元旦は「グラインドハウス」で

晦日の夜は、旬公と神楽坂〈シアターIWATO〉に行った。シューベルトの歌曲「冬の旅」の全24曲を、斎藤晴彦さんが歌い、高橋悠治さんがピアノを弾くという催し。日本語の歌詞は斎藤さんや悠治さん、平野さんたちが訳したもので、ユーモラスな歌も激しい歌もすっと胸に入ってくる。ピアノの響きが気持ちよかったので、途中、少し眠ってしまった。終わってからパーティー。知り合いたくさん。平野さん、津野さん、萩野さん、中川六平さん、高橋茅香子さんと美礼さんらと話す。S社のツムツムに高野マユタンを紹介したら、「ブログによく出てる人ですね」と云われ、八巻美恵さんに「今日のこと、ちゃんとブログに書いてね」と念を押される。ココを読んでいるヒトが多いのだ。一足先に失礼して、大手町経由で千駄木に帰る。まもなく12時を回った。今年もよろしくお願いします。


今日は9時すぎまでぐっすり。障子を開けると、真っ青のイイ天気。まさに正月晴れだ。旬公と三軒茶屋へ。〈三軒茶屋中央〉で映画を観るのだ。近くに開いている喫茶店が見当たらず、早めに入館。映画の日なので1000円。元旦だからとサービスにタオルをくれる。この映画館、五年ぶりぐらいに入ったが、見事に感じが変わってない。天井が高くて客席数の多いのだが、椅子はボロボロ。暖房が行き届かずに、足からしんしん冷える。そんな中で観た「グラインドハウス」2本立ては、この館におあつらえ向きの映画だった。ロバート・ロドリゲス監督の《プラネット・テラー》はコレでもかと残虐描写つるべ打ち。対して、クエンティン・タランティーノ監督の《デス・プルーフ》は女たちのダラダラした会話とカーアクションの落差がスゴイ。ゾンビ映画にさほど思い入れがないせいもあるが、圧倒的に後者のほうが面白い。ハナシの行き先が怪しくて、低予算っぽくて、よく知らないながら「これぞグラインドハウス!」と叫びたくなる映画だった。ただ今回は、本来の「2本立て+フェイク予告編4本」のカタチではなく、1本ずつ切り離しての上映で、それぞれが2時間近くあったので、見終わるとグッタリした。全部で3時間に収めてほしい。


映画館を出て、元旦から開いている店を探すと、今風の中華料理屋があった。映画館の緞帳に台湾料理屋の広告が入っていた(いつ寄贈したのか、電話番号のアタマに「3」が付いていなかった)のを見て、中華が食べたかったのだ。ニラ卵炒めと角煮ラーメンを食べる。疲れたし寒くなったのでほかに寄らず、地下鉄で千駄木に帰り、ヨコになって本を読んだり眠ったりしているうちに、夜が更けていった。いいカンジに力の抜けた元旦の過ごし方だった。