〈三月書房〉に行くとなぜか講談社文芸文庫が買いたくなる

朝8時半起き。フロントで宅急便を出し、バイキング形式の朝食。ゆっくり準備して、10時前にチェックアウト。御堂筋線で難波へ。中途半端に時間が余っているので、うろうろ。〈ジュンク堂〉難波店で、高城高全集1『墓標なき墓場』(創元推理文庫)を買う。名前すら知らなかった作家の全集を、いきなり文庫で出してしまうところが、創元推理文庫のスゴさだ。あと、名古屋でお目にかかった諏訪哲史さんの芥川賞受賞第一作「りすん」を読みたくて、『群像』3月号も買う。


南海本線の特急で羽衣駅まで。まだ時間があるので昼飯でもと降りてみるが、商店街らしきものはない。ちょっと裏に入ると、古い木造家屋が多かった。そういえば、この近くの浜寺には宮武外骨が明治期に住んでいたのではなかったか。また電車に乗り、北助松という駅で降りる。こっちの方が踏み切りをはさんで、商店が並んでいる。〈グリル再会〉という昔の純喫茶風の店名に惹かれ、入ってみる。ナカはやけに広い。白身魚フライのランチ(600円)は安くてウマかった。コーヒーも頼んで時間をつぶし、改札でKさんと待ち合わせ。某校の図書館を取材する。


終わって、南海で天下茶屋まで戻り、堺筋線で北浜。〈アトリエ箱庭〉に寄りたい気もしたが、あとの動きを考えて、そのまま京阪に乗る。1時間ほどで出町柳に着く。そこから歩いて、今日泊めてもらう扉野良人さん宅へ。近代ナリコさんもいた。晶文社からもうすぐ出る扉野さん初の単行本の表紙デザインを見せてもらう。タイトルは予告のものから大きく変わっていた。ほんとうに楽しみ。


バスで二条に出て、寺町通りの〈三月書房〉へ。宍戸さんに挨拶すると、「ついさっき永江朗さん、きとったよ」と云われる。ますます充実の自由価格本コーナーで、里見トン著・武藤康史編『秋日和 彼岸花』(夏目書房)を半額で買う。反対側の文庫コーナーに回ると、講談社文芸文庫があちこちに一見無造作に差してある。東京の大書店でいつでも買えるハズなのだが、ココに来るとなぜか講談社文芸文庫が買いたくなる。今日も、里見トン『初舞台・彼岸花 里見トン作品選』(解説・年譜・著作目録は武藤康史)、織田作之助『世相・競馬』、平林たい子林芙美子宮本百合子』を買う。


そのまま南に向かって歩く。途中、〈黒猫堂〉が入っていたビルを横目に。四条烏丸の交差点で、従姉妹のヒサヨと待ち合わせ。近くの居酒屋に入る。メールのやり取りはあったが、直接会うのは15年ぶりぐらいか。実家は大阪だが、昨年結婚して京都で住んでいる。仕事がSEなので「ウィンドウズVISTAってなんであんなに遅いの?」と訊いたり、相当な本好きなのでオススメ作家を教えあったりする。こんな日が来るとは思わなかったな。「ススム兄ちゃんの机の上の本棚って、マンガがいっぱい並んでたでしょ。出雲に行ったとき、あそこの本を読むのが楽しみだった」と云われ、ちょっとホロッとする。建て替えていまは消えてしまったあの本棚を、自分以外に覚えていてくれたヒトがいたとは。


9時半頃に別れて、バスに乗ろうとするが、バス停が判らず、なんとなく歩いているうちに、京都市役所まで来てしまった。ちょうど来たバスは出町柳までだったので、そこから歩いて扉野宅へ。さすがに足が疲れた。ビール飲みながら扉野さんとあれこれ話すが、そのうち眠くなってきて、12時半頃に寝る。