題材への興味を持つ方でもかまいません。よろしくお願いします。ちなみに、一人決めですが、オビか解説を岡崎武志さんにお願いしたいと思っておりまする。


さて、その『彷書月刊』の次号特集は「古本検定」。特集だけで50ページになるという噂。昨日、「初級編」のゲラを見せてもらったが、いろんなヒトがつくっているので、なるほど、そう来るかと感心する問題が多い。古本検定の初級編じゃなくて、どうみても、「装丁本収集家検定」の初級編や「絵葉書コレクター検定」の初級編だろう(一般の古本好きにとっては上級編)というのがかなり入っている。全問正解者がいたら、その人はオバケです。連載は、某プロジェクトを取材した。担当の皆川さんからは、「ここのところ、いえ、とくにここのところ、じつに興味深い内容、感謝いたします」というステキなメールをいただく。


朝8時起き。熱心に《つばさ》を見つめるぼくを、旬公が珍獣を見る眼で眺めている。一緒に〈ドトール〉でコーヒー。一足先に出て、西日暮里へ。『ぐるり』の原稿、そろそろヤバイが、どうもとっかかりがつかめず、書き出せない。諦めて出かける。阿佐ヶ谷へ。久しぶりに〈富士ランチ〉で、ハンバーグランチを食べる。すぐ先の〈よるのひるね〉が昼間なのに営業していたので驚く。ナカに入って門田さんにあいさつ。最近ときどきランチ営業しているそうだ。


ラピュタ阿佐ヶ谷〉で、中平康監督《密会》(1959)を観る。吉村昭原作。黛敏郎作曲によるバリバリのジャズが冒頭にかかる。あいびき中に殺人を見る出だしから快調だが、途中からダレる。桂木洋子の声に緊迫感がないからか、相手の大学生の演技がシロウト並みだからか。気づけば、ぐっすり眠っており、目覚めて5分でラストになる。どうも、納得いかない映画だった。



高円寺まで電車で行き、そこから歩いて、〈座・高円寺〉へ。1階のエントランスで絵本の古本を売っている。中では絵本の名作の展示が。平日なので「一箱市」はやっていない。立派なハコだが、どれだけ自由度の高い企画が実現できるのか、お手並み拝見といったところ。そこから歩いて、中野へ。このガード下を歩くのは初めてだ。


西日暮里に戻り、自転車で根津へ。玉林寺の向いで4月にオープンした〈やぶさいそうすけ〉で開催されているhakako個展を見る。人物を後ろから描いたものと建物。一枚絵だけど、動きがある。女性オーナーに聞くと、氷屋兼炭屋の古い建物を手直しして、ギャラリーと工房に使っている。昔からある喫茶店の隣だ。風情ある建物なので、いろんな展示に似合いそうだ。ちなみに、ナンで「やぶさいそうすけ」なのかは、聞くのを忘れた。次に寄ったときに聞こう。〈往来堂書店〉で『コミックビーム』を買って、千駄木へ。


夜は、〈三忠〉で小沢信男さんと編集者のMさんと会う。Mさんとは初対面。ずっと以前に小沢さんたちと行ったときの焼酎ボトルがキープされていて、店主が覚えててくれた。その焼酎を飲みながら、いろいろ話す。小沢さんのエッセイの載った『海鳴り』第21号をいただく。9時前にお開きになり、ウチに帰る。テレビで《夜光の階段》を観る。やりすぎでクドい点はあるし、ナレーションを多用しすぎではあるが、松本清張原作としてはそこそこ観られる。ま、『週刊文春』の今井舞はお気に召さなかったみたいだが。しかし、このヒトの文章はなんだか品がないねえ。