ビルの谷底に川があった

朝8時起き。《つばさ》を観てから、仕事場へ。午前中に1本書き、昼は〈イアナック〉のホットドッグ。もう1本書いたら1時半になり、次の回の映画に間に合いそうなので、急いで出かける。今日は映画の日で1000円なのだ。池袋の〈シネマサンシャイン〉。初めて入る劇場だが、9階のは全体的につくりが小さく、椅子も窮屈。座席の列が長いので、端の席に座ったら、客がやたらと出入りする。指定席だが、遅れてきた客が予告編をやってる間、席を探してウロウロ。上映が始まると、外の廊下の足音は聞こえてくるし、トイレに立つ客が多くドアの音がうるさい。なんか、場末の映画館という感じだ。


観たのはクリント・イーストウッド監督《チェンジリング》(2008・米)。陰惨というほかない映画だが、アンジェリーナ・ジョリーの美しさと、この先どう展開するのだろうという興味で、目が離せない。2時間20分を長く感じなかった。満足して館を出る。


〈リブロ〉東池袋店で、勝田文『プリーズ、ジーヴス』第1巻(白泉社)を買い、有楽町線で要町へ。駅からすぐのところに、川を埋め立てた緑道があり、その道をゆっくり歩く。周りを高いビルに囲まれているが、ここは高い建物がなく、谷底にいるみたいだ。かなり前に整備された土地らしく、けっこう寂れている感じがある。塀の上で二匹の猫がにらめっこしていた。さほど迷わずに〈マルプギャラリー〉に到着。一軒家の居間がギャラリーになっている。武藤良子個展「耳朶とスプーン」が開催中。誰もいなかったので、勝手に上がって絵を見る。鉄道の鉄橋らしき絵が2点あって、気に入る(ムトーに訊いたら「そんなの描いてない」と云われそうだが)。2階にヒトがいる感じだが、声をかけても答えがなかったので、そのまま辞去。また緑道を通って駅まで。


要町の〈ブックオフ〉に初めて入り、100円で4冊買う。このあたりでちょっと飲みたい気がしたが、店が決まらず、池袋経由で西日暮里に戻り、いつもの〈はやしや〉に落ち着く。いちど仕事場に戻ってから、〈古書ほうろう〉へ。柳下美恵さん伴奏の無声映画上映会。すでに1本目が始まっていて、アメリカ男性を愛した中国人女性の悲恋みたいなハナシだが、妙におもしろい。知り合いの中国人が通りがかると、2人揃って、ひっきりなしにパタパタと扇子を仰いでいるのがオカシイ。休憩をはさんで、斎藤寅次郎監督の短篇(の部分)。柳下さんの演奏は、木魚や打撃音まで入れた賑やかなものだった。打ち上げは遠慮して、先に帰る。雨がひどく降っている。