フリーの処世術

朝8時半起き。寝不足なり。仕事場に行き、『SPA!』の書評原稿。今回は佐々木譲『制服捜査』(新潮文庫)。昨日、同じシリーズの新作『暴雪圏』(新潮社)を読み終えた(傑作!)こともあって、気分よく書けた。千駄木の〈やぶそば〉で肉南蛮そばを食べて、谷根千工房へ。『ベスト・オブ・谷根千』(亜紀書房)の営業会議。ヤマサキさんが、この前TBSラジオ岡崎武志さんが同書を紹介した放送の録音を聴かせてくれる。短い間に読みどころをいくつも入れ込んだ話で、とてもよかった。オオギさんによれば、放送を聴いて買いに行った人が何人もいると。岡崎さん、ありがとうございます。3月12日(木)の〈東京堂書店〉での谷根千トークhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20090217)、予約受付中です。また、東京以外でもトークを企画してくださる書店があれば、ご連絡ください。プランを立てます。


ウチに一度戻り、1時間ほどゴロゴロして、また出かける。築地駅で新実行委員のライター・中濱潤子さんと待ち合わせ、某雑誌の編集部へ。不忍ブックストリート一箱古本市を取り上げてもらえないかという、まあ営業ですな。終わったあと、喫茶店でべつの雑誌の企画の打ち合わせ。いつもは本体の準備に追われて、メディアへの告知が後手に回っているが、今年は中濱さんと一緒にいろいろ動きますよ。雑誌、新聞、テレビ、ラジオ、ネットメディアなど、基本的にナンでも受けますので、興味があればご連絡ください。


日比谷で三田線に乗り換えて、神保町へ。久しぶりに〈徳萬殿〉でチャーハン。相変わらず異様に量が多いな。〈書泉グランデ〉の地下で、渡邊武男『巣鴨撮影所物語』(西田書店)、いがらしみきお『かむろば村へ』第2〜4巻(小学館)、久米田康治さよなら絶望先生』第16巻(講談社)を買う。『巣鴨撮影所物語』は大都映画の撮影所についてのノンフィクション。こないだ読んだ本庄慧一郎『幻のB級!大都映画がゆく』(集英社新書)がコケおどしで中身が薄かっただけに、本書には期待したい。


三省堂〉の1階で、貫井徳郎『乱反射』(朝日新聞出版)、『闘技場 フレドリック・ブラウン コレクション』『秒読み 筒井康隆コレクション』(福音館書店)を買う。あとの2冊は10代向けの「ボクラノSF」シリーズ(もう一冊はジョン・ウインダム『海竜めざめる』)。ブラウンは星新一訳で島田虎之介画。筒井は加藤伸吉画というのが、判ってるねえという感じ。「よりみちパン!セ」以降、この世代の読者向けの市場が活気づいていて、『進学レーダー』の書評担当者としてはうれしい限り。


4階で閉店時間まで待ち、それから受け付け開始。映画・演劇コーナーの一角に椅子を並べて、岸川真佐藤忠男トーク。司会はライターのわたなべりんたろう(進行がうまい)。30人ぐらいいて満席。『ぐるり』の五十嵐さんも来る。「世の中に出るために手助けになったレッテルを、どうはがしていくか」「自分の経験を書くことはいつまでもつわけではない、餓えたオオカミでいつまでもやってけるわけではない」「学説の世代交代に巻き込まれないようにすること」など、佐藤さんのいい意味での俗っぽさというか、明るい処世論がよかった。鶴見俊輔さんが「雑誌に書くときは、その文章が自分の本のどの節に収まるかを考えて書け」と助言したというが、たしかにこれを徹底できればつぶれないで済むか。しかし、いまの時世でそれは難しいわけで、佐藤さんの時代との違い(あるいは共通項)を考えたうえで、いまの時代の「フリー」にどんな可能性をみるのかが、このトークの主たる目的じゃないのかなあ。その辺があっさり流されていたのがやや残念。閉店後なので空調切られていたのか、暑かったっす。


フリーと云えば、このひとほどしぶといフリーはいないという山崎邦紀さん。いがらしみきお『かむろば村へ』にも塩山さんと一緒にホームレス(まあ、これもフリーですが)としてご出演なさっている山崎さんだが、新作薔薇映画《仮面の宿命》が、〈上野オークラ〉で上映される。その最終日、3月1日は、この映画館が閉館する日なのだ。山崎さん舞台挨拶もあるので、ぼくは行くつもりです。


<上映&舞台挨拶スケジュール>
期間=2月21日(土)〜3月1日(日)。2本立てのうちの1本が、新作『仮面の宿命』。
出演=小笠原黎・神夜・久保田泰也・佐々木共輔・牧村耕次
監督脚本=山崎邦紀
舞台挨拶=3月1日(日)。13時45分より上映。15時より舞台挨拶。
料金=一般1600円・会員1200円
●場所は、下記スタームービーの「劇場に来るには」を参照。
http://www.okura-movie.co.jp/star_movie/index.html
「影への隠遁Blog」
http://blog.7th-sense.sub.jp/


『雲のうえ』(いつも間違えて『空のうえ』と書いてしまう)の中原さんから、北九州で3月末に一箱古本市をやることに決まったというメールが。「とほほん市」(http://tohohon.jugem.jp/)というそうだ。西日本の街って、一箱やるのに向いているのか? こうなると東京より東が仙台だけなのは寂しいね。金沢とか札幌とか、そろそろどうですか?