渋谷の神社でお祭りだ

朝7時半に起きて原稿書くつもりだったが、疲れてちょっと寝坊。西日暮里に寄ってから、山手線で渋谷へ。昨日から行き帰りに電車の中で、岡崎武志『雑談王』(晶文社)を読んでいる。短い文章が多く、電車や映画の休憩時間に読むのにぴったり。楽しい本だ。いろいろと感想が湧くが、読み終わってから書く。


シネマヴェーラ渋谷〉。まず、田中登監督《丑三つの村》(1983)。〈ラピュタ阿佐ヶ谷〉の田中登特集で見逃したので、今回が初見。津山三十人殺しが題材で、村一番の秀才と呼ばれながら、肺病で徴兵検査に落ちて村から余計者扱いされる男が、次第に追い込まれていく様子を古尾谷雅人が力演。夜這いと近親婚が習慣になっている閉鎖的な村の描写がリアル。とことん救いのない映画だが、唯一、田中美佐子の可憐さに救われる(ヌードもあり)。これは傑作だ。集中してみたせいか、次の原田隆司監督《忘八武士道 さ無頼》(1974)は、冒頭から30分近く熟睡。その後もいまいちノリきれず。やっぱり、石井輝男監督、丹波哲郎主演の第一作にはかなわない。


終って、百軒店の〈ムルギー〉へ。このところよく前を通っていたが、営業時間が11時半〜3時と短いので、なかなか寄れなかった。中は満席。カレーじゃなく、ハヤシライスを頼んでみるが、そっちにもゆで卵が入っていたので、ちょっと驚いた。味はウマイが、やはりカレーの方が上か。道玄坂に出ると、大きな音で祭りばやしが。先週から幟が立っていたが、金王八幡宮の祭りだった。車を通行止めにして、何台もの神輿が出ている。法被を着て喧嘩している奴もいた。渋谷でこんな光景が見られるとは。


西日暮里に戻り、エッセイの原稿を書く。何度か書きなおし、6時過ぎにいちおうできる。ほかにも締め切りがあるが、家でやることにして、本駒込の〈ときわ食堂〉へ。しかし、近くの神社で祭りがあり、今日は夜は営業しないらしい。どこでも祭りだ。ウチに帰り、和風カルボナーラをつくって食べる。旬公は葉山に月を見に行って、今夜はいないのだった。


明日も早いのでさっさと寝ようとしたが、眠れずに『hon-nin』を読む。叶恭子特集が意外におもしろいが、吉田豪樹木希林インタビューがこの号の白眉だろう。冒頭の数行でもう緊迫感が漂う。「本人以上に詳しいっていうわりには、前に話したことばっかりよ」とハードルを上げる樹木希林に、あの手この手で切り込む吉田豪はエライ。けっきょく最後になってもイイ話に落ちないところも。「あとから本に入れるとかいうな、これはこれで終わり」という本人の意思に逆らっても、いつかは単行本に入れておいてほしい、スリリングなインタビューだ。他の記事(西島大介の実録マンガとか)もおもしろく、つい読みふけってしまった。そのあと眠れなくなって、遅れていた『ぐるり』の原稿を書き始め、4時すぎにできる。そろそろ寝るか。