海女映画のち風邪引き

朝8時起き。朝方寒かったせいで、アタマが痛い。ついに10月だ。それなりに働いているつもりなのに、なにもかもが遅れがちなのは、怠け者だからか、才能がないからか(それとも両方か)。早めに出て、西日暮里で短い原稿を一本書く。時計を見ると10時すぎ。11時の映画に間に合うかと出かけるが、駅で立ち食いそばを食べたりしているうちに時間が経ち、渋谷の〈シネマヴェーラ〉に着いたら、すでに1本目が始まっていた。まあ、曲谷守平監督《海女の化物屋敷》(1959)なんて映画を、ドコから見てもかまわないんだけど。最初はチョットおもしろかったが、たちまち飽きて眠ってしまった。


2本目の中島貞夫監督《にっぽん‘69 セックス猟奇地帯》(1969)は、竹中労がコーディネートしたドキュメンタリー。横尾忠則のタイトル画がかっこいい。状況劇場のテント芝居、ゼロ次元のパフォーマンス、新宿フーテン族に、日大闘争、新宿騒乱などの反体制運動がミックスされる。読み終えたばかりの山本直樹の『レッド』と同じ時代だ。ただ、当時の若者たちの発言は言葉づかいこそやたらと観念的だが、いまの若者とあまり変わらない気がする。映画館を出て、渋谷の街を歩いたときにも、その辺から「ゼロ次元」の連中が出てきてもおかしくない気持ちになった。


ブックファースト〉渋谷店へ。2階で黒川博行『悪果』(角川書店)、赤瀬川原平『戦後腹ペコ時代のシャッター音 岩波写真文庫再発見』(岩波書店)、小谷野敦『日本売春史』(新潮選書)、ジャック・フィニイ『完全脱獄』(ハヤカワ文庫)、戸板康二『劇場の迷子』(創元推理文庫)を買う。13日で閉店し、前に〈旭屋書店〉の入ったビルに移る。いろいろお世話になりました。


西日暮里に帰るが、どうも調子が出ないので、千駄木のウチへ。風邪引いたのか、鼻水がひどい。オフノートのライブに行くつもりだったが、断念する。原田依幸、見たかったなあ。『SPA!』の書評本をようやく決める(しかし、近々著者インタビューが載るからと却下されてしまう)。そのあと、黒川博行『悪果』を読む。佐々木譲『警官の血』と同じく警察物ものだが、ベクトルの向きは完全に逆。交番勤務の同期を、「自分でシノギの口を見つけようとするような気概はかけらもない」奴だと罵るような悪徳刑事が主人公なのだ。560ページもあるのだが、布団に転がって最後まで読む。


「秋も一箱古本市2007」の店主の配置が発表されました(http://sbs.yanesen.org/hako1/2007aki/shop.html)。今回は5つの大家さんに50箱が出ます。なんと、『暴れん坊本屋さん』の久世番子さんも参加してくれます! 屋号は「番狂わせ屋」、場所は宗善寺です。