手をつなぐ砂塚秀夫と志村喬

朝、西日暮里に行くと、アマゾンから荷物。牛田あや美『ATG映画+新宿』(D文学研究会)は、唐沢俊一の日記で知り興味を持った。D文学研究会日大芸術学部教授の清水正氏主催の研究会で、これまで何点か出版しているようだ。挟み込みの栞には松枝到高崎俊夫などが書いている。著者が美人とはいえ、飲み会の写真が10点近く入っているのは奇異。それと、吉野孝雄『文学報国会の時代』(河出書房新社)。しばらくお目にかかってないが、こういうテーマをこつこつ書かれていたのか。あと、HONZIのCD[TWO]も届く。先日「コミガレ」で、このナカの一曲、フィッシュマンズの「いい言葉ちょうだい」のカバーが流れているのを聴いて鳥肌が立ったのだった。これまで聴いたフィッシュマンズのカバーの中ではダントツだと思う。


明日から東京を離れるので、今日中にカタをつけなければならない仕事がいくつか。まず、『WB』の「文豪擬獣化宣言」。最近好きになって読んでいる作家のせいか、意外と早く書けた。昼飯をはさんで、旬公と家庭内編集会議。そのあと銀行や郵便局に行き、戻ってから短い原稿を一本。さらに校正を1本上げたところで、出かける。

渋谷に行き〈シネマヴェーラ渋谷〉で、福田純監督《血とダイヤモンド》(1964)。タランティーノの《レザボア・ドッグス》に影響を与えた……かは知らないが、宝石強盗の内部分裂を描く、キューブリックの《現金に体を張れ》路線のサスペンスもの。こういうの、好きなんだ(と云いつつ、またしても20分眠ったが)。撃たれた佐藤允の治療に呼ばれた医師の志村喬が、ギャング一味の砂塚秀夫と手を取り合って、警察からヨチヨチ逃げるシーンが最高。この二人が共演した映画って、ほかにあるんだろうか? 砂塚秀夫の情けない表情がたっぷり見られたのが、この映画の大収穫だった。佐藤允の弟分が石立鉄男だとは、インタビュー集『東宝映画100発100中! 映画監督福田純』(ワイズ出版)を読み直して初めて気づいた。同書によれば、この映画の撮影時にセットが火事になったという。


西日暮里に戻り、〈はやしや〉でチューハイ。仕事場に戻り、校正を2本片付け、ゲラを1本返送。いちおうコレでなんとか出かけられそうだ。明日、明後日は名古屋で「Bookmark Nagoya」を見て、その次の二日間で、関西の図書館を取材してきます。今回は古本屋はあまり回れないかも。では。