扉野良人の初単行本と最終回を同じ日に

ちょっと寝坊して朝9時起き。西日暮里に行き、今日のトークの準備。大阪の〈iTohen〉で個展を開いていた武藤良子さんの日記(http://d.hatena.ne.jp/mr1016/20080409)が妙に可笑しい。古本屋が開くまでの時間を、鍵がなくて部屋に入れない男の子と公園に座っている武藤さん。一編の小説みたいだ。その〈古本喫茶 伽羅〉を教えたのはぼくなので、「ナンダロウさん、どうしてくれんのよ、とちょっと八つ当たりしたりする」って、そりゃ、ホントに八つ当たりだ。昼はインスタントラーメンにツナ缶、にんじんを入れて食う。


晶文社より、扉野良人『ボマルツォのどんぐり』(1800円)が届く。間奈美子さんの装幀はシックで、晶文社というよりは、白水社みすず書房の本みたいだ。『CABIN』掲載の作家めぐりが収まっているのが嬉しい。何はともあれ、『sumus』同人がみんな待っていた扉野さんの最初の本だ。おめでとう。じつを云うと、ぼくは11年前、京都の徳正寺でまだ本名だった扉野さんと出会った直後から、彼の本がつくりたかった。荻原魚雷さんの本もだ。しかし、それを実現したのは両方とも中川六平さんだった。悔しくないといえばウソになるが、でも、他の編集者じゃなくてよかったとも思う。プロフィールに「『書評のメルマガ』で『全著快読 梅崎春生を読む』連載」とあるが、その最終回を掲載した号を編集する。今回から数回、樽本主馬さんが「『文学鶴亀』ができるまで」を書いてくれる。なぜあの連載が今回の本に入らなかったかという疑問も解消されるかな?


これから〈阿佐ヶ谷ロフトA〉でのトークに出ます。なんか3時間ぐらいやるらしいので、お時間のある方はあとからでもお出でください。


(その8時間後)いま、イベントが終わって西日暮里に帰ってきました。ドコから集まってきたのかと思うほど多いお客さんが来てくれました。ありがとうございます。いろいろなハナシが出て面白かったのですが、ひとつ云いたいのは、長すぎる〜。7時半スタートで11時半終了って、聴いているヒトも疲れたはず(途中退席のヒトも多かった)だが、喋っているぼくも疲れました(仲俣さんはぜんぜん平気だったみたいですが……)。もうちょっと整理して3時間ぐらいに収めたほうがヨカッタんじゃないかなあ。これだけやっても、用意していったミニコミや雑誌の半分以下しか見せられなかったので、ブログで補足を書いてみようかと思っています。とりあえず、今日は寝ます。


遅くなったが、忘れないうちにこの日のトークについて書いておこう。5時ぐらいにウチを出て、6時過ぎに阿佐ヶ谷へ。〈富士ランチ〉でハンバーグランチ。それからパール街に入り、〈阿佐ヶ谷ロフトA〉へ。前に〈ブックギルド〉のあった場所。入り口は見覚えある光景だが、ナカに入るとぜんぜん雰囲気が違っていて驚く。店長のOさんに案内されて楽屋へ。仲俣暁生さんほか数人が、『路字』創刊号をせっせと折っていた。元水声社で現春秋社のKさんと久しぶりに会う。会場を見ると、すでに何人かお客さんが。モンガ堂さん、『HB』の橋本さん(アメリカ帰り!)、元アスペクトのTさんほかに挨拶。ステージは新宿の〈ロフトプラスワン〉を低くしたようなカンジ。1999年にあの店で『ミニコミ魂』(晶文社)刊行記念イベントをやったことを思い出す。


あまり告知に協力しなかったので、お客さん入るかなあと心配したが、続々詰め掛けてきて100人になった。木村衣有子さん、『ぐるり』の五十嵐さん、〈古書ほうろう〉の宮地さんら知った顔もあるが、仲俣さんを見に来たヒトのほうが多い感じでやや緊張。前半は仲俣さんとぼくの二人で、雑誌について。なるべく具体的な誌名を出しながら話すようにした。気がついたら1時間経っていた。休憩に入る前に、仲俣さんがブログで批判していた『論座』や『TITLE』の話題を振ったが、あまり肉薄できず。東川端参丁目さん(出演依頼していたが都合で出られず)がいてくれたら、もっと盛り上がったハズなんだが。


休憩を挟んで、渡邉英徳さんによる「路字マップ」(http://www.big.or.jp/~solar/rojipost.html)のデモ。後半しか見なかったが、コレを使ってできそうなことがいろいろ思い浮かぶ。そのあと、ゲストの大竹昭子さんとフリースタイルの吉田保さんを挟んで、4人で後半。最初に各自が書いてきた「雑誌履歴書」を見せる。久世番子さんの『番線』からいただいたもので、年代別に自分が読んできた雑誌の誌名を並べるだけのものだが、そこからいろんなコトが読み取れて面白い。吉田さんとぼくはひとつ違いで学年は一緒、しかも地方出身ということもあり、かなり誌名が重なっている。二人とも『綺譚』を読んでいたんだなあ。仲俣さんが高校のときにSFの同人誌をつくっていたというのも初耳だった。ぼくの雑誌履歴書は、そのうちブログにアップします。そのあと、街の話になり、大竹さん流の街の歩き方、吉田さんと下北沢の距離感などの話があって、やっと不忍ブックストリートのハナシができた。そのあとも、いくつか話題があって、11時近くなってから質疑応答になり、ぜんぶ終わったのは11時半だった。


ビールを飲みながら話していたこともあり、4人だとうまく話に割り込めないこともあって、後半はぐったりしてしまった。終わってみて、60点ぐらいの出来だったかと思う。やっぱり、雑誌自体のハナシと街のハナシを一緒にやるのは無理があったか。自分で雑誌履歴書を提案しておいてナンだが、今回は「街と雑誌」に話題を絞るほうが、ゲストのお二人の話とも整合性があったかもしれない。それと、進行を打ち合わせしておけば、あと1時間は短くなったのになあとも反省。質問は非常に真面目な問いかけが多く、その場で答えにくいのでややぶっきらぼうな返事になったかもしれない。「乱入する」とウワサされていた栗原裕一郎さんがいたのか、いなかったのか、ご発言されなかったのは残念。栗原さんにイジってほしかったです、ぼくは。


最後に云おうとして云い忘れたが、あの場にいて、これから自分でメディアをつくる人がいたら、出来たときにそれをぼくに見せてください。かならず何らかの反応はします。それぐらいの誠意は、昨日たくさん来てくれたお客さんに対して見せたいと思う。モンガ堂さん、木村さんに誕生日プレゼントをいただく。ありがとうございました。


なんとなく不完全燃焼なので、飲みに行きたい気分だったが、終電が近いのでおとなしく帰る。新宿まで吉田さんと一緒だった。しばらく休んでいる雑誌『フリースタイル』は、そのうち必ず出しますとのコトだった。西日暮里に戻り、メールをチェックしてから自転車でウチへ。そのあと、根津で飲んでいた旬公が酔っ払って帰ってきて、はしゃぐのでタイヘンでした。ロッパー!(榎本俊二風に)。