8月上旬刊行『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』

まず告知。例の本の詳細情報です。

『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』
青柳いづみこ川本三郎監修


2007年8月上旬刊行予定
ISBN978-4-901998-25-3
A5判・上製・356ページ(写真12ページ)
定価=3800円+税
装幀=間村俊一
印刷・製本=精興社


戦前から戦後にかけて、中央線の阿佐ヶ谷で、作家や評論家、文学研究者、編集者らが集まる団体があった。「阿佐ヶ谷会」といわれるこの集まりには、井伏鱒二をはじめ、上林暁木山捷平太宰治、青柳瑞穂、外村繁らが参加し、ときに文学談議を行い、ときに将棋や酒を楽しんだ。
文学史・文壇史に足跡を残す「阿佐ヶ谷会」の唯一の資料集であり、中央線沿線に集った文学者たちの交流を生き生きと描き出した本である。


《目次より》
★第一部 「阿佐ヶ谷会」の文士たち〔同時代の文章・全43本〕

井伏鱒二「縁台将棋」「太宰治――その印象記」「小沼君の将棋」「阿佐ヶ谷将棋会」ほか
上林暁「作家会合風景」「阿佐ケ谷案内」「太宰治と弁当」「奥多摩行」ほか
木山捷平「阿佐ケ谷会雑記」「阿佐ケ谷将棋会」「そばの味」
青柳瑞穂「阿佐ケ谷会」「外村君の横町」「井伏鱒二の眼」ほか
外村繁「将棋の話」
小田嶽夫「阿佐ケ谷あたりで大酒飲んだ――中央沿線文壇地図」ほか
浅見淵「「阿佐ケ谷会」の縁起」「阿佐ケ谷会の解散」ほか
亀井勝一郎「罪と道化と――太宰治断章」
中村地平「将棋随筆」
安成二郎「太宰治君の写真」
村上菊一郎「東京の詩」
伊馬春部「“ぴのちお”の青春」
河盛好蔵「酒と酒客」「阿佐ヶ谷会」「青柳瑞穂君を悼む」ほか
島村利正伊藤整氏と阿佐ヶ谷会など」「聖なる影――上林暁追悼」ほか
巖谷大四「青柳さんの会」「純情可憐の酒飲み――外村繁」


★第二部 インタビュー

兄・上林暁と過ごした四十年  徳廣睦子さんに聞く
父・木山捷平の反骨  木山萬里さんに聞く
父・外村繁の面影   外村和夫さんに聞く
阿佐ヶ谷文士たちの印象  真尾悦子さんに聞く


★第三部 「阿佐ヶ谷会」再考〔書き下ろしエッセイ〕

川本三郎「作家もいた、画家もいた、そして漫画家も」
青柳いづみこ「外国文学者と私小説作家」
前田速夫「町内の先生」
堀江敏幸「鮎と鮪と私小説――島村利正と阿佐ヶ谷会」
大村彦次郎「阿佐ヶ谷会と文士村」
岡崎武志「阿佐ヶ谷・荻窪文学散歩」(写真=田村邦男)


★第四部 解説・文献目録・年表

解説 阿佐ヶ谷会の素晴らしき仲間たち 萩原茂
「阿佐ヶ谷会」関連主要文献目録 萩原茂編
「阿佐ヶ谷会」開催日一覧
「阿佐ヶ谷会」関連年表


発行元 幻戯書房
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-12 岩崎ビル2階
電話 03-5283-3934
FAX 03-5283-3935
http://www.genkishobou.com/


先日、定価は「講談社文芸文庫3冊分」と予告していましたが、同文庫の高いほう3冊分ではなく、安いほうの3冊分で抑えられたのはヨカッタです。阿佐ヶ谷会席上の写真や岡崎さんの文学散歩の写真もたっぷり入っているし、解説や書誌も充実しています。一家に一冊、どうぞお買い求めください。書店さん向けのチラシは来週にはできるようなので、ファクスにて幻戯書房営業部までご請求ください。8月上旬と書きましたが、じっさいには月アタマにはすぐ書店に並ぶはずです。詳細がわかったら、お知らせします。


朝8時起き。ちょっと風邪気味なので、午前中はウチで本を読むことに。テレビのワイドショーを見ていたら、足立区の小学校での学力テストの不正行為問題をやっていた。校長のコメントが、「(先生が生徒に問題を教えていたことに)あっと気づいて大変なことだと思ったが、校長室に入ってしまった」とあり、旬公と二人で激しく笑う。こないだの《情熱大陸》で都合の悪いハナシになると奥の魔窟に消えていった誰だかさんみたいだったからだ。しかし、校長先生が巣穴にこもってたら、そりゃマズイだろう。


昼は旬公がつくった、トマトとタマネギの煮込み風パスタ。いちど西日暮里に資料を取りに行き、1時に谷根千工房へ。某社の2人に会い、ある企画のプレゼン。実現すればいいのだけど。西日暮里に戻ると、アマゾンから荷物。木村和世『路地裏の社会史 大阪毎日新聞記者村嶋歸之の軌跡』(昭和堂)とサエキけんぞう『さよなら!セブンティーズ』(クリタ舎)。前者は柏書房から著作集も出た、社会学者というか裏社会研究家の評伝。図書館で見かけたのだが、コレは買うべきだと思った。後者はmixi小西昌幸さんの日記で見て。1970年代の回想記だが、ミュージシャンだけでなく「全冷中」についての証言も。


精興社から連絡があり、G社で会うことに。阿佐ヶ谷会本の一部抜き(本文の刷り出し)を受け取り、カバーなどを責了にする。これで見本ができるまで、ぼくにできることはナニもない。無事に仕上がるコトを祈るのみ。


三省堂書店〉の前で、『dankaiパンチ』のリニューアル号のセールをやっていた。赤田祐一さんがいらっしゃったので、挨拶する。もう知っている人も多いだろうが、『クイックジャパン』編集長の森山裕之さんが、こんどからこの雑誌のスタッフになっている。赤田さんが編集長、森山さんが副編集長でその下に数人のスタッフがいるそうだ。赤田さんは「こんなに多くのスタッフとやっていくのが苦手で……」と云っていたが、そりゃそうでしょう。すべて自分で決めて自分でやる、というタイプの編集者なのだから。リニューアル号を買うと、ボールペンとフェイスシートをくれる。なにしろ特集が「臭いオヤジは嫌われる」なのである。あとでパラパラ見るが、一気にオヤジ的な誌面になった。デザイナーも変わり、文字も大きくなった。もちろんそれがリニューアルの狙いなのだろう。この変化がどういう効果を生むのか、興味ある。それにしてもあれだけ先鋭的な雑誌をつくってきた赤田さんが、まったく先鋭的なところのない(ように見せかけた)雑誌をつくれるとは、このヒトはホントの職人だと思う。


書肆アクセス〉で、小松史生子『乱歩と名古屋 地方都市モダニズムと探偵小説原風景』(風媒社)、舟橋武志『アマゾンマーケットプレイスでおこづかいっ! 古本屋やろうよ』(ブックショップマイタウン)、『岩根豊秀の仕事場 孔版画に映し出された湖国モダニズム』(サンライズ出版)を買う。『岩根〜』は彦根謄写版の工房を経営し、孔版画を描いた人物の展覧会の図録。こんな展覧会をやってたこと自体、知らなかった。さすが、アクセスだなあ。それにしても、今日買った(届いた)本の版元は、名古屋が3社、京都1社、彦根1社だ。ぼくの好みはあるにしても、出版業界が東京中心なんてウソっぱちだよなと思う。


千駄木に戻り、ぐたっと疲れて2時間ほどヨコになる。明日の収録に使う本を読み返した。7時すぎに出て、〈お茶とごはんや〉でえぴチリソース。辛くてウマイ。ビールの小瓶を飲み、〈古書ほうろう〉に行ったら、みんなから「顔赤いですよ」と云われる。飲んでも顔に出ないほうだったが、もう年なのだろう。今日の議題は来週開く、一箱古本市の大家さんらとの談話会の段取り。それから発展して、「不忍ブックストリート」の今後について。解散してウチに着いたら、12時になっていた。


一箱古本市に出ている「こちどり」のりつこさんからメールで、神田小川町ホビーズワールドのサイトの「着物でハーネス」という連載(http://www.hobbysworld.com/taniguti/new.html?blog_id=469361)で、古本のコトを書いたというお知らせが。読んでみると、一箱だけでなく、〈古書現世〉〈追分コロニー〉などにも足を運んでおり、それまで古本と無縁だったヒトがその世界の深みにどんどんハマっていく楽しさ(恐ろしさ)が感じられる。長いけど、おもしろく読んだ。ところで、ぼくが「どうも容姿が似ているところからか漫才師のお姉さんが二人できたようで、と懐いてくれていました」という部分は、「懐いて」というよりは、「畏敬して」もしくは「遠巻きに観察して」のほうが正確かと(笑)。


【そのうち書きたいと思っているコトのメモ】
ぼくは「スケール感覚」を持った書き手しか信用できない。理論(評論)が、身の内から出てきたものに合ってない文章には、嘘くささを感じてしまう。