聖蹟桜ヶ丘で桂牧の世界にひたる

朝6時半起き。外は雨。台風が近いらしい。朝飯食べてから、歩いて千駄木へ。単行本の校了で資料を積み重ねていたので、少し整理する。その間に書評の本を読んだり、古書目録を眺めたり。「書評のメルマガ」を編集して発行する。


2時に出て、山手線で新宿、京王線聖蹟桜ヶ丘へ。一度も降りたことのない駅、と思ったら、以前「せどりツアー」で〈ブックセンターいとう〉の桜ヶ丘店には来たコトがあった。雨足が強くなるなか、その〈いとう〉へ。文庫もマンガも量は豊富だが、とくに欲しい本はない。その裏手にもう一軒古本屋があると、『ミステリーマニアのための古書店案内』(光文社文庫)にあったので、行ってみたら貸店舗になっていた。『ミス古書』、そろそろ改訂版を出してくれないかなあ。難しいことを承知の上で、お願いしたい。


3時半すぎに〈草苑〉へ。花屋の奥がカフェスペースになっていて、そこでライブをやるのだ。テーブルも椅子も種類がバラバラだが、なんとなく落ち着くカンジ。客は10人ぐらいか。まず吉上恭太さん。ベースとのデュオ。吉上さんのギターはジャズっぽくて、間奏にカッコいいフレーズが多い。最初のビートルズの日本語カバーなんて、よかった。次に深水無門という人。歌とアコースティックギターで、吉上さんのエレキギターとパーカッションがバック。


そしてトリが桂牧さん。ライブを聴くのは2年ぶりか。ほかの二人が複数で出たのに、自分だけひとりなので不利だとブツブツ云ってた牧さんだが、ステージに立つとさすがに貫禄がある。最初の一音から桂牧の音楽の世界に連れて行ってくれる。チューニングや歌詞をミスるとごまかさずにやり直す潔癖性もあいかわらずで、「私のライブはいつもこんな調子なので、みなさん慣れてくださいね」と云ったのには、思わず笑ってしまった。「間氷期」「木」「突然炎のごとく」などのおなじみの曲が、アレンジを大きく変えて演奏された。「新鮮と循環」とかいう新曲もやった。自分がやっていることに強烈な確信を抱いている点で、このヒトはプロのミュージシャンなのだ、と改めて思った。最後に桂・吉上で「夢で逢う」をやっておしまい。雨の中を遠くまでやってきた甲斐があったと思える、いいライブだった。


来たのと逆の順序で西日暮里へ。雨が激しくなっている。荷物を片付けて、千駄木へ。DVDで、大曽根辰保監督《顔》(1957)を観る。松本清張原作で、岡田茉莉子が主演だが、上昇志向がくっきりと顔に出て、しかもそれが美しい。笠智衆がアタマいいんだか悪いんだかよく判らない刑事を演じたり、サスペンスシーンになるとテルミンっぽい音楽が流れたりといろいろオモシロかったが、冒頭の殺人シーン、ありゃなんだ? 男が岡田茉莉子ともみ合って列車の外に落ちるのだが、どう見ても自分から扉を開けて外に出て行っている。見間違いかと思って、なんども見返してしまったよ。


このブログは今日、65万ヒットに達しました。読んでくださっている方、感謝です。《情熱大陸》放映後は、やはり増え方が変わってきてるような気がします。それと先月、ブログ休んでいるあいだのことですが、2004年6月の開始から丸3年が経過しました。4年目以降も相変わらずのペースで続けて生きたいと思うので、ご愛顧のほどを、よろしくお願いします。