極私的2007年ベスト12のテーマは「復活」

年の終りに、今年読んだ本のベスト12を書いておきます。掲載は順不同。今回はマンガは省きました。


藤田洋三『世間遺産放浪記』(石風社
四方田犬彦『先生とわたし』(新潮社)
中野晴行『幻のマンガ家・酒井七馬〜「新宝島」伝説の光と影』(筑摩書房
小沢信男『通り過ぎた人々』(みすず書房
最相葉月星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)
梶山季之資料室編『梶山季之と月刊「噂」』(松籟社
戸板康二『中村雅楽探偵全集』全5巻(創元推理文庫
サエキけんぞう『さよなら!セブンティーズ』(クリタ舎)
宮田昇『新編 戦後翻訳風雲録』(みすず書房
ねじめ正一荒地の恋』(文藝春秋
山田奨治『〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争』(みすず書房
黒岩比佐子『編集者 国木田独歩の時代』(角川選書


キーワードは「復活」かな(当てはまらないものもあるけど)。酒井七馬という謎の人物の全体像、星新一の初の評伝、弟子から見た由良君美の生き方、編集者としての国木田独歩新日本文学会を支えた人たちなどにスポットが当たることで、その存在が復活する。また、『梶山季之と月刊「噂」』とそれに続く岩波現在文庫での梶山作品の刊行など、「復刊」が面白かった年でもある(半村良阿佐田哲也など)。そして、なんといっても『中村雅楽探偵全集』! 単行本や文庫などバラバラに収められていた雅楽ものをこういうカタチでまとめてくれて、本当にうれしい。今年のベスト・オブ・文庫賞を差し上げたい。今年はワリと新刊書を読んだほうだと思うが、それでも買ったまま(あるいは送っていただいたまま)読めずにいる本が残っている。


今年のぼくの仕事は、編集者としては、青柳いづみこ川本三郎監修『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』(幻戯書房)、塩山芳明『東京の暴れん坊』(右文書院)、『書肆アクセスという本屋があった』(右文書院)の3冊を出すことができた。ライターとしては、雑誌に書く機会は以前に比べてかなり増えたものの、予定していた単行本は出せずじまいに終わった(入谷コピー文庫からの『ぼくが食らいついた本たち』のみ)。ヒドい怠け者である。来年は仕事に関してもっと貪欲にならないと。来年もよろしくお願いします。