大佛次郎と都筑道夫と古書ほうろうと雑誌いろいろ

この週末から名古屋で「Bookmark Nagoya」が始まっている。〈リブロ〉名古屋店の「名古屋大古本市」には、南陀楼の「古本けものみち」も出品している(同じ屋号で〈古書ほうろう〉にも出してもらっている)。期間中にいちどは名古屋に行くつもりだけど、まだいつになるか決まっていない。仙台や福岡のようには、トークなどで呼ばれなかった(ちょっと残念)ので、自動的に日程が決まらないのだ。たぶん終わりのほうに行くコトになるのでは。


かたや、「一箱古本市week in不忍ブックストリート」の準備も着々進行中。すでにいくつかライブや展示が決まっているし、会場を提供してくれるカフェ、ギャラリーなども出てきている。3月中にはだいたいの概要を決めたいと思っている。なお、「一箱古本市week」はいまのところ、4月26日(土)〜5月5日(月・祝)ですが、イベントの都合によってはもう一日ぐらい延びるかもしれません。


大佛次郎記念館に行ったとき、受付で、福島行一『大佛次郎』上・下(草思社)を見つけたが、その場で買わず、「日本の古本屋」で買った。この作家のコトをほとんど知らなかったので、とても面白い。しかし、大佛の性格や人間関係などをいきいきと描いている上巻に対して、下巻に入ると、大佛の主要作品の解説が中心になってくる。文壇における作家との交流とか、戦後に雑誌『苦楽』を発行したこととか、いくらでも知りたいコトがあるのに。


で、物足りないなあと思っていたのだが、さっき〈古書ほうろう〉に寄ったら、金田元彦『私の鵠沼日記 大佛次郎幸田文の思い出』(風間書房)という本があった(前からあるのに気づいていたけど)ので、評伝の補足になればと思い、大佛次郎『冬の紳士』(講談社・大衆文学館)とともに購入。先日買った、『大佛次郎随筆全集3 病床日記ほか』(朝日新聞社)もあるので、しばらくの間、大佛次郎マイブームが続きそう。


大佛次郎といえば、未知谷からの「大佛次郎セレクション」は第一期・6巻が完結し、第二期も刊行されるとのこと。また、『鞍馬天狗』がNHKで放映中だ。これらの動きに合わせて、〈ジュンク堂書店〉池袋本店で今月一杯、大佛次郎ブックフェアが開催中だ。16日(土)には、大佛次郎研究会の村上光彦氏と海野弘さんのトークセッションもあるのだが、残念ながらその日は東京にいないのだった。


ほかに今日ほうろうで買ったのは、100円均一棚から、『苦くて甘い心臓』(角川文庫)など都筑道夫を3冊。こないだ久しぶりに〈ささま書店〉に寄り、そこで光文社文庫の「都筑道夫コレクション」を2冊買った。都筑本は自薦集や傑作集が多く、この「コレクション」の表題作も以前に読んだものが多かったので、手を出さずにいた。しかし、本格推理篇の『七十五羽の烏』には、長編の表題作ほか、シリーズ探偵3種(キリオン・スレイ、退職刑事、なめくじ長屋)から短篇2編ずつが採られており、さらに、それらに関係するエッセイが入っていて、コレ一冊で、都筑道夫の本格推理の概要がつかめるという憎い編集ぶりなのだった。それでつい、均一にも手が伸びたのだ。ある書き手が気になっているときに、ほうろうに寄ると、びっくりするぐらいのタイミングで、その人の本が見つかることがよくある。


書くのが遅れたが、最近届いた雑誌をメモしておく。「入谷コピー文庫」最新刊は、本田順『浅名アニキ2007 旅愁編』。影坂狩人あらため文志奇狩都あらため竜超さんから『薔薇族』。内藤ルネの特集。この特集だけでなく、過去の『薔薇族』の誌面から面白い部分をピックアップする方針のようだ。そういうコトに力を入れるのはいいのだが、「いま」のゲイ世界についての記事が(この号に関しては)まったくナイのが惜しい。意図してやっているとは思うけど、商業雑誌というよりは同人誌・ミニコミの色が濃くなっている。今柊二さんから『畸人研究』第24号。特集「韓国定食・北朝鮮グルメ」。三宅さんから『貸本マンガ史研究』第19号。編集後記で〈書肆アクセス〉閉店とアクセス本について触れられている。アクセスがなくなったいま、上の4誌が書店に同時に並ぶ様子は想像しづらくなった(タコシェぐらいか)。ただし、〈三省堂〉神保町本店4階の地方出版物コーナーは、かなり頑張っていると思う。こないだ行ったら、エスカレーターを上がったところでも小出版物のフェアをやっていた。ただ、義理からなのか、ぼくの著書を平積みしてくれるのはアリガタイけど、新刊ではないしそんなに大量に売れないでしょうから、2ヶ所もも3ヶ所も置かないで下さい>三省堂さま。気のせいか、どうもゾッキ本っぽく見えるんだよなあ。


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