「チームけものみち」の栄光

朝7時半起き。すぐ西日暮里へ。道灌山交差点の近くの銀行前で、植え込みに突っ伏している若者がいる。「大丈夫?」と云うと、どう見ても酔っぱらってる声で「大丈夫です」という。まあ、ほっとくかと進みかけると、後ろからついてくる。何か云っているので聞き返すと、「先に行ってください。大丈夫です」と云うが、数歩歩いたらまた突っ伏してしまった。ちょうどその店のシャッターが開いたところだったので、店の人も困っただろう。


原稿書こうとするが、とりかかれず。今日の作業のために荷物を動かす。〈シネマヴェーラ渋谷〉へ。今日から三日間通えば、今回の特集25本を全部観たことになる。冷房効きすぎて、寒い。まず、中川信夫監督《怪談 蛇女》(1968)。地主にいびられて死んだ小作人の親子3人が幽霊になって出てくる。西村晃なんか、息を引き取った次のカットでもう出てくる。早っ。出現するときにはかならず蛇が一緒に出てくる。クライマックスでは何十匹も出る。蛇嫌いには厳しい映画だ。地主の河津清三郎小作人の娘の桑原幸子、その恋人の村井国夫らの演技がいい。山城新伍が狂乱するシーンもなかなか。演出も落ち着いていて、ヘンな云い方だがうわついたところのない怪談だった。


もう一本は、今井正《武士道残酷物語》(1963)。中村錦之助が何人もの主人公を演じる、いわば「ひとりオムニバス映画」。同じく中村主演の《冷飯とおさんとちゃん》(1965、田坂具隆監督)と同様だ。この時期にこういう形式が流行ったのか、それとも中村の好みなのか。どうしても長くなりがちなスタイルで、途中ちょっと寝てしまった。後半、加藤嘉が色キチガイの元殿様役で出てくる。


急いで西日暮里に戻る。コンビニで買ったもので遅い昼飯。高橋美礼さん、〈往来座〉のセトさん、まこちさんがやってくる。「チームけものみち」の書斎プロジェクトの作業日だ。セトさん力作の本棚、前回は文庫用だったが今回は単行本用2台。たくさん入りそうだ。床の状況を確認して、本棚を引き出すためのレールを設置することになる。そこで急遽、まこちさんの運転で西新井の〈ドイト〉へ。ぼく以外の三人が相談して、買うものを決定。役立たずの施主ですいません。西日暮里に戻り、作業。とても終わりそうにないので、後日にやることにして、9時から旬公も加わって〈大栄〉へ。生ビールが心底うまい。