秋も一箱古本市、もうすぐ店主募集開始!

不忍ブックストリート青秋部より、「秋も一箱古本市2008」の店主募集の告知です。応募受付は9月7日(日)午前0時から。
http://d.hatena.ne.jp/seishubu/20080831
もう通算で7回、秋だけでも3回目になるのか。早いなあ。秋の一箱は、青秋部の二人がむちゃくちゃ優秀なので、ぼくらはあまり手伝うことはなさそう。最初のときはいろいろ相談してきたもんだが。立派にひとり立ちしたことを嬉しく思いつつも、ちょっとさびしい気も。もちろん、助っ人の一人としては手伝います。今年も自転車部隊で、トートバッグ(まだ少し余っている)とけものみち文庫を売ろうっと。


火星の庭〉のサイトによると、仙台で「BOOK! BOOK! Sendai(ブック ブック センダイ)」が結成され、最初のイベントとして10月25日(土)〜11月3日(月)に古本市が行われるとのこと(http://bookbooksendai.com/)。それから、正式発表はもう数日あとだが、鳥取県米子市でも9月末に一箱古本市をやることが決まっている。これに、9月から3ヶ月連続の大阪〈貸本喫茶ちょうちょぼっこ〉での「古本と男子」、東京でのわめぞ「外市」および「月の湯」、11月の福岡「ブックオカ」を加えれば、「一箱系古本イベント」(と勝手に命名)は、文字通り全国に広がっている。そのうち、カレンダーをつくらなきゃ。


ポプラ社から市川慎子『おんな作家読本〔明治生まれ篇〕』(1600円)届く。林芙美子吉屋信子森茉莉、中里恒子、城夏子、宇野千代など、市川さんが大切に読んできた女性作家について、テキストだけでなくいろんな資料を総動員して、その良さを伝えようとしている。〈海月書林〉の8年間の経験が注ぎ込まれていて、コレは市川さんじゃないと書けなかった本だと思う。先日の栗原裕一郎さんとのトークを聴きにきてくれた、ソフトバンク・クリエイティブのKさんからは、岡田有花『ネットで人生、変わりましたか?』とソフトバンク新書の近藤正高『私鉄探検』を。本人があとがきで書いてる通り、近藤さんの初の著書が私鉄についてというのは意外だった。


午前中は仕事場で、あれこれ。〈ときわ食堂〉で昼飯のあと、一度ウチに帰る。旬公と千駄木で落ち合うことになっていたからだが、連絡つかず。仕方ないので、4時前に出かける。今日も今日とて、〈シネマヴェーラ渋谷〉。まず、牧口雄二監督《毒婦お伝と首切り浅》(1977)。《戦後猟奇犯罪史》や《徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑》牧口監督で、このタイトルとくれば画面いっぱいに血が飛び散るものと覚悟して望んだが、ほんわかしたオープニングの音楽に力が抜ける。しかし、これは傑作。明治犯罪史でもっとも有名なお伝の事件を、ボニー&クライドばりに痛快な青春ギャング活劇に仕立て直しているのだ。お伝役の東てる美は演技がうまく、エロカッコイイ。刑事役の汐路章もなかなか。ノークレジットだが、川谷拓三が巡査役でちょっと出て、井戸に突き落とされていた。62分という短さで、物語を消化しきった牧村の腕にも驚嘆。史実と違うなどと云うのもヤボだが、お伝の墓は海辺ではなく谷中墓地にある。首切り浅右衛門がお伝を処刑した、というのは、山田風太郎の明治モノにあったような、なかったような。


もう一本は、中平康監督《闇の中の魑魅魍魎》(1971)。中平自身がプロデューサーになってつくった意欲作で、土佐の「絵金」という特異な画家を描いている。自分の絵を獲得するまでに、あらゆる逸脱を試みる絵金を麿赤児が演じている。目の力だけでもすごい。ただ、映画として面白かったかと云われると、ちょっとツライ。終わって外に出ると、また雨がドシャドシャと降っていた。