中学生の自分に助けられている

午前中はウチで本を読み、11時半に隣の〈ラ・カンパネラ〉へ。明日で閉店するこの店で、最後の食事としてボルシチを食べる。店を出るときに、奥さんに「お疲れさま」と挨拶する。団子坂の上のほうには喫茶店もほどよく食べられる店もないので、この店がなくなると困ってしまう。次もやっぱり喫茶店が入ってくれるとイイんだけど。


千代田線で新御茶ノ水JR中央線に乗り換えて、西八王子まで。大学1年生のときに、南口の住宅街にあった幻想文学専門の古本屋(名前を忘れてしまった。なんか「烏」が入った名前だったような……)に行き、帰りに北口の踏み切り脇にある古本屋にも寄った。しかし、22年経ってみると、駅は高架になり、昔の面影はまったくない。北口の〈ブックオフ〉を覗いてから、〈奈央屋〉というカレー屋さんへ。ココで『ぐるり』のインタビューがあるのだ。五十嵐さんとカメラ担当の奥さんが先に来て、カレーを食べていた。


お話を聴くのは、ミュージシャンのOさん。中学生で聴いて以来のファンなので、とても緊張する。しかし、はじまってみるとリラックスして話すことができた。こないだ式貴士の書評を書いたときにも思ったが、なんだか最近、中学生のときの蓄積に助けられることが多い。一時期はぜんぶ捨てたいと思った経験が、25年経って生きてくるとは思わなかった。1時間ほどお話を伺い、写真を撮って終了。『ぐるり』次号に掲載です。〈奈央屋〉はカウンターとテーブルひとつだけの小さな店だが、居心地はいい。壁の上に、ぼくの大好きなカーネーション[天国と地獄]のジャケット画が飾ってあったが、お店のヒトに聞くと、八木康夫の原画を本人が預けているのだとか。どうりでジャケットより生々しいタッチだった。


帰りの中央線、立川で五十嵐夫妻と別れ、三鷹へ。〈上々堂〉で昨年秋からのバイトというHさんに挨拶し、取り置いてもらっていた、田中小実昌『インデアン・ピート』(講談社)を受け取る。ビニールカバーの装幀がイイ。駅から最初の交差点脇にあった〈三鷹書房〉(http://blog.livedoor.jp/mitakasyobou/)が閉店していた。西江雅之など三鷹ゆかりの著者の本を置いたり、それなりに頑張っていた店だった。ブログを見ると、平成12年開店だったとのコト。もっと前からあるように思えたが。


駅前の〈啓文堂書店〉で、芦辺拓裁判員法廷』(文藝春秋)、山上たつひこ撰集2『にぎり寿司三億年』(小学館クリエイティブ)を買う。千駄木に帰る途中、『モーニング』を買う。この雑誌連載のマンガの単行本はかなり買っているが、雑誌を買うのは数回目。どうも誌面が肌に合わないのだ。今回は安野モヨコ働きマン』と連載再開の福満しげゆき僕の小規模な生活』が読みたくて。前者は映画買い付けのハナシで、ちかごろ旬公のオモチャになっている「小僧斎藤くん」のことを思いながら読んだ。


鎌倉から野菜が届いたので、久しぶりに豚汁をつくり、テレビで《鹿男あをによし》を観る。第1回から欠かさず観ている。役者もいいが、なんといってもイイのは鹿がやたらとたくさん出てくることだ。とくにエンディングの走る鹿は最高。演出担当は相当の鹿好きと見た。奈良の街中もよく写り、前には〈蔵〉らしき居酒屋でロケしている。今回はぼくも何度か行った新刊書店の〈啓林堂書店〉が見えた。つぎは〈ベニヤ書店〉とか古本屋が写らないかな。


3月に〈古書ほうろう〉で水族館劇場のイベントが出ます。旬公もゲスト出演します。

水族館劇場、古書ほうろうに現る!


 水族館劇場がはじめてこの地に姿をあらわしたのは、8年前の春のこと。以来、毎年5月になると、団子坂上駒込大観音境内に、巨大なテントが現出することとなりました。そのあやしげな建物のなかに一歩足を踏み入れると、そこは細部までつくり込まれた見世物小屋の世界。そしてそんななか繰り広げられるスペクタクルな劇。降り注ぐ、水、水、水。


 地元の人はもうみなさんご存知ですよね。遠方にお住まいの方も、ほうろうのお客さまならご覧になられた方もたくさんいらしゃるでしょう。
 でも、この劇団の持つ魅力を考えると、まだまだ足りません。もっと多くの人に、彼らのことを知ってもらいたい。今回のこの企画は、そんな気持ちから生まれました。


 といっても、もちろん、ほうろうの軒先にテントを組んだり、店内を水で溢れさせたりはできません。そこで、毎年年末年始、彼らが寄せ場の路上で演じている「さすらい姉妹」での公演をしていただくことになりました。演目は『鞍馬天狗』です。


 また、今回はさらにもうひとつお楽しみが。不忍ブックストリートの仲間で『世界屠畜紀行』の著者である内澤旬子さんと、水族館劇場の作・演出を手がける桃山邑さんとの対談です。生きた動物や鳥を毎回必ず登場させる桃山さんと、世界各地の屠畜現場をつぶさに見てきた内澤さん。きっと興味深い話が展開されるにちがいありません。


 5月に大観音で初日を迎える野外公演『Noir 永遠の夜の彼方に』を前に、「もちろん行くに決まってる」という方には別の魅力を発見する、「そんなの知らない」という方には素晴らしい出会いとなる、そんな一夜となることでしょう。みなさまのご来場を、心よりお待ちしております。


* 日時:2008年3月19日(水) 
   開場 18:30/開演 19:00(終了予定時間 22:00)
* 料金:1500円(簡単な打ち上げつき)
* 定員:40名(要予約)


演目 
第1部 さすらい姉妹『鞍馬天狗
  作演出 桃山邑


第2部 対談「いのちを屠るということ──やさしさ、について」  
  内澤旬子(イラストルポライター
  桃山 邑(水族館劇場代表)


◎注意事項
 *ご予約は、古書ほうろうまで、メール、または電話で。
  先着順にて受け付けます。


  ・メール
    あて先:horo@yanesen.net 
     件名:3月19日 水族館劇場 申し込み
        ・お名前
        ・人数
        ・当日ご連絡の取れる電話番号
        を、お書き添えください。
  ・電話:03-3824-3388
 *飲みものは、ご自由にお持ち込みください。
 *お問い合わせは、古書ほうろうまで。