みちくさ市には都電に乗って

朝8時起き。快晴。仕事場に寄ってメールチェックしてから出かける。山手線で大塚、都電荒川線に乗り換え、鬼子母神前で降りる。すぐにみちくさ市ののぼりが目に入る。雨で順延になったため、鬼子母神境内の手づくり市が開催されず、その分、人出が少ないが、客としてはゆっくり見られてありがたい。店主もスタッフも知り合いが多く、挨拶しながら回る。手持ちのしのばずくんトートバッグがしだいに重くなっていくので、方々で買いすぎだと冷やかされる。


買ったものは以下。「北方人」で、高山純『南海の大探検家鈴木経勲 その虚像と実像』(三一書房)1000円。「モンガ堂」で、『淀川長治の活動大写真』(朝日文庫)300円。「書肆紅屋」で、『トップ屋戦士の記録 梶山季之無署名ノン・フィクション』(季節社)、梓『梓『梓『梓『梓『勝目老醜の記』(文藝春秋)、上坂高生『有馬頼義丹羽文雄の周辺 「石の会」と「文学者」』(武蔵野書房)3冊600円。「古書魚月」で、岩本ナオ『スケルトン・イン・ザ・クローゼット』(小学館)250円。ピッポさんのところで、『若者たちの神々1』(新潮文庫)100円。店名忘れたところで、吉本たいまつ『おたくの起源』(NTT出版)600円。別の店で、いわしげ孝『上京花日』第1巻(小学館)100円。「たけうま書房」で、CD2枚を1800円。「古本くちびるごう」で、豊田健次『文士のたたずまい 私の文藝手帖』(ランダムハウス講談社)300円。別のところで、生活教育協会編『女ひとり東京自活案内』(田中書店)800円。そして、「オホンゴホン堂」で、EMIL VACHEK『BIDYLKO』(1954、プラハ)。この本の表紙・本文のイラストはヨゼフ・チャペック。これが750円とはOさん、安すぎ! あと栗原裕一郎さんが新書をたくさん出していたが、ご本人とは会えずじまい。


すっかり満足して、前も入った〈風味亭〉でビールとギョーザ。350円のギョーザは具がいっぱいで、噛むと口の中にうまみが広がる。「風味定食」750円は、豚角煮のあんかけみたいなのが皿で出てくるが、これをご飯にかけて食べるとウマイ。いい店です。満腹して外に出ると、目の前に塩山芳明さんがしょんぼりと立っていたので、店番を代わりこの店に行くようススメる。一回りして、12時半ごろに切り上げ、都電でまた大塚まで戻って、西日暮里に帰ったのは1時過ぎ。たのしい午前中の過ごし方だった。


あれこれ雑用やって、自転車で動坂上の〈千駄木文庫〉へ。預かった原稿を読む。3時前に協和会の蔵に「D坂シネマ」を観に行く。入ると前の回の終りのあたり。3時からは、谷根千に関連するドキュメンタリー3本立て。なかでも、《わたくしたちの街》(1953)は、台東区池之端七軒町の「パチリ会」という映画愛好グループが、自分たちの街を紹介したフィルムで、どこかからやってきた2人の少女を街のおじさんが案内するという設定。小学校の校長などが出てきて喋るシーンが多いが、「街の偉い人を全員出さないとおさまらないから」という事情によるらしい。トロリーバス、市電などが走っており、不忍通りの道幅もぜんぜん狭い。今回は七軒町の三堀久子さんの解説、柳下美恵さんの伴奏という特別上映。柳下さんの伴奏は、遅れてきた旬公が、はじめから演奏付きだと勘違いするほど、画面にマッチしていた。ちなみに、この映画についての記事は『ベスト・オブ・谷根千』に再録してあります。そのあと、千駄木に住んで一人でアニメをつくっていた熊沢半蔵のショートフィルムを6本上映。ときどきヤケクソみたいにぶっ飛んだ表現があり、面白かった。


まだ上映は続くが、失礼して〈ブーザンゴ〉へ。配布用のフリーペーパーがだいぶ減ったので、ストックから補充する。〈のむらや〉で買い物してウチに帰る。晩飯は、鶏肉のトマト煮。ミニコミ『葬』の奥山さんから、彼女が出演したフジテレビ《東京マスメディア会議》のビデオを見る。いろんなミニコミ・雑誌の面白い部分を引き出したいい番組。徳島の『ASA』の名物連載で、ラブホテルに編集部がノートを置き、その書き込みを誌面にそのまま載せるという「夜のらくがき帳」は素敵な企画だ。単行本にできるな、と思ったら、もう出てた↓

夜のらくがき帳MAX

夜のらくがき帳MAX


そういえば、みちくさ市で〈旅猫雑貨店〉の金子佳代子さんから、「ウチザワさんって、一千万円の工事の見積もりを十万に負けさせたんですって?」と訊かれてびっくり。ブログに書いたのを武藤良子が読んで騒いでいたとか。「いや、百万円のはずだよ」と答えるも、金子さんも一千万と書いてあるのを見たという。雑駁で注意散漫ななムトーならともかく、「わめぞ」の良心・金子さんの云うことなら確かだと思い、「じゃあ、ケタ間違えたんだ。ウチザワは数字に弱いからなあ〜」と答えたのであった。しかし、本人に伝えてブログを確かめたら……。やっぱり百十万円と書いてあるじゃないか! もう、誰も信じられない。ぼくや旬公も含め、みんな計算ができない連中で小学生みたいだ