歯痛を逃れて映画を観にいく

「BOOKMARK NAGOYA」の名古屋大古本市に出品した荷物が戻る。一緒に出品した〈古書ほうろう〉の荷物も一緒に。ぼくの売り上げは手取りで3万ちょっと。96冊出してちょうど半分売れた。一ヶ月間という長期にしてはいま一歩だったか。


林哲夫さんから『spin』第3号届く。「佐野繁次郎装幀図録」のカラーページに息を呑む。ぼくも花森安治経由で一時期、サノシゲ装幀本を集めていたが、きりがなさそうなのでヤメてしまった。単行本だけで334点もあるんですね。畠中理恵子さんと近代ナリコさんのトーク「本と女の子の本音? 書肆アクセス閉店をめぐって」では、司会の林さんがぼくに触れていた。これまでやってきたことを評価されてきたようで、嬉しかった。「ひょうご大古本市」の目録も届く。例の「一箱古本市」(目録ではこの表記)の告知も。ま、イイんですけど。


遅れていた『ぐるり』のインタビューまとめを、一気に仕上げて送る。かなり面白くなったと思うが、さてどう読まれるか。歯痛がつよまるが、歯医者に電話したら明日しか予約が入れられないという。しかたない。痛みを忘れるために、渋谷へ。〈ブックファースト〉で、香山リカ『ポケットは80年代がいっぱい』(バジリコ)、大宮エリー『生きるコント』(文藝春秋)、ばばかよ『うちのごきげん本』(メディアファクトリー)などを買う。大宮エリーは『週刊文春』の連載が気に入って。どんなヒトか知らないんだけど。この店はスペースが限られているからしかたないのだが、ヒトとすれちがうこともできないほど棚と棚の間が狭い。かといって、駅前にこの店に代わる本屋がないのも事実。


シネマヴェーラ渋谷〉で、「東宝アクション!」。今日は、佐伯幸三監督《断崖の決闘》(1961)と福田純監督《100発100中 黄金の眼》(1968)。……どっちもよく眠ったなあ。しばらく寝ると歯の痛みを思い出して、またスクリーンに見入るというぐらいで、ストーリーがちゃんと把握できなかった。《断崖の決闘》はなにかと顔をゆがめるだけの主演の夏木陽介より、その子分の加藤春哉が好演。岡本喜八作品など、東宝映画の脇役のひとりだが、かわいさ半分気持ち悪さ半分という役者だ。なお、今月から『本当にあった禁断愛』で始まる「南陀楼綾繁の居眠り名画座」では、この映画館で居眠りしながら観た「東宝アクション!」の一作を取り上げている。


コミックビーム』を買うのを忘れたので、〈啓文堂書店〉で、二ノ宮知子のだめカンタービレ』第20巻(講談社)と一緒に買い、山手線で西日暮里に戻る。薬局で鎮痛剤を買って飲み、一時的に歯痛はおさまる。


あ、いま出ている『SPA!』の文庫本書評で、式貴士『カンタン刑』(光文社文庫)を取り上げてます。式貴士は中学生のときに読んで、その身もフタもないエログロナンセンスに衝撃を受けつつも、高校生以降は離れていった作家だったので、今回のセレクションで再会できたのはよかったです。編者の五所光太郎氏に感謝。