月本裕はなんだか気になる人だった

8日(火)の午前、ボーッとネットを見ていたら、「私たちは20世紀に生まれた」(http://numabe.exblog.jp/)に、フィルムセンターで「マキノ雅弘監督特集」が始まったという記事が載っていた。しばらくチェックしてなかったので、まったく知らなかった。さっそくその日2本観て、それから毎日1本とか2本とか観にいっている。10日(木)は《野戦軍楽隊》を観にいったのだが、映写が始まって映し出されたタイトルは《不沈艦沈没》だった。おかしいなあー、でも戦前の映画って正式名じゃないタイトルがあることがときどきあるからなあと思って観ていたが、そこで展開されているのは戦時中の軍事工場のハナシで野戦も軍楽隊も出てこない。さすがにおかしいと思ったあたりでフィルムが中断し、「間違ったフィルムを映写してしまいました」というアナウンスが入ったので、客が笑った。誰かが気づいて受付に知らせれば、もっと早く中断したのだが、まさかフィルムセンターで間違いがあるとは思えなかったのだろう。ともあれ30分近く上映した上で中断したので、《不沈艦沈没》をもう一度見るべきかどうか迷うところだ。


昨日の新聞に、作家の月本裕(ゆたか)さんが脳溢血で亡くなったという記事が出ていた。享年47歳。月本さんは自分のブログ(http://www.tsukimotoyutaka.com/)で、7日に浜崎あゆみの難聴について書いているが、その2日後に亡くなったのだ。月本氏の名前は1980年代にはいろんな雑誌で見ている。東京に詳しい人、コラムをよく書いている人、編集者でもある人、という程度の印象はあった。新設された「坊ちゃん文学賞」を受賞したときに、初めて顔を見て、「月本裕ってこんなにでかい(体が)人だったのか」と思ったものだ。書いたモノを読んだことは少ないのだが、山崎浩一えのきどいちろうに比べると自分の年代に近い(1960年生まれ)ということがあって、なんだか気になる人ではあった。どこかで出会っていたら、ひょっとして一緒に仕事をしていたかもという気がする。その機会がなかったのは残念だ。ご冥福を祈る。


礫川全次さんより新著『アウトローの近代史 博徒・ヤクザ・暴力団』(平凡社新書)を送っていただく。礫川さんは一貫して、底辺の民俗を探究している。この本も怪しく面白そうだ。しかし、平凡社新書っていつの間にかアングラ専門になっちゃったねえ(オモシロいからイイけど)。


〈結構人ミルクホール〉(http://kekkojin.heya.jp/)が、サイトで非常事態宣言をしている。

◎閉店・並びに閉店阻止チャレンジのお知らせ
新年早々いきなり不吉な告知で申し訳ありません。
オープンから約3年半、お一人様でも雰囲気・味ともにくつろげる空間を目指し邁進してきましたが、3月いっぱいで区切りをつけなければならなくなってしまいました。
手前の努力不足以外のなにものでもないのですが、打ち出したコンセプトが広まるにはまだまだ時間がかかりそうなのですが、そこまで続ける金銭的体力が現状ではありません。
しかし逆を言えば、一定の利益を超えられれば続けることが可能です。
ですがその目標は易々とクリアできない数字です。
閉店を阻止すべくこの3ヶ月は必死に営業していきます。
チーズケーキの通販の他、できる限りの方策を練る所存です。
恥を忍んでのお願いです。
どうか、店を続けさせてください。
そのために、ご来店・ケーキの通販へのご協力、どうか、どうか、宜しくお願いいたします。
存続の目処がつきましたら当ホームページで告知させていただき、4月からは新たな結構人ミルクホールとしてスタートいたします。その日が来ることを願って、努力してまいります。


固定客も付いて繁盛しているように見えたんだけど……。客商売というのは傍目からは判らないもんだなあ。この店の静かさは貴重だと思うので、少しでも長く存続するようにせいぜい通おうと思う。