倉敷で『クラッシュ・ジャパン』

昨夜は2時半に寝て、今朝5時前に起きる。まだ真っ暗だ。千駄木から千代田線に乗り、西日暮里で乗り換えて東京駅。のぞみ号の始発に乗る。自由席は適度な混み方だった。途中、ぐっすり眠り、目覚めたのは新神戸のあたり。大雨が降っているが、岡山に近づくにつれ晴れてくる。しかし、かなりの被害が出たようで、岡山から山陽線に乗り換えるとき、遅延したり運休している路線が多かった。


10時前に倉敷着。駅のコインロッカーに荷物を放り込んで、歩き出す。「えびす通り商店街」という途中で90度曲がっている商店街を通り抜け、昔の建造物を保存公開している美観地区へ。その通りをずっといったところに〈蟲文庫〉があった。店主の田中美穂さんとは東京で二度ほどお会いしたが、店を訪れるのは初めて。やっとこれた、という気分。思っていたよりも、スペースが大きく、本の量も多かった。1980年代のマイナー雑誌がそこここで見つかったり、アヴァンギャルド音楽のCDも扱っている。委託してもらっているぼくの『積んでは崩し』は残り3冊、武藤良子さんの『大阪京都死闘篇』は残り2冊。縁もゆかりもない倉敷の地でこんなミニコミがよく売れているということだけで、蟲文庫とそのお客さんのスゴさが判るってモンです。じっくり見て、中田政三『酒・煙草・珈琲』(京阪神貿易観光協会、1955)1000円、『探偵小説年鑑』1961年版、100円、を買う。


田中さんは浅生ハルミンさんと、10月末に仙台の「BOOK BOOK SENDAI」を見に行くそうで、ぼくも取材で行くつもりなので向こうでまた会いそう。というか、三人とも〈火星の庭〉前野家に泊まるつもりでいるところがスゴイ。


亀(けっこう動きがすばやい)と遊んでいると、『クラッシュ・ジャパン』のAさんが現れる。最新号に登場する喫茶店〈ウエダ〉でハナシを聞く。『彷書月刊』次々号の取材なり。非常に刺激的だった。そのあと、えびす通りの洋食屋〈カッパ〉で、ハンバーグとチキンカツのセットを食べる。ここでもデミグラスソースがかかっている。カツ丼といい、岡山県民はデミグラス好きなのか。Aさんにおごっていただき、感謝。


そこから一人で裏通りをブラブラ歩く。蟲さんに教えてもらった古本屋を目指して、国道を歩いていたら、すれ違った三人組から「ナンダロウさん?」と声をかけられ、ビクッとする。不忍ブックストリート一箱古本市の店主さんだった。例によって顔は忘れていた(すいません)が、屋号を聞いて思い当たる。やはり東京からやってきたという。これから蟲文庫に向う彼らと別れて、こちらは〈長山書店〉へ。2階建てで、本の量がすごい。通路にも積まれているが、ジャンルごとにきちんと分類されているので、見やすい。2階は初版本や専門書で、書誌関係も多い。岡山のしげを書店(だったかな?)の戦前の古書目録の合本が気になったが、2万円なので見送る。里見トンのエッセイ集『私の一日』(中央公論社)と『南天荘主人 大萩登追悼集』(刊行会)を各1000円で買う。後者は岡山の古書店主の追悼文集。たしか、持ってなかったはず。


まだ時間があるので、「一番街通り」(だったかな)という寂れた通りを抜けて、美観地区のほうに戻る。大原美術館のあたりは完全に観光客のための通りになっているので、裏に入っていくと、また蟲文庫の近くに戻ってしまった。〈アヴェニュウ〉というジャズ喫茶に入る。夜はライブをやるが、昼間フツーの喫茶店。でもレコード室があって、奥さんがCDをかけ替えていた。倉敷駅に戻り、4時15分のやくも号で米子へ向う。自由席はガラガラ。振り子電車にゆられているうちに眠り込んでしまった。


6時半に米子に着き、6月も泊まったホテルにチェックイン。塩山さんから『COMIC Mate』のゲラがファクスで届いていたので、校正して返送。明日の一箱古本市の主催者であるTさんから連絡があり、歩いて10分ほどの居酒屋で、Tさんの友人と3人で飲む。そのあと、米子のディープスポットである朝日町を見て、〈今井書店〉の錦町店へ。山陰のタウン誌『さんいんキラリ』の表紙に、元今井書店の塩見佐恵子さんの名前が。この雑誌で連載されているようだ。懐かしく思って買った。隣接のカフェでコーヒーを飲み、ホテルまで送ってもらう。明日はなんとか雨は降らない模様。「米子・まちなか一箱古本市」は午前10時から午後3時までです。「古本けものみち」を見かけたら、お気軽に声をかけてください!