『映画論叢』の休刊を惜しむ

朝から西日暮里に行き、講演まとめの続き。2本仕上げて送る。残り1本だ。うどんをつくって食べ、出かける。風、きわめて強し。千代田線で表参道。〈青山ブックセンター〉で本を探すも、出ているハズなのに並んでいない。佐々木敦ミニコミエクス・ポ』創刊号を買う。袋入りだ。あとでナカを見たら、『WB』っぽい誌面構成だった。前田和彦くんがスタッフとして参加している。それと『映画論叢』の第18号が出ているのを見つけて、買う。〈書肆アクセス〉がなくなったので、うっかりすると新しい号が出てるのに気付かない。ほかに、『ビートたけしオールナイトニッポン傑作選』(太田出版)、中公文庫の新刊で、海野弘『東京風景史の人々』、花森安治『暮しの眼鏡』、堂場瞬一『疑装 刑事・鳴沢了』の3冊を買う。


下北沢へ向かう電車の中で、『映画論叢』を読みはじめ、〈シネマアートン下北沢〉に着いてからも読みふける。いつも最初に読む川喜多英一「映画本の困った人たち」、今回は金井美恵子。金井のジャン・ルノワール礼讃に対して、「ファン歴の偽造」であると突っ込んでいる。相変わらず意地悪く、ねちっこい。このヒトと塩山さんを対談させたらどうか。布村健「極私的東映および教育映画部回想」には萩野正昭さんの名前も。三上真一郎「チンピラ役者の万華鏡」、今回は「良心的左翼」の方々の欺瞞を突く。編集後記には映画館などでの「キレる老人」の跋扈に憤慨している。ますます快調な雑誌だと思ったら、執筆者紹介欄にひっそりと休刊のお知らせが。決定的な廃刊ではないようだが、コラムが読めなくなるのは淋しい。【2月25日追記】Sさんから、「版元が替わって続行決定」という情報をいただく。よかった。でも、これまで頑張ってきた発行元の樹花舎は無念だろうなあ。


アートンは特集「原作・大藪春彦」。須川栄三監督の《野獣死すべし》(1959)と《野獣死すべし 復讐のメカニック》(1974)を続けて観る。前者はかなり前に観ており、仲代達矢の最後までブレない冷たさにシビレたものだった。再見でもその印象は変わらなかった。脚本を書いている白坂依志夫と映画監督の西村潔の名がキャストに見られるが、ドコに出ているかは判らず(白坂は刑事役だったらしい。例の『シナリオ』の連載で、そのコトに触れてませんかね? 塩山さん。ついでに共演の団令子をいただいちゃったなどのステキなエピソードも)。15年後の後者は、ダルダル。藤岡弘が英文学の講師という設定で、もうすでにマジメに観る気を失う。この特集、来週の福田純監督《野獣都市》を観たいのだが、果たして来れるだろうか? このところ、気になる特集上映が多くて、とても追いつかない。


西日暮里まで帰り、〈大栄〉で旬公と待ち合わせ。先日、大竹聡さんが『週刊大衆』でこの店を取材した記事が、パウチされて壁に貼ってあった。お客さんが持ってきてくれたとのコト。喜んでましたよ、大竹さん。久しぶりに食べた味噌チゲがウマイ。西日暮里に戻り、明日の「けものみち計画」改装計画その後編のために、本棚の本を移動させる。明日はまたIKEAです。