女王と執事

朝8時半に目覚ましをかけたのだが、寝過してしまう。青くなって仕事場へ。今日がデッドの原稿にかかる。書きながら気になったことを、取材先に何度も電話で確認。5時すぎに書きあがる。これで出かけられる。明日の準備をしてから、山手線で新宿へ。


ジュンク堂〉新宿店へ。『キネマ旬報』を買い、トーク会場のカフェに入る。すでに30人以上入っていた。キネ旬の特集は、クリント・イーストウッド監督の《チェンジリング》。この映画をめぐっての小林信彦芝山幹郎の対談を読む。司会・構成の高崎俊夫さんから教えてもらったのだ。二人ともさすがに見事で、しょうもないストーリーばらしや、ハスミ風分析は一切せず、スクリーンに映ったものから時代背景や監督の意図を読み説いていく。映画を観てからもういちど読むと興味深いだろう。


7時からトーク「たぶん、旅の話」開始。高野秀行さん、宮田珠己さん、そして内澤旬子。それぞれの旅のスタイルや、それをどう書くか、どこでも行けるとしたらどの時代のどの場所か、などなど。ひとつのハナシが転がって行って、脱線しては、また別の話題に移るという感じで、たのしい。宮田さんのとぼけっぷりは、文章そのままだった。それでいて、全体の進行は宮田さんが担当という、この組み合わせの不思議さ。旬公はいつも以上にハナシが唐突で説明不足なのだが、なにをしゃべり捨てても、あとのお二人がすぐ拾って広げてくれるので、ものすごくやりやすそう。まるで女王とそれにかしづく執事のようだった。本人も少し触れていたが、以前は旅エッセイの類はまるで読まず、というより嫌悪気味で、ぼくが高野さんや宮田さんの本をススメても見向きもしなかったのに、こんないいトリオになるとはねえ。


終わってからサイン会。そのあと打ち上げがあるが、明日の準備もあるので、高野さんと宮田さんに挨拶だけして、先に失礼する。都営新宿線経由で千駄木に帰り、〈ターボラ〉でパスタを食べてウチへ。ドアを開けると生暖かいので、イヤな予感。案の定、エアコンとデロンギ(新しいのが来たばかり)がダブルでフル稼働している。さっきのトークで旬公は、今年は某所で家を借りてブタを飼うので、ペーパードライバー教習を受けて車に乗れるようにする、さらにいつかはアメリカで運転したいなどとぬかしていたが、この調子だとその前に、ストーブやガスのつけっぱなしで火事に遭って死ぬだろう。何度言い聞かせても同じ間違いを繰り返すやつに、車の運転なんて危なくてさせられないよ。それとも、オレを執事として呼び寄せるつもりか。とんでもない女王様である。


明日は朝から大阪に向かいます。昼に取材2つやって、そのあと〈calo〉でのトークです。今日はもう寝ます。では。