書巻の気に包まれる日曜日

8時起き。新聞を見て、草森紳一さんが亡くなったことを知る。まだ70歳だったのに。多くの本を著した人だが、まだまだたくさん書こうとしていたテーマがあったはずだ。『季刊・本とコンピュータ』でいちどエッセイを書いていただき、その前後に何度かお会いしている。ご冥福をお祈りします。


今日も肌寒い。自転車で南千住図書館へ。半年ぶりぐらいか。いま書こうとしていることに関して、『森銑三著作集』(中央公論社)をチェックする必要があり、書庫から何冊か借り出す。この著作集は正篇・続篇で計30巻もあるのだが、索引や著作リストが整備されているので、調べやすい。気になった巻を開いて、少しずつ読む。2、3ページの小文の中にハッとするような指摘がいくつもあった。この際読んでおきたい巻を数巻借りる。いつかは全巻を通読したいのだが。ほかにも雑誌や単行本で調べものをし、11時半に出る。荒川区役所近くの〈ハルピン〉へ。この時間はいつも混んでいる。チキンライスを食べて、西日暮里の交差点まで戻ると、上空に見える舎人線のホームをヒトが歩いていた。今日、開通なのだった。


岡崎武志『女子の古本屋』(筑摩書房)が届く。岡崎さん、ありがとうございます。もっと厚くなるかと思っていたら、コンパクトな並装本。浅生ハルミンさんのイラストともに、「女子」っぽい雰囲気が出ている。本書でぼくが訪れたコトがない店は、倉敷の〈蟲文庫〉のみ。今年こそは行きたいもの。また、久世番子『番線〜本にまつわるエトセトラ〜』(新書館)も届く。この本の世界のルポマンガについては、何度が触れているが、前半は未読だったのですぐ読みはじめる。一人一人に「雑誌履歴書」を書かせるというのは、いいアイデアだなあ。大学の授業でもやろうかな。例の一箱古本市マンガも収録されている。この2人の共通点は、今年の一箱古本市weekに関わっているというコトだ。岡崎さんは5月3日の一箱古本市に店主として参加されるし、番子さんには4月26日(土)〜5月3日(土・祝)に〈ブーザンゴ〉で、『番線』のミニ原画展を開催していただく。4月29日(火・祝)はご本人が来店されるので、サインをお願いするチャンスです。


2時に事務所にお客さん。沖縄・那覇市にある「日本でいちばん狭い古本屋」〈とくふく堂〉(http://blog.livedoor.jp/tokufukudo/)の徳沢達哉さん。開店3周年のイベントで一箱古本市をやりたいと云ってきてくれた。写真を見せてもらったが、ほんとうに狭くてビックリ。これは文字通り、「一箱」しか置けなさそう。その場所でどうやるのか興味がつのる。今回は沖縄の出版社「ボーダーインク」の新城和博さんが店主となり、ぼくもちょっと本を出すという構成で行くコトに。4月23日(水)お昼過ぎから9時ごろまで(本は25日まで販売するそうだ)。その後も、希望者がいれば一箱古本市をやっていきたいと徳沢さんは云っていた。沖縄の古書業界のことなど聞いていると、2時間ぐらい経ってしまった。〈古書ほうろう〉に案内し、また事務所に戻り、一箱古本市の店主配置や、MAPの発送リストをつくる。


なんか、一日中、「書巻の気」に包まれているような日曜日だ。こういう日の夜は、たっぷり本が読みたい。高円寺〈円盤〉で渋谷毅松倉如子のライブがあるのだが、今日は音楽よりも本の勝ちなのです。