和光大学で「雑誌の見本」の品評会

kawasusu2007-07-20

昨夜は少し酔っていたが、今朝は7時起き。早起きが続くのは体質が変わったのか。ちょっとブキミだ。おにぎりを買って千駄木に行き、書評の本を読む。塩山芳明さんから右文書院の本の冒頭に入れる書下ろし(20枚)が届く。原稿用紙に手書きで、升目いっぱいに書かれているので読みにくいのだが、塩山さんがエロ漫画編集者になるまでの軌跡が書かれていて、一気に読んだ。昼はソーメン。


メールを何本か書いているうちに出かける時間。鶴川に着いたのは4時。学バスに乗って和光大学へ。レジメのコピー、資料の借り出し、教務課への相談をこなし、10分遅れで教室に駆け込む。前期だけなので、今日で最終回だ。先週課題をやってこなかった4人もちゃんと完成させてきた。エライエライ。後半は「編集」という行為や概念が、どういう局面で役に立つかを話して、この講義のまとめとする。文章化されてないので判りづらいだろうが、そのレジメを以下に挙げておこう。

雑誌研究 自分でつくってみる 
                          2007年7月20日(金)
                          河上進

第13回(最終回) まとめ〜編集の力をどう生かすか〜

★課題「雑誌の見本(サムネイル)をつくる」の講評


★読みたい雑誌=つくりたい雑誌にするためには
雑誌についての知識・イメージがまだ足りない
→もっとたくさん雑誌を見よう


★雑誌のオリジナリティ
ほかの雑誌のいいところの真似からはじまり、独自のスタイルをつくる


★編集とは
自分が伝えたいことを、誰に向かって、何の目的で、どういうしかたでカタチにするかを決める「技術」である
・いろんな局面で「編集」はある
ex 授業のレポート、手紙、Eメール、チラシ、人と話すとき
→編集術コース以外に進む学生も、「編集」の力は重要


★編集の力
・同じテーマ、同じ執筆者なのに、編集・デザインによってまったく違う印象を与える雑誌をつくることができる
・「編集」によって、国家宣伝も左翼運動の宣伝も両方できるという怖さ
ex 戦時中の『FRONT』


★来年の「雑誌研究」でやりたいこと
・こんどは雑誌そのものをつくる
・フリーペーパー、ミニコミなどをたくさん集めて研究する
・編集者、ライター、ミニコミ発行者をゲストに呼んで話を聞く


★心がけてほしいこと
・毎回買う雑誌を1誌以上つくる
・週に1度は書店に行く
・本に関するイベント(古本市、トークなど)に足を運んでみる
書評のメルマガ」(河上編集号は毎月前半の2号)に情報を掲載。以下で登録できる。
http://back.shohyoumaga.net/


★編集の仕事に進みたいなら、必読ベスト5
*どれも入手可なので、極力買って読むこと!
津野海太郎『新・本とつきあう法―活字本から電子本まで』中公新書
山崎浩一『雑誌のカタチ』工作舎
岸川真『フリーという生き方』岩波ジュニア新書
『カラー版 本ができるまで』岩波ジュニア新書
南陀楼綾繁『ナンダロウアヤシゲな日々 本の海で溺れて』無明舎出版


来年もこの講義を受け持つことになるのか、半期なのか通年なのかは、いまのところ未定。ぼくとしては、今年この講義をやらせてもらって、ずいぶん刺激になった。なんとか終わったコトを祝して、大学の下の中華料理屋(しょぼくれていて好き)でビールを飲む。ウチに帰ったのは8時過ぎ。


今日から何日かにわたって、和光大学「雑誌研究」の課題として生徒がつくった「雑誌の見本(サムネイル)」を紹介しよう。雑誌のテーマとタイトルを決め、表紙と目次、8〜16ページの誌面構成をつくるというもの。ビジュアルに凝る子もいれば、アイデア一発勝負の子もいてオモシロイ。


今日は、コマツくん編集の『George』創刊号。A5判・18ページ。吉祥寺のタウン誌に載らないくだらないネタを追うミニコミのようだ。表紙は毎号ジョージ・ハリスンで、めくったところに「今月のジョージ」というコーナーがある(って、本人死んでるんだけど)。目次には「追跡! 吉祥寺ピーポー」「ヨドバシカメラ吉祥寺店オープンに乗っかってヨドバシカメラ近くにオープンしたうどん屋潜入レポート」「吉祥寺はどこまで吉祥寺なのか」「対談 ネイティブ吉祥寺人VS地方出身吉祥寺人」「吉祥寺的音楽紹介 赤い疑惑」「まんが 大橋裕之」などが並ぶ。なんだか〈バサラブックス〉みたいだなあと思ったヒトは鋭い。コマツくんはこの店でアルバイトしているのだ。


発表のときの「赤い疑惑西荻在住ですが、吉祥寺でライブをやっているので入れておきました」などのコメントにも笑った。身辺5メートル範囲の出来事に着目したミニコミで、これなら吉祥寺にいくらタウン誌・フリペがあっても絶対にバッティングしないから、すぐつくって、バサラの福井さんに交渉して店内で売るべしとアドバイスした。バサラだけじゃなくて、〈タコシェ〉でも売れるんじゃないかな。ぼくは必ず買うから、コマツくんは夏休みにつくるように。