『積んでは崩し』増刷します!

新刊ミニコミ『積んでは崩し 南陀楼綾繁のブックレビュー&コラム1999〜2004』(けものみち文庫)の在庫がもうホントに少なくなってしまったので、200部増刷を決定しました。めでたい。とはいえ、現在委託中のモノは精算しないとお金が入ってこないし、増刷の印刷費は先払いなので、儲かっているカンジはまるでない。自転車操業の小出版社と同じ悩みだ。増刷は100部売れると元が取れるので、みなさん買って下さい。


増刷は9月10日完成予定です。現在委託中のお店からの追加注文、新規のお店からの注文を承ります。こちらに到着しだい、発送させていただきます。残りは、秋の古本イベントや冬のコミケで販売します。kawasusu@nifty.com までご連絡ください。


なお、初版で気づいた誤植は以下。2刷では訂正します。

p4 3段目、3行 『古本と借家』 → 『借家と古本』
p7 下段、15行 「継続中。」と「現代の」 の間の1字アキをツメル
p24 上段・22行 中野光夫 → 中村光夫
p28 下段、最終行 出しつつけて → 出しつづけて
p41 上段、15行 『古本と借家』 → 『借家と古本』
p68 中段・16行 この蟲文庫の記事 →この須佐町立図書館の記事
p84 中段、8行 ぼくは → ぼくが


荻原魚雷さんの『借家と古本』を間違えていたのは、情けない。『古本と借家』じゃ、ゴロが悪いだろう。ほかの誤植に気づいた方は、どうぞご教示ください。文章がヘタなのは許してね。


今日は朝から雨。午前中は、旬公の本のテキストまとめ。昼は先日行った駅向こうのすし屋へ。ネギトロ丼と冷やしうどん。午後は「居眠り名画座」の原稿を書く。4時半に出かけて、神保町へ。〈東京堂書店〉の3階に行くと、退屈男くんが本を見てた。畠中さんがお休みだが、ほかの店員さんに『積んでは崩し』10冊を納品。「ちょうどよかったです。さっき最後の1冊が売り切れたところです」と云われる。ちょうど一週間で30冊完売。いまはなき〈書肆アクセス〉であれば月間の売り上げ1位になれたトコロだがなあ。土曜に閉店セールをやっていた、すずらん通りの〈中山書店〉の前を通ったら、本棚が完全にカラッポになり、店の女性が脱力した表情で奥のほうに座り込んでいた。


半蔵門線で渋谷に出て、今日も〈シネマヴェーラ渋谷〉。3日連続で来たので、もう年会費の元は取ったぜ。まずは、小森白監督《大虐殺》(1960)。フィルムからデジタル変換した素材で上映。関東大震災を機に起きた社会主義者弾圧とそれに対するテロを描く。冒頭から陰鬱なシーンの連続だ。沼田曜一演じる甘粕が、大杉栄伊藤野枝を殺す場面は、必要以上にサディスティック。警察が朝鮮人社会主義者をマシンガンで殺しまくるのは、史実ではないだろうが、ジョン・スタージェス監督の《大脱走》(1963・米)を先取りしている。小森白は新東宝で戦争映画を何本も撮っているので、観てみたい。


もう一本は、石橋義正監督《狂わせたいの》(1998)。仕事に疲れた男が家に帰ろうとして、怪しい世界に引きずり込まれる。全編モノクロで、《夢見るように眠りたい》キチガイ版といった趣き。フェリーニの《道》のザンパノとジェルソミーナみたいな男女がやっている居酒屋のシーンが最高。こんな強圧的な店主のいる居酒屋って、ときどきあるよな。幻想的でありながら、一シーンが適度に短く、最後まで飽きない。1970年代歌謡の使い方もカッコイイ。こんな映画が10年前にできていたとは驚いた。


山手線で西日暮里に帰り、〈サミット〉で買い物してウチへ。厚揚げとベーコン炒めで晩飯。ネットを見ていて、神保町シアター豊田四郎特集で、坂口安吾原作の《負ケラレマセン勝ツマデハ》(1958)が明日の夕方で終わりということを知る。明日はライブ見に行くんだよなあ。この映画、観ておきたかったんだが。まあ、仕方がない。目下、「妄執、異形の人々3」が最優先なんだから。