今年最後の神保町

このところ、図書館に通って資料をあさっている。昨日は〈古書ほうろう〉で「不忍ブックストリート」の会議。まだ確定ではないが、来年の一箱古本市は2日間行なうことになりそう。1日50箱で、エリアを変えて2日開催するのだ。詳細は、来年2月頃に発表します。〈大栄〉に場所を移して、忘年会。12時ごろまでワイワイと。


今日は今年最後の神保町行き。新刊書店を回って何冊か買う。旬公が先に入っている〈クラインブルー〉で、山田奨治『〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争』(みすず書房)を読み始める。書店が出版社の機能を兼ねていた時代に、作家から版権を買い取って独占的に出版を行なうロンドンの大書店と、確信犯的に〈海賊版〉を刊行したスコットランドの書店主であるドナルドソンとの対立を追ったもの。著作権(コピーライト)がいまのように期限付き(死後何十年)になったのは、この時代以後なのである。著者が指摘しているように、両者の対立は独占主義VS開放主義という図式に収まりきれないものであり、当時のスコットランドが置かれた状況に深く関わっているのだが、それでも、現在の著作権を考える上できわめて示唆的な本だ。1963年生まれの著者の文章は読みやすく、枝葉のエピソードも拾っているので、一気に最後まで読んだ。機会があれば、書評を書いてみたい。


〈共栄堂〉でチキンカレーを食べ、〈ヒナタ屋〉でコーヒーを飲んで、西日暮里に帰る。〈高岡書店〉で買った、くつきかずや『ネタも休み休み言え!』(新書館)を読む。『ウンポコ』で連載中の、グラフィックデザイナー兼マンガ家のエッセイマンガ。フリーのデザイナーの過酷な仕事ぶりが描かれていて面白い。ただ、エピソードをマンガとして読ませるテクニックはまだまだ。ハナシを進ませるための段取りとはいえ、編集担当が「『色校』って何をするのですか?」というセリフを吐くのは、ムリがありすぎる。「編集者なら知らないハズないだろ。カマトトぶるんじゃねえ!」と云いたくなる。同じエッセイマンガでも、久世番子さんの場合は自然に話が流れるんだよなあ。


配布中のフリーペーパー『WB』最新号に「けものみち計画の文豪擬獣化宣言」第2回が載っています。今回は菊池寛。次回はあのヒトにしようかなあ。